東京・丸の内3丁目で隣接する帝劇ビルと国際ビルヂング(以下、国際ビル)が2025年をめどに閉館、新たに建て替えられます。
2つのビルは現在、皇居の南東部・皇居外苑の濠に面した敷地にあり、一体的に建て替える計画については、国際ビルを所有する三菱地所が2022年9月27日に発表していました(帝国ビルに入っている帝国劇場を運営する東宝も建て替え計画と劇場の一時休館を同日に発表 / 東宝 プレスリリースページ)。
「(仮称)丸の内3-1プロジェクト(国際ビル・帝劇ビル建替計画)」の開発エリアは、東京都の東京圏国家戦略特別区に位置付けられ、三菱地所と東宝のほか、現在の帝劇ビル9Fにあり、2024年12月をもって一時閉館する出光美術館を運営する公益財団法人出光美術館の3者によって進められています。
三菱地所が12月16日に発表した計画概要(プレスリリース)によると、低層部の外装デザインの提案を建築家・小堀哲夫氏(小堀哲夫建築設計事務所代表)が担当。出光美術館の館内設計・デザインは、日建設計が担当します。
1.帝国劇場・出光美術館の再整備と機能強化
2.皇居外苑を眺める低層屋上テラスの整備
3.東京メトロ有楽町線・都営三田線との駅まち接続
4.JR有楽町駅東西を結ぶ地下通路の新設など
本プロジェクトは、「大手町・丸の内・有楽町地区まちづくりガイドライン2023」に沿った建物計画のもと、エリアの歴史性を継承しつつ、芸術文化の発信を象徴する、皇居周辺地域にふさわしい都市景観の創出を目指しています。皇居からのパノラマ景観を意識したスカイラインを形成しつつ、街並みと調和しながら特徴あるデザインとなる見込みです。夜間も、大手町・丸の内・有楽町エリア(大丸有エリア)との統一性を図った照明計画が行われるとのこと。
このほか、地下空間では、既存の地下鉄駅(東京メトロ有楽町線有楽町駅、都営三田線有楽町駅)との接続も図られます。さらに、地上のJR有楽町駅を挟んだ東側のエリアとも接続する「東西地下通路」を整備されます。これにより大手町・丸の内・有楽町エリアの地下歩行者ネットワークが拡充されるとともに、将来的には、歩行者のための空間が整備される「KK線」の上部空間とのアクセス性や、都心部・臨海地域の既存地下鉄との利便性も向上する見込みです。
これらの整備は、2023年11月に策定公開された「有楽町まちづくりビジョン」(有楽町まちづくりビジョン策定委員会)に謳われている、有楽町エリアの将来像の実現に向けて、中長期的な目線で各街区の適切な役割分担を図り、段階的に都市基盤整備を進めていく要望に応じたものであり、また、国土交通省が示した技術的助言「複数の民間都市開発事業による共同貢献の実現のための新たなパッケージの導入について」(2017年3月)に基づいた計画でもあるとのこと。有楽町エリアの複数街区が協力して行う中長期的な共同貢献事業として進められる予定です。
計画地:東京都千代田区丸の内三丁目1番地1号他
工事期間(予定):2025年度~2030年度
都市再生特別地区の区域面積:約1.4ha
敷地面積:合計 約9,900m²
延床面積:約176,000m²
容積率:約1,500%
規模:地上29階、地下4階
建物高さ:約155m
本稿は、本プロジェクトに関して三菱地所が2024年12月16日に発表したプレスリリースによる(今後、変更される可能性あり)
https://www.mec.co.jp/news/detail/2024/12/16_mec241216_m31
既存「国際ビル」概要
ビル名称:国際ビル
所在地:東京都千代田区丸の内三丁目1番1号他
構造:鉄骨鉄筋コンクリート造
規模:地下6階+地上9階+塔屋3階建
敷地面積:5,623.30m²(1,701.05坪)
延床面積:76,918.25m²(23,267.77坪)
竣工年月:1966年9月
所有者:三菱地所・一般社団法人日本倶楽部既存「帝劇ビル」概要
ビル名称:帝劇ビル
所在地:東京都千代田区丸の内三丁目1番1号
構造:鉄骨鉄筋コンクリート造
規模:地下6階+地上9階+塔屋3階建
敷地面積:3,825.05m²(1,157.08坪)
延床面積:39,419.80m²(11,924.49坪)
竣工年月:1966年9月
所有者:東宝・公益財団法人出光美術館