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「ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み」

"言葉と音の建築家" 国内初の大回顧展、銀座gggにて開催

アメリカにおいて最も愛された芸術家の1人に数えられる、ソール・スタインバーグ(1914—1999)回顧展が、東京・銀座のギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)にて3月12日まで開催されています。

「ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み」

Photo by Mitsumasa Fujitsuka

スタインバーグは、ルーマニア出身。ブカレスト大学で哲学と文学を学んだ後、現在のミラノ工科大学で建築も学んでいる異色の作家です。

彼は、ドローイングを「紙上で推論する方法」と捉え、神話化されたアメリカの理想像と現実とのギャップや、不気味で滑稽な不条理、たとえば、古いものと新しいもの、優雅と狂暴といったものの混在とその見えない裂け目(クレバス)を、ユーモアと風刺を備えた、軽妙かつ鋭利な線(line)で描きました。「見えない線」、「見えないもの」、「見えない言葉」、「見えない構造」を視覚化し、意味の変換、概念の変換に、生涯にわたって挑戦し続けた作家でした。

「ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み」

Photo by Mitsumasa Fujitsuka

スタインバーグに対する当時の評価は「描く文筆家」、「言葉と音の建築家」、「境界線上の芸術家」、「新しい思想の起案者」などさまざまで、スタインバーグ自身のそれら肩書きの曖昧さを積極的に受け入れていたとみられます。彼は常に、未知の視覚的領域を見据えて、子供の絵や大人の落書きから、クラシック、バロック、マニエリスム、表現主義、キュビスム、構成主義まで、あらゆるスタイル、あらゆる表現方法を試みました。

「私は読者に共犯を呼びかけている」(S.スタインバーグ)

スタインバーグは、見る者に対して、現実の理不尽さに目を向けるために当事者になることを求めました。スタインバーグが生み出した造形は、渡米前はイタリアの風刺新聞『ベルトルド』にて、第二次世界大戦後は、アメリカを代表する雑誌『The New Yorker』誌にて50年以上にわたって表紙の画や中面に載るドローイングなどを描き続けました。
彼の最大の功績の1つは、新聞や雑誌という紙の面を、美術館の壁のような芸術表現の場へと変えていったことにあります。

「ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み」

Photo by Mitsumasa Fujitsuka

本展は、スタインバーグを単独で本格的に紹介する国内初の個展となります。ニューヨークのソール・スタインバーグ財団より寄贈されたポスター、リトグラフ、エッチング、木版画など62点が展示されるほか、日本を代表するイラストレーターの1人で、2019年に逝去した和田 誠氏の個人事務所より寄贈と貸出しを受けた7点のポスターも特別に展示されます。
さらに、フランスのマーグ画廊の作品集5冊や、ドローイングを中心とした代表作の複製作品などを含む、あわせて約280点の作品が一堂に会します。

「スタインバーグのドローイングを見せられたほとんどの人が、有り得るはずがない情景だと、最初は笑って反応したとしても、すぐに戸惑い、思考が停止し、宙吊りにされてしまう」(本展監修者:矢萩喜從郎氏談)

「ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み」

Photo by Mitsumasa Fujitsuka

ソール・スタインバーグ(Saul Steinberg)プロフィール
1914年ルーマニアのブカレスト近郊、ルムニク・サラト生まれ。ブカレスト大学で哲学と文学を学んだ後、イタリアのミラノ王立工科大学(現ミラノ工科大学)で建築を専攻し、1940年卒業。ミラノでは、風刺新聞『ベルトルド』に積極的に関与した。ユダヤ人であった彼は、1941年にファシスト政権下にあったイタリアを逃れてアメリカに渡る。第2次世界大戦中は海軍に入隊。戦後はニューヨークに居を構え、『The New Yorker』誌の仕事に携わるようになり、その後、50年以上にわたり同誌の表紙を89点、中面のドローイングを1200点以上手がけた。
知的で洗練されたスタイルで、漫画(cartoon)の世界に革命を起こし、美術の領域(ドローイング、絵画、版画、コラージュ、彫刻など)にグラフィックを取り入れた第1人者とされる。
1946年にニューヨーク近代美術館「14人のアメリカ人展」に選出される。1952年にニューヨークのパーソンズ=ジャニス画廊と、1953年にパリのマーグ画廊にて初の個展を開催。1978年にはホイットニー美術館で回顧展が開催される。没後は2006年を皮切りに大々的な巡回展「Steinberg: Illuminations」が開催された。
作品集として、『ALL IN LINE』、『The Art of Living』、『The Passport』、『The Labyrinth』、『The New World』、『The Inspector』ほか多数。
国内外のアーティストに多大な影響を与え、日本国内では、藤子不二雄、柳原良平、和田 誠ら、多くの漫画家やイラストレーターに影響を与えた。

「ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み」

ggg 外観 Photo by Mitsumasa Fujitsuka

展覧会「ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み」

会期:2021年12月10日(金)~2022年3月12日(土)
会場:ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)1F / B1
住所:東京都中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル(Google Map
開館時間:11:00-19:00
休館日:日曜・祝日
※会場では、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)対策を実施
※今後の感染拡大状況などにより、開館日時やスケジュールが変更される可能性あり

協力:ソール・スタインバーグ財団、マーグ画廊、和田誠事務所
監修:矢萩喜從郎
本展ポスターデザイン:矢萩喜從郎

ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)Webサイト
https://www.dnpfcp.jp/gallery/ggg/

© The Saul Steinberg Foundation / Artists Rights Society (ARS), New York

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