昨今、あらゆる空間に必要不可欠であるエアコンは、スイッチやコンセントプレートなどと同様に、なるべく空間のノイズにならないシンプルさが求められます。そのため「よく似た白いエアコン」が多く、意匠面以外の機能や仕様が選択基準となることが多いのが現状です。
ダイキン工業は「エアコンをデザインで選んでほしい」として、薄さと色の自由度にこだわり、パネルのデザインや質感を選べる奥行き185㎜の薄型エアコン「risora(リソラ)」を2018年に発売しました。本体カラー2色と、パネルカラーは基本8色から自由に組み合わせることができ、戸建て住宅や飲食店などに多く採用されています。
さらにダイキン工業は、エアコンを単なる家電ではなくインテリアの一部として捉え、多くの選択肢から選んでもらえるよう、今年1月よりルームエアコンと空気清浄機のデザインブランド「The Art Line(ジ・アート ライン)」を展開しています。
もっと自由な発想でエアコンの選択肢を増やす
SNSでさまざまな発信がされるようになり、エアコンを機能だけでなく個性を表現するインテリアと同様に空間の価値を高めるためのものとして、デザイン性を求めるニーズが増えていると感じていました。
そこで、ユーザーが求めるデザインを1つひとつ提供したいという思いから、「自由な発想で感性のままに空間を創る」というコンセプトで「The Art Line」を立ち上げました。(ダイキン工業 空調営業本部 事業戦略室 森上群平氏)

なぐり加工の凹凸まで表現した「ART 名栗(BCFS5A-J3)」
「The Art Line」は美しさや調和にこだわり、個性を重視するユーザー向けに開発されました。製造にはセーレン株式会社のデジタルプロダクションシステムである「Viscotecs®(ビスコテックス)」を採用しています。これにより、「The Art Line」は伝統工芸品や自然素材などの質感をリアルに表現。全57種のデザインを展開しています。
「The Art Line」のラインナップは、「ART」「NATURE」「BLEND」の3シリーズ。期間限定で、「ART」のデザインとしてアートエージェンシー・株式会社ヘラルボニーとのコラボレーションパネルも展開しています。

伝統工芸品やアート作品の美しく繊細な質感を表現した「ART」

自然由来の豊かな素材感をイメージした「NATURE」

インテリアになじむ色と質感にこだわった「BLEND」

株式会社ヘラルボニーとのコラボレーション
タワーマンションやリゾート施設、海外からの宿泊客が多いホテルなどで採用が進んでいる「The Art Line」シリーズのエアコン。インテリアとしての1品を選ぶことはもちろん、壁紙やインテリアに合わせたコーディネートや、マットな素材感のあるパネルを選択することで空間に馴染ませることもできます。
「The Art Line」シリーズは、ダイキンソリューションプラザ「フーハ」(東京・大阪)で全種類のデザインパネルを実際に触って色味や質感を確かめることができ、販売も行っています。

ダイキンソリューションプラザ「フーハ 東京」
単に「カラーバリエーションを増やした」というものではなく、最近増えているファブリック調のクロスや漆喰の壁など、素材感のある壁仕上げに合わせられるようラインナップを検討し、近年増えているグレー色の壁紙との調和にもこだわりました。
今までエアコンはインテリアにとって馴染みにくく、異物感を感じられる存在でした。空間の意匠性を高めるためには「エアコンは隠す」ことが常識でしたが、「The Art Line」ができたことで、隠すだけではなく「エアコンを魅せる」という選択肢が生まれました。より空間の個性を表現できるように、またアートを選ぶように自分だけのエアコンを自由に選んでもらい、エアコンが空間の価値を高めるものになればと思っています。(森上氏)
トップ写真:「The Art Line」採用例|「BLEND Matte ベージュグレイ」グランライフ株式会社モデルハウス