FEATURE

Interview with Hiroshi Nakamura

Takenoko chair | Time & Style

FEATURE2021.08.10

[Movie] Interview with Hiroshi Nakamura about〈Takenoko chair〉

【インタビュー動画】中村拓志が語る「日本人の美意識に通じる椅子」

中村拓志氏〈Takenoko chair〉発表会

FEATURE2021.07.22
中村拓志がタイムアンドスタイルと椅子をつくったら「タケノコ」が生まれた?! 〈Takenoko chair〉発表会レポート

建築家の中村拓志氏(NAP建築設計事務所 代表取締役)がデザインした〈Takenoko chair〉。
Time & Style Atmosphere(南青山店)で6月に行われた発表会のレポートを以前の記事でお伝えしましたが、TECTURE MAGでは中村氏に単独インタビュー。

ダイニングチェアとラウンジチェア開発の経緯や椅子の成り立ちについて、詳しく解説いただいたインタビュー動画をお届けします。

Photographs & movie: toha

動画の内容

0:12 「Takenoko chair 制作の背景」
1:41 「椅子の中に1つの空間がある」
2:20 「タケノコチェアの名前の由来」
3:56 「掃除のしやすさを考慮したかたち」
5:13 「Time & Styleとの協働」
5:42 「制作過程での変化」
6:44 「ナチュラルな暮らしに寄り添う椅子」

「プロダクトとしての椅子をデザインするのは、初めての経験」と椅子のデザインについて語る、中村氏。

「自分の設計する空間に合う椅子をつくりたいと考えていました。建築で丸太をよく使うのですが、1本1本、自然素材が持つ表情を楽しみながら使っています。そうした自然との対話は、これまで問題意識を持って設計してきました。この椅子の設計では、日本人がもつ自然主義的な美学を反映させることを目指しました」。

▲〈Takenoko chair〉(右)と〈Takenoko lounge chair〉(左)

丸太の構造材で構成する空間に合うように、椅子も丸棒でつくっています。
「日本の建築が持っている、水平・垂直の材を構成しながら空間をつくっていくような椅子をつくろうと。椅子の中に、1つの空間があるように材を構成しています」。

〈Takenoko chair〉の名前の由来について中村氏は、自然を尊重しながら暮らす日本人の感性と結びつけて語ります。
「自然素材である丸太を床の間の床柱として入れるとき、畳を敷くためにカットして出てくる表情と手法を“タケノコ”といいます。日本の伝統的家屋では、竹が床を突き破って出てくることがありました。
空間にとってはマイナスイメージのはずですが、部屋の中に竹が貫通してくるのをあばら家の風情として楽しめる美学が、特に千利休の以降の日本の茶室文化の中にあり、そうした感性が“タケノコ”に現れています。
今回の椅子でも、座るときに踵(かかと)が当たる部分や、回り込むときに足が当たる部分をカットしていき、そうして出た表情を楽しむということで、“タケノコチェア”と名付けています」。

▲「タケノコ」の由来となった脚部の形状。カット面上端部にわずかな「むくり」が職人技で付けられている

そして中村氏は、〈Takenoko chair〉の持ち出された肘掛けについて、次のように説明します。
「肘掛けを持って、テーブルに引っ掛けられるようにしています。そうするとテーブルから椅子の脚が床から124mm浮いて、床にモップをかけたり掃除ロボットが通ることができます。
日本人は掃除について、空間を清めることが心を清めるという、生活哲学あるいは宗教意識にも通ずるような美意識を持っていると思います。そうした日本人の持っている精神性にもつながるかたちを目指しました」。

▲肘掛けをテーブル面に掛けると脚が床から浮き、清掃しやすくなる

中村氏は、椅子の制作を依頼したTime & Style(タイム アンド スタイル)について言及。長い期間をかけて協働してきたことを振り返りました。
「日本人が持っている自然に対する感性や、素材に対する繊細さという日本人の美意識を大事につくられてきたブランドだと思います。自分の問題意識やものづくりの精神に共鳴するところがあって、お願いすることにしました。
2年半以上をかけて表情やディテールを変えたり、材の太さを変えたり、背の位置や角度も何度もつくり直しています。特に大変だったのはタケノコの部分で、製材した丸棒を塗装してカットするのですが、1回手前に引いて“むくらせる”ことで柔らかいかたちをつくってもらいました。ものすごく繊細なことを相談して、実現していただいています」。

▲背などのサイズや取り付け角度は幾度も調整を繰り返したという

そして〈Takenoko chair〉〈Takenoko lounge chair〉には、木材の種類、また背と座の張地のバリエーションが用意されました。

複数のパターンを組み合わせることで、さまざまな空間に合わせられる、と中村氏は語ります。

「日本的な建築だけではなく、オーガニックでナチュラルな暮らしと生活にも合うような椅子になったかなと思います」。

“タケノコ”という言葉に、さまざまな意味と中村氏が長年あたためていた願いを込め、かたちとなった〈Takenoko chair〉。
日々触れながら使うことで、毎日の暮らしのあり方や、自然と人との関係を見直すことにつながることでしょう。
ぜひ実際に座って、デザインの奥深さを味わってみてください。
(jk)

タイムアンドスタイル公式Webサイト
https://www.timeandstyle.com/

中村拓志氏〈Takenoko chair〉発表会

FEATURE2021.07.22
中村拓志がタイムアンドスタイルと椅子をつくったら「タケノコ」が生まれた?! 〈Takenoko chair〉発表会レポート

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