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JOB2021.04.13

【JOB 特別インタビュー】t.c.k.w / ubushina が求める人材とは!?

JOB2021.04.07

t.c.k.w / ubushina is looking for a staff member (Director of Traditional Technology) to start up a new business!

【掲載終了】t.c.k.w / ubushina が新規事業立ち上げに伴いスタッフ(伝統技術ディレクター)を募集!

日本の伝統技術を有する職人とデザイナーを繋ぎ、
家具や照明器具、オブジェなどをオートクチュールで制作する。

この「ubushina」というプロジェクトに長年取り組んでいるのが、
t.c.k.w代表の立川裕大氏とスタッフのメンバーである。

伝統技術のディレクターという職能の意義と可能性について、
また今まさに立ち上げようと準備している事業の狙いについて、
立川氏と、スタッフの安斎明日香氏、中山明香氏に話を聞いた。

(Photographs: toha)

■日本にある伝統技術を再発見しディレクションする

── 立川さんが「伝統技術ディレクター」として活動されている経緯を教えてください。

 

立川:大学生の頃にイタリアの家具メーカー・カッシーナのショールームを訪れ、マリオ・ベリーニのデザインした空間に衝撃を受けました。
そしてカッシーナに入社し、家具の販売をしていたのですが、ミラノを訪れてエンツォ・マーリやアッキレ・カスティリオーニといったデザインの巨匠に出会う中で、「君の足元の日本にはすごい文化があるよ」と指摘してもらったのです。

1999年に独立した直後に、富山県の高岡市のセミナーに講師として呼ばれて行ったところ、参加者はほぼすべて伝統工芸に携わる方々でした。そこから、日本の伝統的な技術と文化への接点ができ、つながりを拡げてきました。
高岡の老舗の鋳物メーカーである能作とは今でもお付き合いが続いていて、ブランディングのディレクションもしています。

〈産業観光をテーマにした高岡の鋳物メーカー「能作」 新社屋・工場〉
Architectural Design: Archivision Hirotani Studio
Photo: Tamotsu Kurumata | 車田 保

独立してから数年後に、リノベーションホテル〈CLASKA(クラスカ)〉の企画と家具や什器のディレクションに携わることになりました。内装や家具、照明器具を、漆や鋳物、ブナコなどの伝統技術を用いてつくり、大きな反響を得ました。

その後、伝統技術をデザイナーと繋ぎ、最先端の空間に合わせてオーダーメイドするプロジェクトは「ubushina」として事業化します。
日本全国にある伝統技術だけでなく、多軸NCルーターなど最先端の技術も必要に応じて取り入れてきましたが、CLASKAのときに設定した「伝統技術という資産の現代的運用」というテーマは、現在も変わることなく続いています。


〈CLASKA〉 Design: INTENTIONALIES

■ミドルウェアとしての役割で伝統技術を産業にしたい

── 日本の伝統技術の現状はいかがですか?

立川:日本の伝統技術は、国から指定されているだけでも236カ所あります。これほどたくさん残っているのは世界的に見ても奇跡的なのですが、市場規模としては全部を合わせてもエルメス1社に、とうてい及びません。エルメスとは、伝統的な手工業を活かしたモノづくりという点で、共通するものはあるのですが。
逆に言えば、日本の伝統技術は産業化できるはずだし、成長産業になる可能性を秘めているということです。

 

私たちは、全国の新旧の技術や多種多様な素材に精通し、設計者に寄り添いながらイメージを実現していきます。設計者にとってはワンストップで、複数の技術や素材を組み合わせながら特注品をつくることができます。

設計者がソフトウェアを考える役割とすると、職人がハードウェア担当で、私たちは設計者と職人の間に立つ「ミドルウェア」の役割で、間を走り回りながらプロジェクトの最適解を見出します。

特注品と既製品という違いはありますが、エルメスのようなビッグメゾンのブランドは、このミドルウェアを担う優秀な人材が多く、彼らがきちんとブランディングとマネタイズという役割を果たしています。日本の伝統技術の現場にとって見習うべき生態系をつくり出しているのです。

私たちはミドルウェアの役割を積極的に担い、足元に残っている資産を、あるべき姿で運用していきたいと考えています。素晴らしい伝統技術を現代にふさわしいかたちでさまざまな人に届けて、喜んでもらえるようにしたいのです。


〈PALACE HOTEL TOKYO〉Design: A.N.D
Photo: Nacasa & Partners

■手と足と頭を総動員した ものづくり

── ミドルウェアとしての仕事は、具体的にどのように進めるのでしょうか? 安斎さん、中山さん、教えてください。

安斎:設計者と職人の間に入り、納期とコスト、最適な制作方法をトータルで考えながら、クオリティを保って納品するまでを担当します。

設計者の設計意図や条件、言葉に表れないニュアンスなどを汲み取り、「こういうものが欲しいはず」というものを提案していくことを心がけています。詳細図面を描いて、ディテールまで綿密に検討することも多くありますが、デスクワークだけではなく、できるかぎり職人のところにも足を運んで、どうつくっていくかを話し合います。

手と足と頭を使い泥臭く動いて、体現していく、というところでしょうか。

中山:プロジェクトごとに担当する個人の裁量に任されている部分が大きく、マテリアルの特性はもちろん、それぞれの職人の性格やクセまでも考慮しながら、今まで培った経験値を元に判断することが多いですね。

例えば漆塗りの場合でも、蒔絵や塗り方にも技法によって地域性がありますし、漆を乾燥させる漆風呂の大きさによって依頼できる工房も変わってきます。

時には今まで試したことがないようなこと、「あの伝統技法をこの素材でできないかな?」といったチャレンジを投げかけながら新たなマテリアル開発にも取り組んでいます。そういったことにも意欲的に向き合ってくれる職人とのやりとりが、私たちの成長の糧となっていると思います。

提案する素材や納め方には、担当するスタッフと職人の個性が出てくるので、新しい発見も多く刺激になります。

安斎:私は、インダストリアルデザインを学んだこともあり、ディテールを最初に考えながらプロダクト寄りのアプローチをすることが多いかもしれません。

アプローチの方法はさまざまですが、どのスタッフにも共通していえることは、設計者・デザイナーが思い描くイメージやコンセプトをいかにして具現化できるか、私たちや工場・職人が携わることで、その想像を超えるものをつくりたい、という気持ちを持ちながら活動していることだと思います。

立川:スタッフたちは、本当に頻繁に工場へ行っていますね。工場に足を運ぶことで、ヒントを得られることも多いですし、実際につくる現場を見ていないと、急な要件変更が出たときに臨機応変に対応することができません。

効率は悪いかもしれませんが、職人や設計者から得ている信頼は厚いと思います。そして私たちが築いた全国の職人とのネットワークと絆は、かけがえのない財産になっています。

■新ブランドの発足と求める人材

── ubushinaで製品化しているオリジナルの建材もありますね。これから、どのようなことを考えていますか?

立川:今まさに、伝統技術を活かしたプロダクトの新しいブランドをつくろうとしています。それはインテリア内装材というよりも、ライフスタイルを構成するようなプロダクトアイテムです。

毎回難易度の高いオートクチュールをするubushinaがF1カーのようなものとすれば、大衆車との間のスーパーカーのような位置付けのブランドです。一品生産と大量生産の間で、中量生産をして一般販売する予定です。

そのブランドでは日本の美意識を徹底的に追求していき、海外にも発信していきたいと考えています。

 

── とても楽しみです。今回のスタッフ募集は、新ブランドに関係するのでしょうか?

立川:そうです。建築・インテリア空間を舞台としたubushinaの活動に携わりながら、現在構想している新ブランドにおいて商品の開発から販売企画まで一緒につくり上げていただける方を募集しています。

大前提として、伝統技術や手仕事に興味があること、そして好奇心が高く柔軟性がある方に来ていただければ、嬉しく思います。
(2021.03.15 t.c.k.w にて)

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