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バスルームを進化させるブランド「aq.(エーキュー)」で何ができる!?

建築家・黒崎 敏が「aq.」で描くバス空間の理想像

PRODUCT2023.02.09

日本人の精神性と美意識を継承することをコンセプトに誕生した「aq.(エーキュー)」。

建築家やデザイナーと共創しながらそれぞれが思い描く夢をかたちにする、新しいバスルームブランドです。従来のシステムバス(ユニットバス)とオーダーバスの垣根を超えて、1台からのオーダーにも対応します。

そんな「aq.」をイメージしたこれからのバス空間を、戸建てや集合住宅、別荘、ホテル、コンドミニアム、レジデンスなど、ハイクラス・ラグジュアリーの最前線で活躍するAPOLLO Architects & Associates代表・黒崎 敏氏に考えてもらいました。


黒崎 敏 | Satoshi Kurosaki

建築家 / APPOLO Architects & Associates 代表取締役
1970年石川県生まれ。明治大学理工学部建築学科卒。大手メーカーの商品開発、設計事務所主任技師のキャリアを経て、2000年に「APOLLO一級建築士事務所」を設立。邸宅、ヴィラ、リゾートホテル、商業施設の設計のほか、企業の商品開発やブランドデザインにかかわる。世界的デザイン賞である「Wallpaper Design Award」 で「Best New Private House」を受賞するほか、「Archiproducts Design Awards」では5年連続日本人審査員を務めるなど、海外でも高い評価を得ている。主な著書に『新しい住宅デザインの教科書』(エクスナレッジ)、『新・可笑しな家』(二見書房)などがある。


バス空間でコミュニケーションが生まれる仕掛け

現在、北海道・ニセコで高級分譲ヴィラを中心とした大規模リゾート開発に携わっているのですが、今回のバス空間はその共用施設となるクラブハウスのバス空間をイメージしてデザインしました。

中央に2×3mのバスタブを置き、周りに浅い水盤を設けて水が連続して見えるようにしています。バスタブの三方はソファのようなつくりで、ベッドルームやソファのあるリビングと同じように居心地よく過ごせます。家族や友人と一緒にお湯に浸かりながらコミュニケーションがとれる空間にしたいと考えました。

奥には室内が外に迫り出した縁側のような空間があり、水盤でつなげて内と外の境目を曖昧にしています。これは昔から日本ではなじみの深い「中間領域」を広くとった設計で、壁はないけれど庇を出して空間化したものを屋外に設けました。

こうして、屋外と屋内の空間を等価に扱い連続させることで、内にいながら外を感じられ、人と自然がゆるやかにつながります。バスタブに浸かっていても広域な視野が得られるのが、今回のポイントになっています。

 

目線や五感にも着目してバス空間の楽しみ方を増やす

 ソファのように座れるバスタブに浸かると目線の先に水盤が延びる

バスタブを取り囲む部分は、バスタブを中心にXYZの3軸方向の空間が広がっているイメージになっています。

両側はミストサウナやドライサウナなどのサーマルスプリング(※1)のようなアクティビティがあり、サンラウンジャー(※2)などの屋外家具を置いて、バスタブとは違う楽しみ方ができる場を用意しています。

バスタブの上にはそれと同じ大きさの可動式トップライトを設置し、上空の景色も見えるようにしました。また、バスルームに足を踏み入れたとき、目線が奥に行くとインフィニティみたいにお湯が流れていくような、お湯の流れや音まで表現したいと思っています。

※1 水着を着用して入る温浴施設
※2 プールサイドなどの屋外で日光浴を楽しむことを目的に用いられる寝椅子

「空間」より、心地よい「居場所」を意識したデザイン

このようなデザインに至った背景には、これまでのバス空間の概念を変えてみたいという思いがあります。

「プレイスメイキング」という言い方をしますが、単なる機能的な「空間」ではなく、もっと心地のよい「居場所」にして、インスピレーションが湧くとか、なんとなく行きたくなってしまう場所のように、バス空間の価値を上げるような試みをしたいと考えました。

また、空間認知科学で「イソビスタ」という言葉がありますが、簡単にいうと「ある場所から障害物などがなく見える範囲のこと」を指します。人間は、ひと目で視界や見晴らし、全景から空間を把握して、居心地の善し悪しを判断し、基本的に狭い空間から広域を見渡せるときに最も快適に感じるといいます。

バスタブに浸かりながら、目の前にパノラマに広がる景色があり、上空も抜けているというのは、四季折々の変化や、昼夜、天候によってもさまざまな違いをはっきり感じられます。これくらい豊かな空間であれば、結果的に心地がいいので人が集まってくると思います。


「aq.」がOSのようなバスルームブランドになるように

つくり手を触発して新しいつくり方が思い浮かぶようなユーザビリティというか、商品性やブランド特性が出てくると、建築家や設計者は勝手に組み合わせたり、こんなのができないかといったふうに動き出したりするでしょうし、施主側もインスピレーションが沸き始めてもっと議論が生まれるようになると思います。

「aq.」が単なるバスルームの商品開発ではなく、新しい概念としてOSのようなシステムが内包されたブランドに成長するのを期待しています。


「aq.」の世界観を表現しているウェブサイトでは、業界の第一線で活躍する建築家や注文住宅設計事務所などのつくり手が考える、今後の展開におけるコンセプトイメージや、理想のバス空間のデザインを公開しています。

黒崎 敏氏の設計思想とこれからのバス空間を深く掘り下げたインタビュー「バス空間はリビングのように進化する」は、特設サイトでもご覧になれます。

(この記事はaq. 特設サイトでのインタビュー記事をもとに再編集したものです)
text by toshiaki ishii (river co., ltd.)
photograph by yu kawakami

 

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