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[大阪・関西万博]国内パビリオン紹介_三菱未来館

三菱地所設計が設計した〈三菱未来館〉

[大阪・関西万博]国内パビリオン紹介

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パビリオンDATA

  • 設計
    三菱地所設計
  • エリア
    東ゲートゾーン
  • テーマ
    いのち輝く地球を未来に繋ぐ


三菱未来館の見どころポイント!

  • 仮設資材のポリカーボネート折板や鋼製足場板を利用した「再利用できる」建築
  • 基礎の接地面積を減らし、解体時の廃棄物量を削減した「浮遊する」構造
  • 待機時間も省エネで快適に過ごせる、すり鉢状の半地下空間

大地を間借りする「ショートサーキュラー」なパビリオン

三菱未来館

Photo: 中道 淳/ナカサアンドパートナーズ

2025 年大阪・関西万博に出展する三菱グループのパビリオン〈三菱未来館〉。展示テーマは「いのち輝く地球を未来に繋ぐ」。この理念をもとに、「生命・地球・人間」のつながりを建築で体現した。

建物は地下1階・地上2階建てとし、すり鉢状の楕円形半地下空間の上にひし形が覆いかぶさるように内接、さらにそのひし形に長方形が順に内接し、それぞれを「生命・地球・人間」に見立てた。

三菱未来館平面図

平面図(提供:三菱地所設計)

三菱未来館

Photo: 中道 淳/ナカサアンドパートナーズ

三菱未来館

Photo: 中道 淳/ナカサアンドパートナーズ

内部は、来館者が“体内”を立体的にめぐる構成である。まず猛暑時の日よけ空間となる半地下の〈ウェイティングパーク〉で涼をとり、そこから階段で上層へ。1階〈プレショー〉でガイダンス映像を視聴し、2階の〈メインショー〉へ。没入型の映像体験を終えた後、再び1階に戻り〈ポストショー〉を通り、最後に建物先端の浮遊する〈サンカクパーク〉へと導かれる。

三菱未来館

写真提供:三菱地所設計

三菱未来館

Photo: 中道 淳/ナカサアンドパートナーズ

三菱未来館

写真提供:三菱地所設計

空調エリアを最小限に絞り、多くを“縁側”のような半屋外空間にすることで、快適性と省エネルギー性を両立している。照明は建物内部から外へやわらかく光がにじむデザインとし、光と影が織りなすグラデーションが空間に深みをもたらす。

設計のキーワードは「小さな資源循環」。万博建築は会期終了後には解体し、敷地を元の姿に戻すことが前提だ。そのため、大切な地球資源である大地を「間借り」して万博が終わったらそっと元に還せるよう、リサイクル可能な鋼管杭による基礎形式として地面との接地を極力減らした。掘削土は敷地内の造成に用い、会期後にはそれを埋め戻す計画としている。

三菱未来館

Photo: 中道 淳/ナカサアンドパートナーズ

さらに、通常工事中にのみ活躍する仮設資材である鋼製足場板やポリカーボネート折板などを本仕上げ材として使用し、異なる使い方を模索するとともに会期後の転用も見据える。このように建設から解体までの過程をトータルにデザインする、小さな資源循環=ショートサーキュラー建築を目指した。

三菱未来館

Photo: 中道 淳/ナカサアンドパートナーズ

三菱未来館

Photo: 中道 淳/ナカサアンドパートナーズ

三菱未来館

写真提供:三菱地所設計

三菱未来館(断面パース)

断面パース(提供:三菱地所設計)

建築DATA

作品名:2025年大阪・関西万博 三菱未来館
設計監理:三菱地所設計/松井章一郎+根本大祐+荒井拓州+中村教祐
施工:竹中工務店・南海辰村建設・竹中土木共同企業体
所在地:大阪府大阪市此花区夢洲中1丁目地先(2025年日本国際博覧会会場内)
主要用途:博覧会施設(展示場)
建築主:三菱大阪・関西万博総合委員会

[敷地条件]
『2025年日本国際博覧会における建築基準法第85条第6項及び第7項の規定に基づく仮設建築物許可基準』
パビリオンタイプA(敷地渡し方式)の設計に係るガイドライン

[規模]
敷地面積:3,476.46㎡
建築面積:1,241.88㎡
延床面積:2,075.83㎡
規模:地下1階、地上2階
建物高さ:16.50m

[構造]
主体構造:鉄骨造、一部木造
基礎:杭基礎(回転圧入鋼管杭)

[工程]
施工期間:2023年7月〜2024年10月

[仕上げ]
外壁:ポリカーボネート折板、鋼製足場板、ALCパネル
床:コンクリート削り出し、土嚢袋
壁:単管足場材、真砂土現し、垂直養生ネット
天井:ライトゲージスタッド(角型)、構造用合板、足場用メッシュシート2種

トップ写真:中道 淳/ナカサアンドパートナーズ
テキスト提供:三菱地所設計


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『建築からみた万博』

 

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