施設DATA
- 設計
GROUP- 主用途
トイレ- エリア
エンパワーリングゾーン
〈トイレ1〉の見どころポイント!
人間不在の庭が映す、生態系と風景のレイヤー
〈トイレ1〉では、かつての埋立地に芽生えた独自の自然環境を再構成し、人間以外のための生態系が展開される庭に、13室のトイレが静かに寄り添います。銀色の安全鋼板で覆われた構造は、夢洲の過去と未来、現実と想像の風景を鈍く映し出し、来場者に万博とは異なる夢洲の風景を見せてくれます。

Photo: 村田 啓
夢洲の庭
万博期間中、夢洲に人が入ることができない庭をつくる。
2025年大阪万博・関西の舞台となる夢洲は1970年代に埋め立て開発がはじまりました。その後、バブルの景気が終わり開発が止まると、この埋め立て地には絶滅危惧種を含む植物や鳥類が棲みつき、独自の生態系がつくられました。そして、今、夢洲は万博やIRによる利用が決まり更地化が進められています。私たちはこの歴史を踏まえ、夢洲につくられていた生態系を手掛かりに、万博期間中、人が立ち入れない庭を再構成します。

Photo: 村田 啓

Photo: 村田 啓
庭に設置された13室のトイレは、入口と出口を分けた構造で、利用後に出口から出ると、再構成された夢洲の風景が目の前に広がります。この構造は、庭へのアプローチであると同時に、ジェンダーに配慮した空間の提案でもあります。

Photo: 村田 啓

Photo: 村田 啓
仕上げは、工事の仮囲いにも使われる亜鉛メッキ仕上げの安全鋼板です。亜鉛メッキの鈍く光る銀色によって、外部は周囲の万博会場を、内部は庭を鈍く反射させ、それぞれ、あったかもしれない風景を想起させます。

Photo: 村田 啓

Photo: 村田 啓

Photo: 村田 啓
また、中庭の生態系はテクノロジーを用いて夢洲の自然が再構成されています。人間以外の存在に向けたサウンドスケープやロボット化された夢洲の植物が生息し、人間の手を介さずに維持される生態系が生成されていきます。

Photo: 村田 啓

Photo: 村田 啓
この「夢洲の庭」は万博会場の中で、あえて人が立ち入らず、非人間が占める場所をつくることで、かつての自然、失われた生態系、これから現れるかもしれない未来の環境——それらが交差する、もう1つの夢洲の風景が、ここには息づいています。

Photo: 村田 啓

Photo: 村田 啓

Photo: 村田 啓

平面図。Image: GROUP

断面図。Image: GROUP
建築DATA
構造:鉄骨造
階数:地上1階
延床面積:80.95㎡設計:GROUP
担当:井上 岳、齋藤直紀、中井由梨、棗田久美子、赤塚 健
ランドスケープデザイン:GROUP、Alternative Machine
施工:越智工務店
テキスト提供:GROUP
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