「世界中にあなたの家を」をコンセプトに、上質な建築と空間体験を届けているNOT A HOTEL。
ビャルケ・インゲルス率いるBIGや藤本壮介氏をはじめ、世界的な建築家やクリエイターとのコラボレーション、また自社での設計を通して、革新的なプロジェクトを次々と実現している。
現在NOT A HOTELでは、新たな拠点の計画を踏まえ、建築デザイナーを広く募集中。
同社で建築デザイナーとして活躍する杉山 竜氏と志甫 景氏に、NOT A HOTELの建築デザインの特徴やプロセスの様子、また同社に求められる建築デザイナー像について話を聞いた。
杉山 竜|Ryu Sugiyama(NOT A HOTEL 建築デザイナー)
埼玉県立大宮工業高校卒。池下設計にて現場管理従事後、CTSにてホテル、オフィスビル、大規模再開発案件の意匠設計に従事。主に自社プロジェクトの設計を担当。2023年1月NOT A HOTEL参画。一級建築士。パーマカルチャーデザイナー。志甫 景|Kei Shiho(NOT A HOTEL 建築デザイナー)
東京芸術大学大学院修了。山口誠デザインにてオフィスビルの建築設計に従事。2023年8月NOT A HOTEL参画。主に自社プロジェクトの設計を担当。一級建築士。
── NOT A HOTELに加わるまでの経歴を教えてください。
(以下、杉山):高校卒業後、施工図や施工管理を行う会社に勤めていましたが、著名な建築家のプロジェクトに関わったことでデザインや意匠設計に興味を持ちました。その後、転職して国内外の大規模な再開発プロジェクトに関わり、より多くの人々に影響を与えられる仕事にやりがいを感じるようになっていきました。しかし、再開発プロジェクトは長期的であるため、30代半ばからは新しいチャレンジとして独立を考えていたんです。
そうしたとき、NOT A HOTELに勤める友人から〈NOT A HOTEL NASU〉の見学の誘いを受けたんです。実際に建物を体感すると空間体験から細部までどこをとっても完成度が高く、デザインをやり切っていることに驚きました。「自分が次に進むべきチャレンジの場はNOT A HOTELにある」と直感を抱き、すぐに面談を申し込み、入社に至ります。
志甫 景(以下、志甫):僕は学生時代、ランドスケープを中心とした意匠設計を学んでいました。在学中に、日本とは違ったランドスケープの中で生まれる建築デザインを学ぶために、海外の設計事務所でインターンシップに参加します。そのまま海外への就職も検討しましたが、逆に日本の文化や技術があるからこそできるデザインの可能性を感じるようになり、帰国、修了後は山口誠デザインに就職。5年強在籍したのち、2023年8月にNOT A HOTELに転職しました。
自分は、もともと体験を通して生まれる風景に興味があったんです。建築空間での体験こそが、建築の魅力をいっそう引き上げ、具現化させ、人々の心に届きます。建築空間での体験をより良くできれば、建築空間の可能性を広げられるのではないか。そう考えていたところ、NOT A HOTELの取り組みがまさに自分の目指す方向性と合っていました。サービスや飲食など多角的に空間体験をつくり上げていくことのできるNOT A HOTELでは、意匠設計者として建築空間を考えて終わるのではなく、建築プロデューサーのような建築家像を見いだせる環境だと思ったんです。
── おふたりは建築チームのデザイナーということですが、主な仕事の内容を教えてください。
杉山:まず前提として、NOT A HOTELの建築チームは、土地探しから事業開発、建築、そして拠点のマネジメントまでワンストップで手がけています。魅力的な土地を探し、その土地にふさわしい体験を設計する。それを建築デザインに落とし込む。販売をするためのCGパースやWebを制作する。さらには建物がより長く愛され続けるようなライフサイクルマネジメントにも力を入れる… このようにNOT A HOTELの建築に関わることをワンストップで手がけています。
志甫:そのなかで建築デザイナーの大きな役割の1つは、ひと目見て美しいと感じる建築のビジュアルを最初につくり込むことです。NOT A HOTELは基本的にCGパースで物件を販売してから、工事に着工するスタイルをとっています。実際に建っていない数億円もする物件を購入していただくためには、人の琴線に触れるようなシンボリックな絵が必要なんです。
杉山:加えて、NOT A HOTELの大きな特徴は、最初の設計要件が基本的に決まっていないことです。代表の濵渦さん(NOT A HOTEL代表取締役 CEO)を含めた全員で、その土地でどんな体験を創出するか、その体験を具現化するにはどんなデザインが適切かを検討し、そこから具体的な要件を積み上げていきます。重要なのは、その土地でどんな体験を提供したいかということです。この部分が決まれば、おのずとデザインの方向性も見えてきます。
── ビジュアルの制作と検討は、どのように進めているのでしょうか?
志甫:先ほど触れたように、まずは「この土地であれば、こんな特別な体験ができる」ということを表現していきます。そのためにCGソフトなどでビジュアライズするのですが、初期段階ではAIで画像生成することも多くありますね。
杉山:基本的には濵渦さんと建築チーム全体で方向性を定めていくので、僕たちデザイナーだけが意思決定に関わっているわけではありません。隔週で対面打ち合わせをし、プロジェクト担当外のメンバーも含めてさまざまな意見を出し合います。ビジュアルを共通言語としてコミュニケーションをとり、どんどんプロジェクトが進んでいくイメージですね。
志甫:一般的な設計事務所では与件に倣ってプランを先に検討し、建物のボリュームや部屋の配置がある程度固まってから具体的なCGパースを起こしていると思います。NOT A HOTELでは体験とビジュアルが先行するので、僕は最初のうちは、不思議な感覚がありました。その場所、その建築での一番の体験やビジュアルを軸にコンセプトが浮かび上がるので、今となれば、迷いなく設計を進めていくベストな方法だと実感します。目指す方向性がより鮮明になるので、迷いなく意匠を検討できますね。
── NOT A HOTELの建築における特徴は、設計者から見るとどんなところにありますか?
杉山:NOT A HOTELの空間体験のキーワードとして「日常と非日常の間」があります。安心感もありつつ、驚きもある空間が特徴です。
志甫:NOT A HOTELではリビング空間の吹き抜けが6mもあったり、普通の住宅では体験できない空間をつくります。特別感があり開放的だけど、安らぎや落ち着きがある。
そしてNOT A HOTELでは、建物が完成した後の関わり方が通常とは異なります。一般的に設計者は竣工して引き渡せば建物との関わりはなくなるものです。でもNOT A HOTELでは竣工後も、自分がデザインした建物がどのように使われているのか、直ちにチェックできます。お客様にどのように使われているのかが日々のフィードバックとして伝わってきますし、改善できる点にはすぐに取り掛かるスタイルなんです。もちろん別のプロジェクトチームにも共有し、NOT A HOTELの体感価値の底上げにもつなげることができるんです。
杉山:むしろ事業者としては開業からがスタートです。お客様や運営チームからのフィードバックは自ら改善する。そのサイクルが早いのも特徴の1つですね。
── 外部の建築家やクリエイターとの協業は、どのように進めるのでしょうか。
杉山:建築家やクリエイターとはパートナーとして協業し、プロジェクトを動かしていきます。建築家とのコラボレーションの場合も、提案をただ待っているのではなく、事業者目線で提案を行うことを心がけています。場合によっては図面を描くだけでなく、CGパースを制作して打ち合わせを行うことも。進めていくうちに、建築家やクリエイターとNOT A HOTELのチームが融合してワンチームになっていく感覚がありますね。
志甫:ビャルケ・インゲルス率いるBIGがデザインした〈NOT A HOTEL SETOUCHI〉では、販売用のキービジュアルをつくるとき、どうしたらこの建築の良さがしっかりと伝わるだろうと、BIGの方々と一緒になってみんなで3Dソフトを操作しながらやり取りしましたね。「提案する側」と「提案される側」という関係性ではまったくありません。同じゴールに向かって意見を出し合い、つくりあげていく。1つのチームになることが重要だと考えています。
── NOT A HOTELには、自社だけで設計するプロジェクトもあるのですよね。
杉山:NOT A HOTELの建築デザイナーがメインアーキテクトとしてデザインと設計を進めるプロジェクトです。大きく2種類あり、1つは自社だけで進めるもの、もう1つはトップクリエイターとのコラボレーションです。今後、このような自社設計プロジェクトの割合は増えていく予定です。
NOT A HOTELが掲げる「世界中にあなたの家を」というコンセプトを実現するために、開発スピードを早めたいと考えています。外部の建築家やクリエイターとのコラボレーションはこれからも続きますが、NOT A HOTELの建築チームがさまざまな方と協業しながら吸収したノウハウを自社プロジェクトに反映していけるのは、インハウスのデザインならではの強みになると考えています。
志甫:自社設計プロジェクトで建築家以外のクリエイターと協業するときは、自分だけでは実現できない世界観に触れられます。また、自らのデザインに対するフィードバックを外部クリエイターに得ながらブラッシュアップできるのは貴重な経験ですね。自分の想像力の幅が広がり、建築デザイナーとしての成長につながっているように感じます。
── 応募を希望する方々に向けたメッセージをお願いします。
志甫:NOT A HOTELはこれまでにない体験や建築をつくる会社であるのと同時に、これまで解いたことのない問題に多く直面する会社でもあります。どんなことが起きても諦めずにやり抜く力があってほしいですし、自らや周囲を突き動かす情熱は誰よりも持っていてほしいなと思いますね。
杉山:実はNOT A HOTELで活躍しているメンバーの多くは、入社前に独立を考えていた人たちばかりです。ただし、みんなが口を揃えて言うのは「独立前にNOT A HOTELに来て良かった」ということ。ここでは建築のみならず事業開発やファイナンス、運営、マーケティングなど建築以外のことを身につけることができます。事業のことも理解できる“骨太な建築家”になれる。そんな環境が、NOT A HOTELにはあるんです。
(2024.06.19 NOT A HOTEL ASAKUSAにて)
Photo: Nao Takahashi(人物)
イメージ提供:NOT A HOTEL
募集職種 | 建築デザイナー(意匠設計) |
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業務内容 | ・自社開発プロダクトにおいて意匠設計業務(チームとコミュニケーションを図りながらNOT A HOTELとして目指すべき建築のデザインを実現) ・社外のクリエイターと協働し、専門的かつ複合的な視点をもってプロジェクトを進行 ・3Dモデリング、レンダリングを用いたデザイン検討 ・自社開発プロダクトの設計、作図業務 ・社内外のパートナーとの3Dパースや動画のディレクション業務 ・NOT A HOTELメディア掲載に向けた撮影補助、現場立ち会い
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応募資格 | 【必須】(中途の場合) ・建築設計(意匠)、監理の経験が3年以上 ・意匠面について関係者と議論し、デザイン提案を通じて建築の価値を引き上げられる感性 ・意匠だけでなく先進的なIoT技術を含めた建築設備への理解
以下のソフトウェアのすべて、または一部を使用することができる方 ・Adobe(Photoshop / Illustratorなど) ・CAD(NAHでは主にAutoCADを使用しています) ・モデリング・レンダリング (SketchUp / 3dsmax / Rhinoceros / Enscape / Vrayなど)
応募の際にはこれまでのアウトプットを拝見できるポートフォリオをご提出ください。
【歓迎】 ・NOT A HOTELのビジョンに共感し、自律的に動ける方 ・プロジェクト関係者とコミュニケーションが円滑に取れる方 ・役割に捉われず自律してご活躍いただける方 ・変化に柔軟で、度重なる改善をし続けられる方 |
待遇 | ■雇用契約 正社員
■勤務時間 フルフレックス(コアタイムなし) 1日の標準労働時間は実働8時間、休憩1時間(時短勤務も相談可)
■給与・昇給・賞与 年俸制 / グレード制応相談 グレード1:〜400万円 グレード2:400〜500万円 グレード3:500〜700万円 グレード4:700〜1,000万円 グレード5:1,000〜1,500万円 グレード6:1,000〜上限なし
※上記には固定時間外手当 45時間分、固定深夜手当 20時間分を含みます。 なお、固定残業時間を超過して勤務した際には別途、超過分の手当を支給いたします。
[ワンチーム評価] NOT A HOTELでは個人の評価は定期では行わず、すべて事業の評価と連動する評価制度を採用しています。年度はじめに定めたカンパニーベット(OKR)の達成度に応じて全メンバーの昇給率・賞与が変動します。 ・OKR120%達成:昇給率 年俸+5%、賞与 年俸の20% ・OKR110%達成:昇給率 年俸+3%、賞与 年俸の10%
■諸手当 環境整備費5,000円 / 月、交通費手当15,000円 / 月 (一部職種で通勤が発生する場合に記載を上限金額として支給します)
■休日・休暇 土日、祝日、特別休暇、有給休暇(職種によっては休日が異なる場合があります)
■福利厚生 各種保険 / 宿泊社員割引 / 旅行補助(グレードに応じて最大30〜100万円を支給)
■勤務地 リモート中心(必要に応じて弊社の都内物件への出社あり)
会社の定める業務のため、上記の記載から変更される可能性があります。 |
採用スケジュール | 書類選考の合否に関わらず、応募者全員にご連絡いたします。
【中途】 書類選考、一次面接、二次面接、最終面接(オンライン)
【新卒】 書類選考、一次面接(オンライン)、課題選考、インターン(1カ月程度)、最終面接(オンライン)
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勤務地 | リモート中心(必要に応じて弊社の都内物件への出社あり)
NOT A HOTELではソフトウェアや建築、運営サービスなどさまざまなチームと連携しながら事業を進めています。普段はリモート中心・フルフレックスで主にチャット(Slack)やビデオ会議(Google Meet)でコミュニケーションを図っています。
また、必要に応じてチームで出社をし、対面で業務を行っています。全社では全従業員が集まるALL HANDS MEETINGを四半期に一度開催し、部署を横断したコミュニケーションも重視しています。 |
会社情報 | 社名:NOT A HOTEL株式会社 ウェブサイト:https://notahotel.com/ Instagram:https://www.instagram.com/notahotel_official/ Facebook:https://www.facebook.com/NOTAHOTEL.official note:https://note.com/notahotel_inc/ E-Mail:career@notahotel.com 電話番号:07038803924 採用担当者:山田 |