金属の質感や錆感を表現したタイルや床材など、リアルなメタル風建材が住宅、非住宅に関わらず採用が増えています。また、金属そのものをデザイン、加工する技術により、ステンレスやチタンなどの意匠金属がアパレル店舗や飲食店、マンションエントランスなどで用いられています。
日本の優れたものづくり技術によって開発、加工された金属建材は、加工や研磨技術によりメタリック感を強調したきらめきや揺らめきのある意匠金属や、デザイン性や視認性の向上のためのステンレスへの彩色など、さまざまな製品が出てきています。
ステンレスの鏡面材に波紋加工を施し、水面のような表情をもたせた藤田ワークス(本社:鹿児島県霧島市)のオリジナル内装用壁材「メタルフュージョン」は、ランダムに削られた凹凸があるように見えて実は薄く、フラットなのが特徴です。柄のパターンは17種類あり、希望の柄でオーダーメイドも可能とのこと。室内の家具やグリーン、照明、空などが映り込むことで、空間にさまざまな表情をもたらします。
ステンレス建材はシルバーが多く、シャープな印象を与える一方で「無機質で冷たい感じがする」「周囲の色調と合わない」という意見や要望は少なくありません。
ステンレス表面の皮膜に光があたると、一部の光は表面の皮膜で反射、ほかの光は皮膜を通過してステンレス表面で反射します。その波長の違いで生まれるのが干渉色です。CDの裏面を見たとき、いろいろな色を感じることがありますが、これが干渉色です。オロル(本社:鳥取県鳥取市)の「オロル処理Ⓡ」は、ステンレスの酸化皮膜の厚さをコントロールすることで同じ干渉色をつくり出し、想定した色味を表現する技術です。
ステンレスにも塗装はできますが、ステンレスそのものを発色させることで色落ちしたりはげたりすることがなく、耐食性も向上します。抗菌・抗ウイルス、抗アレルギー効果も付加することができるため、外装や人の手が多く触れる手すりなどで採用されています。
東洋ステンレス研磨工業(本社:福岡県太宰府市)は、板状の金属建材をプレス加工ではなく独自の複合研磨技術により湾曲させ、さまざまなデザインを実現する意匠金属を扱っています。
水面のような揺らぎや木材のなぐり加工を表現したようなデザイニングステンレスなど、ラインナップの幅は広く、ステンレス鋼のほかにもチタン、アルミニウム、銅、真鍮などにも対応できます。表情のあるパネルに太陽光や照明が反射して床面に映り込みができ、LED照明などを動かすことで映り込みを動かす演出も可能です。
天井や腰壁、アートパネルなど、空間の一部に取り入れるだけで印象深くなる金属建材。まずは製品ラインナップをチェック!
トップ画像:「メタルフュージョン」(藤田ワークス)施工例