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靴職人・三澤則行氏の手による〈足の巣〉

靴を履く行為の外側の空間を視覚化した作品が「GFA 2021」で総合優勝

PRODUCT2022.02.13

東京・荒川に拠点を構える靴職人の三澤則行氏が製作し、靴のデザインを顕彰する国際的なアワード「GFA 2021」に出品した作品〈足の巣(Foot’s nest)〉が総合優勝(Winner in ARTISTIC FOOTWEAR, Overall winner in SPECIAL AWARDSを受賞)を果たしたとのこと、氏が代表を務めるMISAWA SHOE DESIGNが発表しました(2022年2月10日プレスリリース)。日本人では初の受賞とのこと。

三澤則行〈足の巣(Foot's nest)〉2020

三澤則行〈足の巣(Foot’s nest)〉2020

GFA: GLOBAL FOOTWEAR AWARDS™(グローバルフットウェアアワード)は、米国・ロサンゼルスをはじめ世界4都市に拠点を構え、BLT(Built Design Awards)やLIVホスピタリティデザインアワード、SITファニチャーデザインアワード™、International Design Awards(IDA)など、国際的なアワードを多数主催している、Farmani Groupの主催。
今回で2度目の開催となる「GFA 2021」は、三澤氏がエントリーした芸術部門のほか、メンズおよびレディースファッション、スニーカー、サスティナブル、スポーツシューズなどの部門があり、応募者のカテゴリーはプロフェッショナル(ブランド)、個人、学生の3つ。今回は世界53カ国からエントリーがあったとのこと。審査員は、有名ブランドのデザイナーや、ファッション誌の記者ら29名で構成されます。

「GFA 2021」結果発表ページ
https://www.globalfootwearawards.com/winners/gfa/2021/572/

〈足の巣(Foot’s nest)〉を製作した三澤氏は、1980年生まれ(宮城県出身)の気鋭の靴職人。これまでに、国際的に活躍する俳優や映画監督からのオーダーのほか、宮内庁(伊勢神宮「親謁の儀」など)への納品実績も有します。2021年には、東京2020夏季オリンピック開会式において、ソロパフォーマンスを披露したタップダンサーの熊谷和徳氏に靴を提供しています。
このほか、人が歩行するための部位である足(脚)を保護する、あるいは「歩きやすくする」といった、一般的に靴に求める機能を超えたアーティスティックな作品も数多く発表し、国内外での個展などで披露してきました。


# Noriyuki Misawa YouTubeチャンネル「MUSIC」Noriyuki Misawa / Bespoke Shoemaking Project(2021/12/09)

今回の受賞対象となった三澤氏の作品〈足の巣(Foot’s nest)〉は、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が世界的に拡大した2020年に制作されたもの。人々の外出が制限され、自宅で過ごす時間が増えるなど、従来のライフスタイルの変容が求められたニューノーマル時代の世界では、靴も「歩くための道具」だけではなくなるかもしれない、という仮説のもと、これまでの価値観を打ち破る革新性を有しています。
素材は革。ハイヒールに足を滑らせるようにして、足を「置く」。その外側の空間の視覚化を試みた作品です。

三澤則行〈足の巣(Foot's nest)〉2020

三澤則行〈足の巣(Foot’s nest)〉2020

通常の靴作りのように、平面の革を足に沿うように這わせ、面を構成しながらかたちづくるのでなく、足の周りの空間を造形してみせた。選んだ素材は、靴のヒールに用いる革。足の周りの空間を埋めるように、革が幾重にも積み上げられ、重厚感をもたらすレイヤーは、まさに、動物や昆虫が作り出す「巣」だ。すべてが手作業で為されたとは俄かには信じ難い、卓越した技術は本作でも余すところなく発揮されている。(MISAWA SHOE DESIGN プレスリリースより)

三澤則行〈足の巣(Foot's nest)〉2020

三澤則行〈足の巣(Foot’s nest)〉2020

三澤則行(みさわ のりゆき)氏プロフィール

三澤則行 / Noriyuki Misawa

主な製作(Art+Craft)
2011年〈Furniture Shoes(家具のような靴)〉、2014年〈Leather Wastes(革屑)〉、2016年〈Ruins(廃墟)〉、2018年〈Rust〉[*1]、2019年〈Vehicle〉など
*1.錆のアーティストのKeico Murakami氏との共同製作、錆びた革でつくられた靴

三澤則行〈A lot of Garbage Shoes〉

三澤則行〈A lot of Garbage Shoes〉2018

三澤則行〈Vehicle〉2019

三澤則行〈Vehicle〉2019

製作実績
スパイク・リー(映画監督)、パクチャヌク(映画監督)、エイドリアン・ブロディ(俳優)、アンガーリー・ライス(女優)、ミリセント・シモンズ(女優)、宮内庁(2018〜2022年伊勢神宮「親謁の儀」など)ほか

主な受賞歴
2010年「International Efficiency Contest of Shoemakers (ドイツ国際靴職人技能コンテスト)」にて金メダルと名誉賞を受賞、第33回日本革工芸展(2015年)にて「文部科学大臣賞」受賞、ほか多数

ロンドンでの個展「A Japanese Shoemaker’s Crazy Creations」会場風景(2018年12月19日プレスリリースより)手前の作品:Leather Wastes(革屑)2014

個展
2017年 フランス・カンヌ国際映画祭と連動し、カンヌにてコレクションを展示
2017年 米国・ニューヨーク ROGUE SPACE CHELSEAにて「Noriyuki Misawa Solo Exhibition」」開催、2018年 英国・ロンドン Sway Galleryにて「Noriyuki Misawa Solo Exhibition 〜A Japanese Shoemaker’s Crazy Creations〜」、浅草(東京浅草文化観光センター)にて「Noriyuki Misawa Solo Exhibition in TOKYO」、2020年 浅草(東京浅草文化観光センター)にて作品展「Shoes That Jump Toward the Future 未来へ跳ぶ靴」(日本の靴150年記念イベント)


# Noriyuki Misawa YouTubeチャンネル「Shoes That Jump Toward the Future 未来へ跳ぶ靴」(2021/01/20)

MISAWA SHOE DESIGN
http://www.noriyukimisawa.com

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