まもなく6カ月の会期を終え、閉幕する大阪・関西万博では、大屋根リングを始め、魅力的なパビリオン、共用施設、トイレなどが話題になりました。
広大な万博会場では、各参加国、各企業などがさまざまなコンセプトでデザイン・設計した大規模なパビリオンが目を引きますが、参加国が内外装を手掛ける建物渡し方式やコモンズ館のように、複数の国が1つの建物を共有し、展示エリアを造作する共同館方式のパビリオン、アリーナや迷子・ベビーセンターといった各種施設など、多くの建築物があります。

複数ある看板の視認性を妨げないシンプルな窯業系サイディングによる外壁
「未来社会の実験場」というコンセプトにもあるように、新たな取り組みや最新の技術が見られる万博ですが、建築資材においては、リサイクル資材の積極的な使用や解体時に分別しやすい建築構造・工法であること、外装材、内装材の大半は着脱が可能か、もしくは単種類の材料で構成され、リサイクルできるような構造・工法とすることなどが求められています。
ゲート付近にあるアクセシビリティセンターなどの共用施設、コモンズ各館、国際機関館、ミャクミャクハウス、ヨルダンパビリオン、ペルーパビリオンなど、27の施設では、ケイミューの窯業系サイディングが使用されています。

ケイミュー提供による窯業系サイディング
窯業系サイディングは、セメント質原料や繊維質原料を混ぜて板状に成形した外壁材で、主に戸建ての外装材として採用されています。海沿いの埋め立て地である夢洲で開催された今回の万博では、耐久性、防火性、耐震性、防水性のほか、耐風圧性なども備えた窯業系サイディングのメリットが活かされていると言えます。
施工面でも、工場生産されたパネルを現場で効率的に取り付けられ、職人の負担が少ないことも、工期が厳しい万博建築において有用でした。
また、タイル柄や木目柄、金属調など、テクスチャーが豊富で意匠性が高まってきていることも窯業系サイディングの特徴ですが、今回の万博で使用されているケイミューの窯業系サイディング(フィエルテ)は金属モチーフの落ち着いたグレーの色調で、大屋根リングやさまざまな素材が外装に使用されている周囲のパビリオンとも調和し、コモンズ館では各国の国旗を鮮やかに引き立てています。

ファサードに国旗がデザインされたコモンズ館
ケイミューは先進的でサステナブルな企業を目指し、2023年に20年目を迎えた屋根材・外壁材・雨といなどをトータルに扱う国内唯一の外装建材メーカーです。昨年9月、窯業系サイディングやスレート屋根材10製品で国内初となる環境認証ラベル「EPD(Environmental Product Declaration)」を取得しています。
日本語で「環境製品宣言」と呼ばれる「EPD」ラベルは、製品のライフサイクル全体における温室効果ガス排出量をCO2換算で定量的に示す、ISO準拠の環境ラベルです。これにより製品情報の透明性が高まり、環境価値の評価や持続可能な建材としての信頼性が向上します。

コーナーにペイントが施された窯業系サイディングによるコモンズ館の外壁
住宅、非住宅など用途に関わらず、これまで多くの建材は天然素材を原料とし、燃料を用いて工場で製造されていました。さらに工場から現場への製品輸送でもCO2排出を避けることは困難です。現在は、多くの企業で工場内の熱リサイクルや、再生材料を使用してバージン材料の割合を減らすなどの取り組みが見られます。
ケイミューでも原材料メーカーと協力し、脱炭素に向けた原材料の開発や端材リサイクルシステムの構築、生産工程の短縮を目指した改善や技術開発、現場に近い工場や配送センターから商品を発送する取り組みなど、脱炭素社会の実現に向けて取り組んでいます。グリーン調達比率(再生材料比率)は年々高まり、ケイミュー製品全体で約50%に達しました。

ゲート入場前の施設も会場内と同じ窯業系サイディングが使用され、統一感のあるデザインに貢献している
クライアントだけでなく、設計者やデザイナーも、建材の選択を通じて環境への配慮や、持続可能な社会、そして未来への責任を考えなければなりません。具体的な達成年度や数値目標を掲げ、製品づくりを行うケイミューの外装建材は今後も選択肢の1つとなりうるでしょう。
万博会場で使用されたケイミューの窯業系サイディング
「FLAT DESIGN PANEL フィエルテ」カラー:QFフィエルテ チタン アイロン
ケイミューの大阪・関西万博への取り組みについてはこちら