東京藝術大学美術学部建築科において5年にわたり教鞭を執ってきた、建築家の青木 淳教授の退任記念展が、東京藝術大学美術館 陳列館にて、11月18日より開催されています。
青木研究室では、毎年修士1年が「テンポラリーなリノベーションとしての展覧会」を企画、実践してきました。
搬入出と設営の様子を公開、午前と夜で会場構成も変える! 藝大青木研:テンポラリーなリノベーションとしての展覧会(2)「鳥は泳ぎつづける」
本展は、これら企画展の「番外編」として、同じテーマのもと、青木氏が主導して開催されます。
関連イベントとして、最終日には小金沢健人氏によるパフォーマンスも行われる予定です。
企画概要
テンポラリーなリノベーションが施されるのは、東京藝術大学 陳列館です。
建築とは、私たちに先立っていまここに存在している環境に対して、想像力をもって働きかけ、私たちの存在の基盤である環境そのものを揺り動かすことと、青木は考えてきました。一見、盤石の存在に見える目の前の環境もまた、それぞれの人の意志によって改変できるし、またそうすることによって、私たちは「自由」になれるものです。建築とは、単に建築物をつくるということよりも広く、環境へのそうした働きかけを指す概念であると考えてきたわけです。
青木は、大学という場で、実務的な意味での「建築」の基盤となる、概念的な意味での「建築」を後進に伝えようとしてきました。
東京藝術大学陳列館は、1929年に、岡田信一郎(1883年-1932)の設計により、大学の展示空間として建てられた建築です。以来そこでは、数多くの展覧会が開催されてきましたが、今回はその陳列館自体を「展示」するものと言えます。展示としてのそのリノベーションは、しかしインスタレーションにより、いつもの陳列館とは異なる陳列館に変貌させるということを目的としたものではありません。そうではなく、いつもは展示を支える背景としてあまり意識されていない潜在的な空間の質を、最小限の手つきで、いつもの陳列館に見出すことを目標としています。
建築はまた、特定の個人に帰属する「作品」に収束するのとは逆に、多くの人に開かれ広がることを目指すものです。それゆえ、本展では、教育研究助手、修士1年の学生たちはもちろんのこと、菊地敦己、小金沢健人、中村竜治の3氏に加わってもらい、主体のさらなる重層化を図っています。東京藝術大学 青木淳退任記念展「雲と息つぎ ―テンポラリーなリノベーションとしての展覧会 番外編―」会場にてインタビュー
会期:2023年11月18日(土)〜12月3日(日)※会期中無休
開館時間:10:00-17:00(入館は16:30まで)
※最終日12月3日は16:00まで(16:00からは小金沢健人によるパフォーマンス開催)
会場:東京藝術大学大学美術館 陳列館1、2階
所在地:東京都台東区上野公園11-8(Google Map)
観覧料:無料
主催:東京藝術大学美術学部、東京藝術大学美術館
企画:東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻青木淳研究室(青木 淳、笹田侑志、秋山真緩、大岩樹生、佐野桃子、三輪和誠)
協力:菊地敦己、小金沢健人、中村竜治
会場設営指導:studio arche(甲斐貴大)
巾木製作:伊藤 優
グラフィックデザイン:小原七海
本展概要 / 東京藝術大学大学美術館ウェブサイト
https://museum.geidai.ac.jp/exhibit/2023/11/clouds-and-breaths.html
本展公式ウェブサイト
https://aoki-lab.tumblr.com/