〈南三陸311メモリアル〉は、東日本大震災で大きな被害を受けた南三陸の復興計画の一環として、建築家の隈 研吾氏率いる隈研吾建築都市設計事務所が設計しました。震災の記憶を伝える品々や、アーティストが震災に触発され作成した作品などを展示する、ミュージアム機能を備えた文化施設です。
他施設の軸線とストリートをつなぐため、人の流れを吸引する「孔」としてデザインされており、ルーバーが中心から放射状に配置したファサードによりその吸引力を強化し、より強く、人と人、人と大地を接続しています。
(以下、隈研吾建築都市設計事務所から提供されたプレスキットのテキストの抄訳)
南三陸は2011年3月11日の東日本大震災で、最も大きな被害を受けた場所の1つである。3.11から2年後の2013年からグランドデザインを描き始め、約10年間、南三陸町の復興に携わった。
10mのかさ上げと大堤防により、海から切断された新しい人工的な地面を海とつなぎ直し、人間が住むウォーカブルで温かいまちとして再生させることを目標に、ストリート性と木(南三陸杉)をテーマとして、まちを再建した。
そのまちづくりの集大成となるこの〈南三陸311メモリアル〉によって、海を見通す〈さんさん商店街〉(2017)の軸線と、海と直行する〈中橋〉(2020)の軸線とが縫い合わされた。
これにより、海と山と川とまちとが1つの「輪=リング」としてつながり、まちと人とがこの「輪」を通じて共振し、響き合う状態が生まれた。
複数の軸線とストリートをつなぐため、〈南三陸311メモリアル〉は人の流れを吸引する「孔」としてデザインされており、南三陸杉のルーバー材を「孔」の中心から放射状に配置したファサードは、その吸引力をさらに強化し、より強く、人と人、人と大地を接続する。
内部には震災の記憶を伝える品々、震災に触発されたクリスチャン・ボルタンスキーの遺作「MEMORIAL」、東京藝術大学の若いアーティスト達による作品群が展示され、震災という時間を過去に埋没させるのではなく、現代の問題の問題として捉え続けることをテーマとしている。
「南三陸311メモリアル」隈研吾建築都市設計事務所 公式サイト
https://kkaa.co.jp/project/minamisanriku-311-memorial/