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浦田晶平 / Old Kanが語る「レンダリングで広がるデザイン事務所の可能性」

[Interview]画像生成AI「MyRenderer」の活用術

PRODUCT2024.12.20

今年7月、TECTURE MAGでも取り上げた、建築・内装に特化した画像生成AI「MyRenderer」。建築ビジュアライゼーション、XRコンテンツ制作を手掛けるCGプロダクションのCGworksから発売された、画像生成AIを活用した新サービスです。

「MyRenderer」のUIや操作方法はシンプルで、スケッチや写真などの画像をアップロードし、キーワードを選択するだけで特別なスキルや経験がなくても質の高いデザイン案を自動作成します。

TECTURE MAGでは3回にわたり、インテリアデザイナーや設計者がどのように「MyRenderer」を活用しているかをインタビューします。第1回目はOld Kanの浦田晶平氏です。

浦田晶平|Shohei Urata

1987年北海道札幌市生まれ。2011-2014年内装設計事務所勤務後、2014-2020年乃村工藝社 A.N.D.小坂 竜氏に師事。2020年4月Old Kan設立。商業店舗、ホテル、ブライダル施設を中心に幅広いジャンルのデザインを手掛ける。
主な受賞歴に、Sky Design Awards 2024 “Short list”、IF Design Award 2023 “Winner”、Kukan Design Award 2022 Service / Hospitality space “Short list”、Sky Design Awards 2022 “Silver”、Sky Design Awards 2021 “Shortlisted The New Black”、Kukan Design Award 2020 Service / Hospitality space “Gold Prize”、International Property award 2018 “Winner”、Andrew Martin Design Award 2015,2017 “Winner”、APIDA 2016 ( HK ) “Short list” など。

—– まずは浦田さんのお仕事について教えてください

浦田晶平(以下、浦田):2020年4月に独立して5年目になります。物販店やホテルが中心ですが、レンジを絞らず幅広く設計業務をやっていきたいと考えているので、いろいろな業態のインテリアデザインをやらせていただいています。ちょうどコロナ渦の始まりと同時に独立したので、1業態に特化しすぎていると予想しない天災が起こったときに大ダメージを受けると痛感したんです。

前職では主にホテルのプロジェクトを担当していました。ホテルにはパブリック空間、バーやレストラン、ショップ、ジムやプールまでさまざまな空間があるので、まんべんなく経験させていただいて知識が付いていたことが今に生きているかもしれません。未経験の領域もありますが、どのような案件でも依頼が来たら「とにかく携わらせていただく」というスタンスで仕事をしています。

設計フローとしては、川上のフェーズから参画して、区画決めや物件探しのところから携わるケースがあったり、基本デザインからスタートし、基本設計、実施設計、設計監理まで一貫して携わらせていただく場合も多くあります。

—– 「MyRenderer」をどのような業務で使われていますか?

浦田:私の事務所では平面プランが上がったころや、イメージ写真を探すタイミングくらいで「こういう構成もありなんだな」という発見に繋げるために「MyRenderer」を使ってレンダリングすることがあります。

元となるスケッチ例

使用スタイル名「ブラウンの追求」で実際にレンダリングしたもの

デザイナーって、プロになるほど、どこかデザイナーのクセが強く出てくると思うんです。それをいい意味で無視して斬新なアイデアを生み出してくれる生成AIというのは、クリエイションの可能性を広げることにつながります。

ただ、デザイナーとして注意しないといけないのは、ポイントを抽出するといった使い方に留めることだと思います。あくまで生成されたアイデアを一部ピックアップして参考にはするけど、レンダリングされたものが主になるのは違うなと思っています。デザイナーのポリシーを守りつつというか、デザイナー魂を殺すことなく利用しています(笑)。

—– ほかのCC制作サービスに比べて魅力はどのようなところでしょうか?

浦田:「MyRenderer」は、レンダリングのスピードが速いですし、同じ元画像で同じ条件でレンダリングしても都度少しずつ違うものが仕上がってきます。レンダリング無制限なので、ある程度自分が気に入った画像が出るまで何回でもレンダリングを試すことができるので助かっています。

スピードもそうですが、とにかくクオリティがすごく高いと思いました。ライティングのレベルも高いし、家具の質感や張地のテクスチャもよく出ています。パースの消失点にたまにゆがみを感じることがある程度で、CGデザイナーはいらなくなるんじゃないかという怖さを感じるほどです。

元となるスケッチ例

使用スタイル名「ダークモダン」で実際にレンダリングしたもの

金澤勇輝(株式会社CGwroks 代表取締役 / 以下、金澤):学習させる画像から質の高いものを採用して、生成したものをさらに監修してと、とにかく質にはこだわりました。また、選択肢や言葉を選ぶだけで、一瞬でデザインできることに重点を置いて開発したので、選択スタイルの多さやスピード感はかなり力を入れています。デザイン事務所や設計事務所のみなさんは常に時間に追われてお忙しいので。

浦田:パースのクオリティは光と影で決まると思うんですよね。「MyRenderer」はそこが長けているところが何よりすごいと思います。床壁天井の仕上げのテクスチャなどはいろいろ追従している他サービスもあると思うんですけど、光と影の出方のクオリティがリアルなのは相当な強みだと思います。

—— クライアントとの打ち合わせで生成したものを見せることはありますか?

浦田:「MyRenderer」で生成したものをプレゼンでそのまま出すことはありませんが、「こういう考え方もありですよね」と、打ち合わせ中、「MyRenderer」で部分的に見え方をテスト検証したCGを見てもらったことがあります。クライアントもいい意味で思い描いていたものと違うかたちで出てきたことに驚かれていましたね。「什器はこういう形状もありですね」という議論が生まれたり、高さのバランスなどをその場で検討することができました。

金澤:そのまま現場に携帯できるかたちで提供させてもらっているので、スマートフォンやタブレットでも手軽に活用でき、出先の打ち合わせの場でも使っていただけると思います。もともとCGworksは建築CGを制作しているプロダクションなので、現場寄りですぐ使えることを意識して開発しています。

—– 今後の「MyRenderer」へ期待することはありますか?

浦田:今でも十分なクオリティでコストパフォーマンスもすごすぎるのですが、期待を込めて言えば2つあります。

まず1つはチェアなどのプロダクトです。チェアに限らず空間以外の単体のプロダクト生成を実装してほしいですね。家電は入れなくてよいと思うのですが、空間に必要な家具系が追加されるとうれしいです。

あとは、前半でも話しましたが、パースが消失点へ向かう精度が上がるといいと思います。今でも十分すごいんですけど、さらに精度が上がってくることへの期待感があります。

浦田:金澤社長より、先ほど「デザイナーは忙しい」とおっしゃっていただきましたが、並行していくつものプロジェクトを抱えていると、1つ1つのデザインにかけられる時間は本当に限られています。

CG制作できるスタッフがいる事務所もありますが、自分自身もスタッフもクライアントに会ったり、現地調査に行ったりと多忙です。そんな日々において素早くアイデアを生み出したいときに、「MyRenderer」は何の縛りもなく斬新なかたちを即座に提供してくれることもあって、クリエイターの可能性を広げるツールだと思います。本当にいいアシスタント、右腕のようになりえるサービスだと感じるので、一度試してみると世界が変わると思いますよ。

 

Interview:11月25日 Old Kanオフィスにて

Photo: TECTURE MAG編集部(人物)

 

 

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PRODUCT2024.07.31

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