敷瓦、壁瓦、化粧煉瓦など、さまざまな名称で呼ばれていた建材が「タイル」と日本で名称が統一されたのは1922年のこと。現在では身近な建材となったタイルですが、実際に使ってみようとすると、その種類の膨大さに驚き、どこから選んでよいのか悩む方も多いと思います。
この記事では、タイルの素材や加飾方法における基本的な分類を紹介していきます。ぜひ、皆さんの最適なタイル選びの参考にしてください。
第1回 1枚のタイルが出来るまで(10月2日掲載)
第2回 タイルの材質や加飾についての基本(10月16日掲載)
第3回 空間の印象を左右する、タイル「目地」の基本(11月掲載予定)
現在ではさまざまな場面で採用されているタイル。もちろんそれには理由があり、特に機能面での暮らしへの恩恵は大きく、代表的には下記のような利点が挙げられます。
・耐久性
紫外線にも強く変色・退色しない。表面は傷が付きにくく、付いても目立たない。耐衝撃性が強い。
・科学的 / 物理的安定性
酸やアルカリ、薬品に対して変質しにくい。防熱性・防火性・防水性に優れている。
・メンテナンス性
汚れが付きにくい。細菌やカビの繁殖も難しく、清掃のために薬品も使用可能。
・意匠性
さまざまな風合いや色彩、形、材質感が表現できる。タイル同士の組み合わせ方も豊富で表現の幅が広い。
タイルのデザインや性能は、製作に用いられた原料の違いや釉薬(ゆうやく)の有無、成形方法などさまざまな要因によって差が出てきます。細かく辿っていくと無数に存在しますが、基本となる分類を紹介していきます。
タイルはまず、吸水率によって分類されています。吸水率とは「タイルにどれだけの水分が染み込むか」を示す指標のこと。磁器質・せっ器質・陶器質という分類に聞き覚えがあるかもしれませんが、2008年のJIS規格改正により試験方法が変わり、分類名もⅠ類・Ⅱ類・Ⅲ類と変更されています。
メーカーによっては、これまでの認知度に沿って、磁器質(Ⅰ類)・せっ器質(Ⅱ類)・陶器質(Ⅲ類)と、新旧合わせて表記しているものが多く見られます。この記事でもそのように記載します。
・磁器質タイル(Ⅰ類)
石英や長石などの原料を1,250度程度で焼く。綿密で硬質な素材を焼き固めることで、分類の中で吸水率は最も低い。水回りも含め、内装や外装のさまざまな場所で採用されている。
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・せっ器質タイル(Ⅱ類)
粘土や長石などの原料を約1,200度程度で焼く。磁器質タイルと同等の強度をもつ。素焼きのような素朴な雰囲気のものが多く、主に外壁・床に使用されるが、その風合いから内装への選択肢としても人気が高い。
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・陶器質タイル(Ⅲ類)
陶土や石灰などの原料を1,000度程度で焼く。多孔質のため比較的水を吸いやすい。外装には不向きだが、低温で焼くため発色がよく寸法精度高い。表面に釉薬を施すことで、強度を高める焼き方が多く見られる。
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タイルの製造方法は主に、湿式と乾式のどちらかで製造されています。
・湿式成形タイル
含水率が20〜25%の粘土状の原料を成形機で押し出し、ピアノ線などで所定の長さにカットして成形。原料の含水率が高いため、焼成により収縮や歪みが生じやすいが、その僅かな誤差が多彩な表情や質感を生み出す。使用する原料の特性から「せっ器質(Ⅱ類)」の製品が多い。
・乾式成形タイル
水分を限りなく含まないパウダー状の原料を金型に充填し、高圧プレスをかけ成形。低コストで大量生産ができ、水分がほとんどない原料からつくられるため、焼成後の寸法精度も高く品質が安定している。近年では加飾方法の発展により、湿式に近い質感を感じさせる製品も多い。
乾式成形においては技術革新により大判化が進み、1,500×3,200mmのような超大判のタイルも開発されています。タイル界の潮流として別の記事で紹介していますので、合わせてご覧ください。
タイルの表面処理として施釉と無釉の2つが存在し、釉薬を使用してるかどうかで分けられます。釉薬を素地に掛けて焼くと、熔けて素地と結合し、冷めることで硬くなり表面でガラス質になります。
・施釉タイル
色や艶、模様などは釉薬に用いた原料によって大きく左右される。また、コーティングすることで吸水性を抑え、割れにくくしたり、汚れが付きにくくする実用性を兼ね備えている。
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・無釉タイル
素地の本来の風合いが感じられるのが特徴。施釉タイルのツルツルとした質感とは対照的に、素焼きのざらっとした素材感で、床材としては滑りにくく、また傷が付いても目立ちにくい。
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釉薬は原料の種類だけでなく、素地との相性や焼成温度、施し方などによっても仕上がりが変わり、その組み合わせは無限に広がります。
デジタルプリントによる施釉技術の革新によって、木、石、金属といった他の素材そっくりに仕上げることが可能になりました。実際の柄の写真を印刷するように施釉して焼き上げるのです。タイルの耐久性・機能性と好みの素材感のいいとこ取りができるため、近年急速に普及しています。
紹介した以外に、形や大きさ、使用用途などでも分類が可能です。特に用途においては、床か壁か、屋内か屋外か、水回りかといった可否があります。タイルごとの仕様を確認しながら選ぶとよいかと思います。
最後はやはり、実物を手に取って質感に触れ、照明や日光を当てながら比較することをおすすめします。今回の記事で取り上げているタイルの多くは、「TECTURE」でサンプル請求ができますので、ぜひ活用してみてください。
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