人とコウモリのための木造タワー!?

© Karl Banski

オランダの森に建てられた〈アインデルハイデ展望塔（Watchtower Einderheide）〉は、サイクリングやウォーキングといったレクリエーションの一部として、ルート上の休憩場所や目印にもなる展望塔であり、地域に生息するコウモリのための生息地としても機能する建築です。

オランダと中国を拠点に活動する建築事務所NEXTアーキテクツ（NEXT architects）が設計しました。

注目ポイント

• 森を一望できる高さ26mの展望塔
• 集成材の構造と松の外装で構成された木造建築
• らせん階段と外装の切れ目により、登る途中でも楽しめる森の風景
• 控えめながら印象的な形状で、地域のランドマークに
• いたる所に多様な巣や空洞を設置したコウモリのための建築

（以下、NEXT architectsから提供されたプレスキットのテキストの抄訳）

© Karl Banski

© Karl Banski

〈アインデルハイデ展望塔〉は、周囲の景色を眺めるだけでなくこの地域に生息するさまざまなコウモリの生息地にもなっている。

高さ26mの木造建築からは、ブラバントセ・ケンペンの森の息を呑むような景色を眺めることができる。また2階部分にも展望台があり、高所が苦手な方も周囲の素晴らしい景色を眺めることが可能となっている。

これは、NEXTアーキテクツによる自然環境を考慮したプロジェクト・シリーズの新たな作品であり、人々だけでなく動物にも配慮されている。

© Karl Banski

森にそびえる控えめなアイコン

この展望塔は、控えめなデザインでありながら認識しやすい特徴的な形状をしており、アインデルハイデのアイデンティティに貢献している。また、アインデルハイデ森林地域のサイクリングやウォーキングといったレクリエーションネットワークの一部となっており、ルート上の休憩場所や目印にもなっている。

来訪者は高さ26mの展望台に登り、周囲を一望できるユニークなパノラマビューを楽しむことができるだけでなく、異なる高さに切れ込みが入っており、らせん階段を登っている間にも木々の間や森の驚くべき体験を提供する。

© Karl Banski

生態学者とともに設計したコウモリの巣としての建築

この塔は展望用だけでなく、木々に住むコウモリたちの避難場所としても役立っている。 構造物の異なる高さの場所に、冬と夏の住処、交尾や巣づくりの場所など、さまざまな種類の生息地となる多様なくぼみや空洞が設けられている。

これらの巣は、生態学者のイェルーン・モス氏（Jeroen Mos）によって、このプロジェクトのために特別に開発されたものである。

© Karl Banski

集成材で構成されたこの木造建築は、森の風景に違和感なく溶け込んでおり、この素材は樹上生活をするさまざまな種の動物の生息環境を模倣しているため、コウモリの生息地として理想的な環境となっている。

この建築は積層したカラマツ材の柱で構成されており、耐候性の処理をほどこされた松材で覆われている。木のざらざらとした表面はコウモリに足場を提供し、着地したり這い上がる際の滑り止めとして役に立つ。

塔の基礎は、地面に半分埋められた、冬の宿場のためのコンクリート製の地下室としても設計されている。

© Karl Banski

© Karl Banski

© Karl Banski

© Karl Banski

© Koen Mol

© Koen Mol

© Koen Mol

© Koen Mol

© Koen Mol

© Koen Mol

以下、NEXT architectsのリリース（英文）です。

Watchtower Einderheide takes recreational visitors to new heights to view and experience the surrounding forest. The 26-metre high wooden construction also provides a habitat for the various bat species present in the area. The design is modest, but has a recognizable and iconic shape that contributes to the identity of Einderheide.

The watchtower is part of the recreational cycling and walking network of the Einderheide forest area and is a resting point and orientation point on the route. The site is located along the flight route of bats and is therefore perfectly suited to accommodate a range of different bat species. At various heights in the structure, a diversity of niches and cavities are created to facilitate different types of habitats, such as winter and summer residences and mating and nesting places.

Visitors go up a spiral staircase to the lookout platform and can enjoy a panoramic view of the surrounding area at 26 meters height. On the way up, the notches at different levels offer a surprising experience of the trees and the forest. The restrained but characteristic landmark is the final piece in the series of area icons that give the N69 provincial road a clear and recognizable identity.

The tower consists largely of a laminated wood construction with notches at different heights. The wooden construction blends seamlessly into the forest landscape and the material is ideally suited for the bat accommodation, as it mimics the natural habitat of various species that live in trees. The roughness of the wood offers the animals grip to land and crawl away. In addition to the winter shelter in the basement of the tower, 20 specially designed habitats are integrated into the facade that provide a habitat for a variety of bat species.

NEXT architects 公式サイト
https://www.nextarchitects.com/watchtower-einderheide/