隈研吾氏(1954-)の仕事を紹介する大規模展が、高知県立美術館で開催されています。
本展は、高知、長崎、東京の3都市で巡回する予定で、そのトップを飾る高知県は、隈氏にとって「ものすごくお世話になり、思い出もたくさん詰まった場所」であると、本展に寄せたコメントで語られています。同コメントは「僕が事務所を始めて、バブルがはじけたりして大変なことがあったちょうどその時に、梼原町で、自分の建築の方向性とでもいうべきものを見つけることができました」と続きます。隈氏にとってターニングポイントとなった地、同県西部にある梼原町には、町の総合庁舎をはじめ、〈雲の上の図書館 / YURURIゆすはら〉など、数多くの隈建築が建てられていることで知られています。
本展では、数ある隈氏の設計作品の中でも公共性の高いものを中心に30件を選び、隈氏が考える「5原則」——「孔」「粒子」「ななめ」「やわらかい」「時間」に分類し、模型や写真やモックアップなどで紹介。〈アオーレ長岡〉のような大型の施設だけでなく、居酒屋のリノベーションなど規模の小さい作品も含まれているのも、本展のみどころの1つ。その展示作品の全てに、隈氏による解説文がつけられています。
さらには、瀧本幹也、藤井 光、津田道子、マクローリン兄弟など、第一線で活躍するアーティストが、本展のために映像作品を制作しているのも注目です。内部空間をリアルに体感できる360度VRなども用意して、作品ごとに異なる隈建築の造形性だけでなく、竣工後にどのように使われているか、街や地域との関係をどのように結んでいるかといった観点からも考察を試みます。
サブタイトルにあるワード「ネコ」とは、本展で発表される、猫の視点から都市を見直すリサーチプロジェクト《東京計画2020 ネコちゃん建築の5656原則》に因んだもの。高度経済成長期のように都市を上から俯瞰するのではなく、下からの視点で見るべきである、という隈氏からのメッセージが込められています。同プロジェクトの展示では、隈氏と同じく国内外で活動しているデザイン・イノベーション・ファーム、Takramと協働。2010年に竣工した社殿の再生プロジェクトに隈氏が関わっている赤城神社が鎮座する、東京・神楽坂にて行った、フィールドワークやGPS測定のリサーチ成果が、3DCGやプロジェクションマッピングを用いて展示されます。
会期:2020年11月3日(火)〜2021年1月3日(日)
開館時間:9:00-17:00(入館は16:30まで)
休館日:年末年始・2020年12月27日(日)〜2021年1月1日(金・祝)以外は年中無休
会場: 高知県立美術館(高知県高知市高須353-2)
TEL:088-866-8000
観覧料:一般 1,300円、高校・大学生 800円 、小・中学生 500円、未就学児童無料
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳、および被爆者健康手帳所持者とその介護者(1名まで)、高知県および高知市の長寿手帳所持者は1,000円
※年間観覧券所持者は当日料金の半額
※第3展示室のみ観覧無料
※日時指定券の事前購入を推奨(当日券販売あり、但し、混雑時は予約者の入場を優先)
主催:隈研吾展高知実行委員会、東京国立近代美術館、文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会
日時指定予約はこちら・展覧会専用サイト
https://www.kutv.co.jp/kumakengoten/
会場・高知県立美術館ホームページ
https://moak.jp/
「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」特設サイト
https://kumakengo2020.jp/