京セラ株式会社は、同社独自のデバイスを数多く搭載したコンセプトカーの第2弾となる「Moeye(モアイ)」を開発、概要を2020年9月29日に発表しました(プレスリリース)。
「Moeye」とは、自動運転化やMaaS(Mobility as a Service / マース)の普及が進む中で、車室内空間の重要性に着目し、京セラが考える未来のコックピットを具現化したコンセプトカーです。
コックピットのデザインにとどまらず、それと調和のとれる外装を含めた車両全体のデザイン提案をすることで、よりリアルに未来のコックピットを体験できます。また快適性だけでなく驚きやワクワクをより色濃く味わってもらえることにも重点を置き、開発されています。
今回の象徴的な機能として、東京大学先端科学技術研究センターの稲見昌彦教授と協働し、独自の光学迷彩技術を用いてコクピットの一部を透明化し、ドライバーの視野を広げることを可能にしています。
さらに人間の視覚・触覚・聴覚・嗅覚を楽しませる京セラ独自の各種デバイスを数多く搭載し、車として重要な安全性とエンターテインメント性の両方を兼ね備えた車となっています。京セラが考える未来の車の世界観を世に問う作品です。
# Car Watch Channel 京セラのコンセプトカー「Moeye(モアイ)」プロモーションムービー(2020/09/29)
遡って、プロジェクトの第一弾として、2018年に京セラが発表したコンセプトカーは、かつて京都にあった自動車メーカーのトミタ夢工場が製造・販売していた「トミーカイラ(Tommy kaira)ZZ」をベースに開発されました。このデザインを手がけたのが、当時はGLM株式会社のチーフデザイナーで、現在は京都を拠点とするデザインスタジオ・Fortmarei(フォートマーレイ)の代表取締役社長を務める石丸竜平氏。今回の「Moeye」のデザインを手がけています。「Moeye」プロジェクトでは、フルスクラッチでの開発により、京セラの描く未来の自動車をより鮮明に表現しています。
# 京セラ YouTube公式チャンネル「京セラコンセプトカー」(2018/05/22)
石丸竜平氏コメント:
プロジェクト第二弾となる「Moeye」のデザインテーマは「時間」です。このコンセプトカーでは「伝統」から京セラの描く「自動車の未来」まで自動車の歴史を駆け抜けるような体験を提供できるようデザインしました。
外装はクラシックカーを意識した面構成で全体のプロポーションをまとめながらも、細部の処理は幾何学的な造形により未来を感じさせます。
なお、Fortmareiも29日に「Moeye」に関するプレスリリースを発表し、オフィシャルスケッチなどを多数公開しています。
石丸竜平氏コメント:
最先端技術を取り入れた内装は、新しい形に落とし込みながらも古き良き時代のクラフトマンシップを思い出させるような温かみのあるテクスチャを融合させました。着座すると目に飛び込んでくるコックピットのデザインは、リアルバーチャルを体験するに相応しい未来感あるミニマルなデザインで仕上げました。展示会では実際に体験者が、自動車を外から見る-ドアを開ける-乗り込む-そして最後に車内でデモを体験、という一連の流れの中で、形のデザインだけでなく素材をも通して自動車の伝統から未来を五感によって感じることができます。
京セラでは、今後も注力分野であるモビリティセグメントにおいて、独自のデバイスやシステムを開発することで、安全・安心・快適な車社会の実現に貢献するとともに、未来の自動車のコンセプトと、新しいユーザー・エクスペリエンスを提案していく予定です。
実装されている技術とデバイスについては、本稿「VIEW MORE」をクリックすると確認できます。
また、Fortmareiでは、チーフデザイナー石丸竜平氏が、イタリアと日本国内のOEM(: Original Equipment Manufacturing / オリジナル・エクイップメント・マニュファクチャリング)で培ったカーデザインの経験を生かし、自動車を中心とした工業製品全般の企画、デザイン開発を行う予定。同社では、石丸氏を中心として、コンセプトメイキングからデザイン開発、製作、完成までのデザインフォローを一貫して行えることを強みとしており、デザインコンセプトにブレのないプロセスを提供することができます。 今後は自社の自動車開発プロジェクトも展開予定とのことです。(en)
Fortmarei 公式ウェブサイト https://fortmarei.com/