有楽町、銀座、京橋、新橋を通る東京高速道路(KK線)が高速道路としての役目を終え、東京都の方針に基づき歩行者中心の公共空間に生まれ変わる「KK線再生プロジェクト」が進行しています。首都高速道路株式会社よりKK線の廃止が2025年4月上旬となることが発表され、東京高速道路株式会社が第1回目の「KK線再生プロジェクト」カンファレンスを開催しました。
首都高の日本橋区間地下化事業によって新京橋連結路が整備され、2035年度(予定)には新しい都心環状ルートが整備されます。この都心環状ルートの再編に伴い、東京高速道路株式会社が管理するKK線(東京高速道路)が廃止となり、歩行者中心の空間として生まれ変わるのが「KK線再生プロジェクト」です。
「KK線が通行止めとなる2020年代中頃に整備に着手し、全区間の整備完了については、2030年代から2040年代を目標時期としています。全区間を一度に整備することは難しいことから、周辺まちづくりと連携した段階的整備等により、2020年代の一部供用を目指します」(KK線再生プロジェクトホームページより)
日本初の民間企業による高速道路「KK線」
東京高速道路は1951年(昭和26年)、戦後の経済成長により増えた交通量緩和のため、道路網の整備が必要と考えた財界人らにより建設された自動車専用道路です。道路と一体構造となった14棟の賃貸スペースをもち、管理運営を行っています。その収入で道路の建設、維持費をまかなう世界でも珍しいビジネスモデルといえます。
構造物の最上階を繋ぐ道路であり、東京の都心部を走る約2kmの空間を人が集まる公共空間に再生するにあたり、東京のキラーコンテンツとなるような新しい価値を生み出す仕組みとして発足したのが「共創プラットフォーム」です。
多領域の専門家が参画し、東京都などの行政機関、周辺の地域団体と連携しながら共創の機会を創出。KK線再生事業を推進する主体としてプロジェクトを進めていきます。その共創プラットフォームを牽引するコンダクターにパノラマティクス主宰の齋藤精一が就任しました。
また、新たにパートナーとしてグラフィックデザイナー・色部義昭氏、プロダクトデザイナー・倉本 仁氏、コピーライター・小西利行氏、建築家・永山祐子氏の4名が紹介されました。
カンファレンスでは、周辺地域代表の方々より、住んでいる人を増やすまちづくりや災害に対する検討、まちの活性化などへの期待が寄せられたほか、建物の屋上をつなぐ道路という特殊な土木構造物への対応、何度も訪れたくなる仕掛け、持続可能な運営モデル、猛暑への対応など、今後の検討課題やプロジェクトの進め方などにについて意見が交わされました。
東京高速道路では今後も定期的なカンファレンスを開催予定としており、TECTURE MAGでは引き続き本プロジェクトに注目し、取り上げていく予定です。
トップ画像 KK線・有楽町付近の様子(写真提供:東京高速道路)