［Interview］プロジェクトマネージャーを募集

ワークスペース空間の設計から施工までトータルで行っているユニオンテック。コロナ渦以降、オフィスの移転やリニューアルが増えるなか、同社ではワークスペース部門のプロジェクトマネージャーを募集しています。デザイナーとチームを組み、クライアントとどのように向き合っているかインタビューしました。

赤枝泰明（以下、赤枝）：ユニオンテックはオフィスや商空間のデザインだけでなく、施工まで自社で行う会社です。クロス職人からスタートした代表の大川が施工業全般を手掛けていき、12年ほど前からデザインの需要も増えてきました。現在はデザインから設計・施工までワンストップで行っています。

社員数は75名ほどで、デザイン部門はワークスペース空間と商空間に分けています。ワークスペースプロデュース事業部では主にオフィスの移転に伴う提案や企画、設計、施工を1プロジェクトごとにチームを組んで行っています。このワークスペース部門のプロジェクトマネージャーを募集します。

赤枝泰明氏（ワークスペースプロデュース部 取締役 / 事業本部長）

クライアントと設計・施工担当をつなぐ

山本泰輔（以下、山本）：1つの案件ごとにプロジェクトマネージャー、デザイナー、施工担当で1チームになって進めています。私たちプロジェクトマネージャーの仕事は主に、オフィス移転などの企画段階から工事完了、引き渡しまでを常に俯瞰しながらやり取りを進め、プロジェクト管理をしていくイメージです。社内はもちろん、クライアント、テナントビルやオーナーといったさまざまな関係者と繋がり、窓口のような役割を担っています。プロジェクトマネージャーという名称なのでチームビルディングも行っていると思われることもありますが、チームの人選は管理職が行っています。

山本泰輔氏（ ワークスペースプロデュース事業部 プランニングG マネージャー / チーフプロデューサー）

櫻田莉紗（以下、櫻田）：どんなプロジェクトも時間や納期、品質、予算が関係してきますが、デザイナーはクライアントの要望を吸い上げてかたちにする仕事で、施工管理はつくり上げていく仕事です。この2つは職能が特化しているので、そのつなぎ役がいないと仕様を決めていく際に管理できずに後で予算超過したり、納期や入居時期に間に合わないといったことにもなりかねません。それをセーブしたり、調整したりしていく役割がプロジェクトマネージャーです。

普段はデザイナーと一緒に、クライアントとの週1回ほどの定例ミーティングに出席しています。積算が始まる前の段階から、要望のためのコストを予想し、予算や納期について助言する調整業務が多いですね。

櫻田莉紗氏 （ワークスペースプロデュース事業部 アカウント2G チーフプロデューサー）

突発的な要望にも応える準備を整える

山本：私たちプロジェクトマネージャーはどんな案件でも初めに動く部署になります。クライアントの業種、業態などをかなり調べたうえで提案に必要なものを提示していきます。なるべく先回りしつつ、突発的なことに対応できるようにしています。案件ごとにまったく違うジャンルの企業と関われるのもやりがいの1つです。

あるプロジェクトで全体を通して順調に進んでもう工事が始まるという段階で、クライアントから「1000万円予算を追加するのでモニュメントを置きたい」という要望が出たことがあります。できるかできないではなく、この段階では「どうやって予定していたスケジュールに納めていくか」が鍵になるので、まさにその調整はプロジェクトマネージャーの領域でした。

個性豊かなエンジニアが集まり、成長していくさまを表現したモニュメント

山本：直前でこういった要望が出るということは、それまでチームがクライアントと何度も話し合い、関係性を深めていけていたからだと思うので大変ではありますがうれしいことでもありますね。

「期待を超える」を目指す

櫻田：今年、商号変更に伴いこれまでのオフィスから移転することになった〈CAMPARI GROUP〉さんのオフィス移転を担当させてもらいました。そのなかでカウンターを製作して製品のボトルを大量に並べるというデザインがあったのですが、照明に対してアルコールが弱かったんです。

オフィス移転を手掛けた〈CAMPARI GROUP〉

櫻田：熱をもつとアルコールが変色してしまうことが分かって、スケジュールもにらみながら、クライアントの専門部署と並べる棚板に対して照明の色味や発光具合、どのくらいの熱を帯びるかなどをアルコールの種類や資材をたくさん集めて検証しました。

このプロジェクトでは「人が来ると開く隠し扉をつくりたい」という要望もあり、どうやったらスムーズに開くかを検討して提案しました。予算の関係でその通りには実現はしなかったのですが、プロジェクトごとにさまざまな分野について調べたり、実現させるための準備や検証をしてデザイナーに橋渡ししていくのはやりがいがあります。

アルコールの色味を損なうことなく陳列できるよう、何度も試作のうえ製作された飾り棚

知見を活かしてさらに経験を積み、提案に活かす

曽我部駿伍：私はまだ入社して年数が浅いのですが、社内全体で進行しているプロジェクトの数がとても多く、さまざまな経験をさせてもらっています。今回、中途で入られる方はそれまでの知見や経験があると思いますが、さらに好奇心がある方はすぐなじめると思います。

本当にいろんなタイプの人がいるので仕事は楽しいです。会社自体も「どんどんやってみなよ」というスタンスなので、若手でも提案や意見は出しやすい雰囲気です。

曽我部駿伍氏 （ワークスペースプロデュース事業部 プランニング＆デザイン部 アシスタントプロデューサー）

山本：私は前職でもプロジェクトマネージャーをやっていましたが、デザイナーが企画やプロジェクト方針を決めたものに関わっていくスタイルでした。その点、ユニオンテックではクライアントとの最初のヒアリングから参画し、クライアントの課題抽出から要件定義し、全体の企画づくりからプレゼンテーションまで任されるので、業務範囲が幅広い。逆に言うと新しいことに対面することが多々あるので、柔軟に受け入れることでいろんなことにチャレンジできるカルチャーだと思います。

櫻田：私はもといたデザイン会社では営業職でした。空間づくりやオフィスの環境構築が好きで、デザイナーになるために学校も通いましたし、施工管理に携わったこともあるのですが、どちらもしっくりきませんでした。今のプロジェクトマネージャー職はデザイナーや施工管理という色の強い職種の間にあります。この会社ならではかもしれませんが、プロジェクトの最初から最後まで動かしている感覚があるし、さまざまな経験が積める環境だと思っています。

赤枝：企業の経営や事業に切り込み、期待値以上の提案をしてクライアントが日々実際に働く場所をつくるのが目的ですが、オフィス空間が売り上げや業績に直結するかはすぐには分かりません。しかし、クライアントの要望や問題点を改善できる空間の提案に目を向け、その本質にトライしていってもらいたいです。そういったひも解き方はクライアントに喜ばれますし、私たちのやる価値だと思っています。

プロジェクトマネージャーは、クライアントの要望がまだ抽象度が高い時点から解像度を上げてデザイナーへつなげていく重要なポジションです。「案件を円滑に納める」のが仕事ですが、もっと上流からコミットしてほしいと思っています。

インタビュー：2024年10月1日　UNION TEC本社にて
トップ画像〈Sold out〉Photo：adhoc / Daisuke Shima
Photographer：Shun Fukuda（人物）