近年、局所的かつ短時間での集中豪雨により、歩道や道路が冠水したり、なかなか水が引かなかったりといった事例が頻繁に起こっています。降水量が多いことだけでなく、舗装されたアスファルトにより地中への雨水の浸透を妨げていることも要因にあるようです。
透水性舗装は大雨の際、地中に素早く雨水を浸透させ水たまりを防ぐだけでなく、一時的に保水することで雨水貯留の役割を果たします。徐々に側溝や河川に流すため、急な河川水位の変動を防ぐことにもつながります。ここでは透水性が高いだけでなく、再生材料を使用して環境に配慮した製品について紹介します。
ヤマチコーポレーションが扱う「グラベルフィックス」はオランダ製の砂利舗装材。ハニカム構造の本体を敷設し、砂利を充填することで雨水を地中に浸透させます。砂利敷きのみの場合のように轍や窪みをつくらないため、車椅子やベビーカーも通りやすい路面となるのが特徴です。歩道や戸建てカーポート向けの「ライト」と大型車両の通行にも耐える「プロ」の2種類のラインナップがあります。
メゾンの衣料用ファブリックや車両シート材からメディカル素材まで広く手掛ける繊維染色・化学素材メーカーである小松マテーレは、繊維の染色工程で発生する廃棄物を焼成した多孔質な骨材を有効活用し、舗装ブロック「グリーンビズ・グラウンド」を展開しています。
工場廃棄物の削減につながるとともに、高い透水性と保水性で水たまりの発生を抑制し、打ち水効果も期待できます。また、雨水が緩やかに循環することで治水対策にも役立ちます。
天然石を用いた舗装で難点だった空隙の耐衝撃性を、最密構造によって強度を上げたのがヤブ原産業の「アーバンロック」です。透水性に優れ、水たまりの発生を防ぎます。また、クラッシャーランの上にハニカム構造のベース材を敷設し、強度と透水性を備えた天然石の舗装路盤「深層透水40」もあります。
四国化成の「リンクストーン」は天然石を採用した舗装材。石の大きさにより3種類のラインナップがあり、石同士が点接着することで透水性があります。無黄変ウレタン樹脂の採用で紫外線による劣化を防ぎ、美観性を長く保つことができるのが特徴です。天然石のほか、リサイクルガラスや着色セラミックも選べます。
トップ画像:〈小泊Fuji〉(外構施工:SAO建築設計室 / 写真提供:ヤマチコーポレーション)