COMPETITION & EVENT

「何かの代わりではなく、リアテックだから採用する」

[Interview]サンゲツ空間デザインコンテスト審査員・松浦竜太郎

本物(リアル)素材の質感(テクスチャー)を再現し、高いデザイン性と機能性をもつ粘着剤付化粧フィルム「リアテック」。サンゲツでは「リアテック」の発売30周年を記念して、初めての空間デザインコンテストを開催します。

審査員を務められるインテリアデザイナーの松浦竜太郎氏(乃村工藝社 RENS クリエイティブディレクター)に、リアテックの使い方、また応募作品に期待する点をインタビューしました。



—— 松浦さんは普段、リアテックをどのように使われていますか?

松浦:サンゲツさんの壁紙やファブリックは、以前からホテルなどのプロジェクトで使わせてもらっています。それらに合わせるシートとしてリアテックを使い始めました。もともとメーカーとしての信頼度はあったのですが、リアテックを使ってみてその質感に驚きました。いわゆるプリントのシートという感じではなく、完成度がとても高いと思います。

ある店舗デザインでは、入口右側に錆調のリアテックを採用しました。店名両脇の白い部分は大理石なのですが、リアルな錆の風合いが再現され、天然石と並べても遜色がなく調和しています。

〈叙々苑 ルクア大阪店〉入口。白い大理石と錆調のリアテックが調和している

工期、コスト、環境配慮の面でもリニューアルに最適


—— リアテックの建材としての魅力はどのようなところにありますか?

松浦:前提として意匠性と施工性が両立したものでないと、デザイナーにとって仕上げ材の選択肢にはなかなか挙がりません。その点リアテックは木目調も石目調も、光沢の陰影や見る方向によって表情が異なって見えるので、本物の材料と並べて使ってもチープに見えることはない意匠性をもち合わせています。そのうえ、しっかりと施工性も兼ね備えているので、今では、「木目調や石目調にしたいから」という理由ではなく、「リアテックを使いたい」と思って選ぶようになりました。

前出の店舗ではテーブルごとの仕切りにも和柄のリアテックを採用(写真中央下部)。リアテックはリアルな素材感のものから織物柄、抽象柄なども揃う

具体的には、壁紙に比べてしっかり定着して剝がれにくい特性があります。浸水もしないし、耐久性もあってリニューアルの現場で多少デコボコした下地でも貼れる点は大きなメリットだと思います。

ホテルのリニューアルをいくつか手がけるのですが、浴室にはよくタイルが貼られています。20~30年も経ったホテルだと目地の汚れも目立ちますし、タイルそのものも黄ばんでいたりします。

タイルの張り替えとなると湿式の左官工事になるので、はつって下地を整えて…となるとコストも工期もかかりますよね。その点、リアテックのような耐水性に強いシートは使い勝手がとてもよく、既存のタイルの上に直接貼れて浴室を一新できます*。下地となったタイルや目地の凹凸も違和感は残りません。
(*メーカー註:下地の状況や種類によっては施工できない場合があります )

短期間でエントランスサッシを一新! リアテックの優れた施工性

「サッシを外してつくりかえるとコストも相当かかるので、メリットはとても大きい。小口を見せないようにしたり、コーキングをし直したりすることがポイントです」

—— 水まわり以外ではどのように使われますか?

松浦:ホテルのエントランスサッシなどは金属でできているのですが、何十年も営業しているホテルだとかなり傷が入ってしまっています。リアテックにはメタリック調のラインアップもあるので、貼るだけで新しいサッシを製作したようになります。ホテル全体を印象付けるエントランスにも問題なく採用できる高い意匠性はもちろんですが、ホテルや商業施設などの営業をストップさせることなく工事をすることが多いので、短期間で一新できるリアテックはリニューアルには最適な建材だと思います。

リノベーションやリニューアルは環境負荷が少ないことはいうまでもありません。工期の面もそうですが、解体したりはがしたりせず、廃棄物を出さずに工事できることもシートの魅力ですね。

空間にストーリー性をもたせたような事例を見てみたい

—— どんな応募作品に期待されますか?

松浦:リアテックが空間のコンセプトを高める役割をしていたり、リアテックが脇役ではなくストーリー性やメッセージ性を引き立てる使われ方をした事例を見てみたいです。

リアテックそのものの意匠性は優れているので、そのまま使って「こんな空間をつくりました」というより、想像を超えるような使い方をした作品に出会いたいですね。「リアテックってこんな使い方もあるんだ!」と、私たちの想像を広げてくれるような作品に期待しています。

松浦竜太郎(乃村工藝社 RENS クリエイティブディレクター)

1975 年生まれ。大学、大学院にて建築を専攻。2001 年 乃村工藝社に入社。2020 年 デザインチーム RENS を同社内に設立。2022 年 商店建築社から特集号『Ryutaro Matsuura』出版。レストランやブティックなどの専門店、ホテルやスペシャリティーストア、空港やミュージアムなどの公共施設まで、領域にとらわれずボーダレスなデザインに取り組む。コンテクストや社会的背景をふまえて潜在意識を明らかにし、本質に焦点を合わせ、コンセプトを顕在化。空間に新たな関係性を生み出すことで未来や社会を豊かにする。

主な実績〈ホテルオークラ京都 岡崎別邸〉〈杜の街プラザ WONSETO FOODHALL〉〈ものづくりイズム館‐パナソニックミュージアム〉〈叙々苑 新宿小田急ハルク店〉〈福岡空港国内線〉〈阪急メンズ東京〉など多数。 主な受賞に2023年 Sky Design Awards2023 金賞・銀賞、iF DESIGN AWARD 2023、2022年 日本空間デザイン賞 銀賞・銅賞、第56回日本サインデザイン賞 銅賞・招待審査員賞、第37回ディスプレイ産業賞 優秀賞・経済産業省商務・サービス審議官賞、2015年 香港Perspective 透視雑誌「40 UNDER 40」受賞、2023、2015グッドデザイン賞、2013年 中国国際空間デザイン賞NEST AWARD銀賞など。

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