建物にオリジナリティと豊かな表情を与える「DNP内・外装焼付印刷アルミパネル アートテック®」。高い意匠性と耐候性、加工性を兼ね備えており、さまざまな建築物の外装・内装で利用されています。
アートテックはアルミ素材にデザインを印刷した製品のため、木・石・金属など天然素材の問題点を解決するだけでなく、DNP独自の印刷技術によって豊富な表面仕上げ・質感表現が可能となっています。
アートテックの中でも「アートアルミシリーズ」のコールテン鋼をモチーフとしたアイテムを採用しているのが、分譲マンション「グランクレア昭和前山町」と「グランクレア昭和楽園町」。街の景観を柔らかく区切るアプローチのエントランス部にアートテックの魅力が活かされています。
両建物の全体の設計、プレゼンテーションから実施までを担当したのは株式会社IAO竹田設計の浅井泰貴氏。
今回は、本施工事例とアートテックについて浅井氏に詳しくお話を伺いました。
INDEX
・プロジェクト概要
-「門」と「森のリビング」をコンセプトに重厚なファサードを表現
- 素材選びのこだわり
・アートテックの選択理由
・施工と加工のポイント
・アートテックの評価と今後の期待
―― プロジェクトの背景や条件は、どのようなものでしたか?
浅井泰貴(敬称略。以下、浅井):「グランクレア昭和前山町」と「グランクレア昭和楽園町」の計画は、同時にスタートしました。どちらの敷地も、邸宅が並ぶ第一種低層住居専用地域で、複数の大学が集まる文教地区内にあり、土地活用のために低層マンションを建てたいという依頼を受けました。
建設設計の手順として、まずはプロジェクトの初期段階にクライアントの要望をヒアリングしながら、規制や条件などを整理していきます。当該地域は歴史のある落ち着いたエリアのため、クライアントからは「趣のある雰囲気」が求められました。そこで私たちは、長い年月をかけて受け継がれてきた街並みに溶け込むような佇まい(たたずまい)を検討していきました。
―― 具体的には、どのような設え(しつらえ)にされましたか?
浅井:基本計画の段階で用意したコンセプトシートは、「門」と「森のリビング」というイメージでまとめました。本建物では、道路からのアプローチが外観の主要なポイントになります。昔ながらの邸宅が門構えで格式を示していたように、エントランスまわりを重厚な門構えにすることを意識しました。エントランスロビーへの出入り口と駐車場に出入りするためのゲート部分をつなぐように庇(ひさし)を設け、水平ラインを強調した門構えとしています。また、アプローチには多様な植物を植えて、四季折々の表情を楽しめるように考えました。エントランスロビーに入ると、リズミカルに配した縦長のガラススリットから外の緑が垣間見え、緑に囲まれた「森のリビング」にいるような感覚になります。
「趣のある雰囲気」を実現するために、建物に使う素材の“本物感”は非常に大切な要素です。そのため、とくに通る人の視界に入りやすい仕上げには、素材感をよりリアルに伝えられるものを選択しました。例えば、壁は厚みの異なる石材をレンガ積みのイメージで施工しており、表面の凹凸で出る陰影が重厚さをより引き立てています。
―― 石材と合わせて、アートテックを採用された経緯を教えてください。
浅井:アートテックも石材と同様に、門構えとなるアプローチまわりの、手の触れる距離にある部位で採用することにしました。コールテン鋼をモチーフとしたパネルを選択したのは、錆(さび)で保護するコールテン鋼に、時を経て移り変わる独特の表情があるからです。落ち着きのあるサビの表情が、人の注意と興味をひくような存在になると考えました。最初は本物の鋼板の採用を検討しましたが、重量がかさむことや、多額のコストがかかること、さらにメンテナンスの観点でも不安が生じます。そこで、以前からアートテックにコールテン鋼モチーフのアイテムがあることを知っていたこともあり、DNPの担当の方に相談しました。
アートテックは現場に合わせて製作するオーダーメイドなので、担当者と会話をしながら、表現したい雰囲気のイメージを写真や言葉で伝えていきました。サンプルを3色ほどつくってもらい、色合いや表情を比較しながら、数回のやり取りを経て決定しました。私たちはさまざまな建築素材についてメーカーとやり取りしながら試作しますが、その過程で新しい発見をして、どう使いこなすかを考えていくのはモノづくりの醍醐味ですね。
―― パネルは建物にどのように納められましたか?
浅井:門構えの柱型部分をコールテン鋼調にしたいと思っていました。パネルは横に施工して、隣接する石材やタイルの目地と合わせてサイズを調整しています。また、出隅部分では見切り材を設けずに、パネルを曲げてコーナーをつくって納めています。パネルを施工する部位は、「面」というよりも「立体」を意識させる厚みや量感を出したいと考えたためです。
コールテン鋼モチーフのパネルは、自動ドアの扉材にも採用しています。扉は上からつるため重量制限がありますが、アルミ製のアートテックは、高さが3m近い扉でも問題なく施工できました。さまざまな部位で使いやすい部材だと思います。
―― アートテックを実際に使用した感想や意見をお聞かせください。
浅井:オリジナル性を出して前面道路に向けた景観をつくり出せてよかったと思いますし、事業主からは「いい表情をしている」との評価をいただいています。
金属や木などの天然素材を使いたいけれど、メンテナンスや重量といった面で施工が難しい場合に、アートテックは有効な選択肢になります。とくに外部では、他の材料と比べて耐候性の面で強みがあり、本物以上の機能を備えているといえるでしょう。また今回採用したアートテックパネルには、本物のコールテン鋼にもない独特の金属感があり、その表情が気に入りました。表面の光の反射具合を活かした新たな製品の提案に期待しています。
IAO竹田設計は、分譲マンションの設計を中心に、近年では福祉施設やオフィス、ホテル、スタジアムなど、さまざまな用途の建築に対象を広げているところです。これからも、強みを活かせる部位でアートテックを採用したいと考えています。
(2023年9月22日 IAO竹田設計 名古屋事務所にて)
株式会社IAO竹田設計 浅井 泰貴(あさい やすたか) 氏
1980年愛知県生まれ。2003年早稲田大学理工学部建築学科卒業。
建築専門学校講師、設計事務所所員を経て、2008年株式会社IAO竹田設計入社。
主に共同住宅の設計・監理を担当。2022年グッドデザイン賞受賞。1級建築士。
*この記事は大日本印刷によるインタビューをもとに再編集したものです。
この度焼付印刷アルミパネル「アートテック®」のHPをリニューアルしました。アートテックの特徴や意匠、施工事例などをよりわかりやすく、より多くの情報をお届けします。また設計インタビュ―記事やコラムなどの新しいコンテンツを続々更新し耳寄りな情報を発信します。
大日本印刷株式会社「アートテック®」について
・天然木と合わせて使用しても違和感のない意匠レベル
・同柄でいろいろなカラーをつくることができるデザインカスタマイズ性
・完全外部でも使用可能な高い耐候性大日本印刷のアートテック®は物件によってその顔を変え、その物件のコンセプトや込められた想いを印刷の力で表現します。
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