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[インタビュー]トラオシェアーキテクツが意匠設計スタッフを募集
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[Interview]意匠設計スタッフを募集

日本全国、台湾、香港、マレーシアなど、さまざまな地域で活動する一級建築士事務所トラオシェアーキテクツ。ビルディングタイプに縛られず、「人が過ごす場所をつくる」考え方や、2人の代表とスタッフ、職人すべてがフラットにディスカッションする事務所内の雰囲気、そのためのつながりを促す充実した福利厚生などについて、代表の虎尾亮太氏、謝 アリス氏にインタビューしました。

素晴らしい敷地に恥じない建築をつくるプレッシャーとやりがい

虎尾亮太氏(以下、虎尾):トラオシェアーキテクツでは、都心から離島、台湾などの海外まで、さまざまな敷地で設計を行っています。私たちが設計したホテルに泊まった人から連絡をもらったり、海外の方が日本で何かを建てたいとお声がけいただくことも増えています。領域も国も横断して、依頼をいただく案件の規模も大きくなっていますので、さらに戦力を増やしていきたいと思っているところです。

トラオシェアーキテクツ

写真左より、虎尾亮太氏、謝 アリス氏

虎尾:私の師匠である隈 研吾さんも同じなのですが、「いろいろな場所の、いろいろなプロジェクトにチャレンジする」というスタンスで仕事をしています。依頼される地域が都内から地方、海外とバラバラなので、国や地域ごとに建築のつくり方の違いを感じながら、非常にクリエイティブな仕事ができるところがトラオシェアーキテクツの魅力だと思います。

謝 アリス氏(以下、アリス):それぞれ場所ごとに使う素材や使い方、ルールも異なるので、さまざまな個性をもった建築に自然となっていきます。

虎尾:うちの事務所では現場監理まで関わらせていただくことが多いですが、そのステージも大切にしています。プロジェクトを始めるときもまず敷地に行ってからということが多いので、各地に飛び回れることはありがたいことですし、おかげさまで依頼される敷地に恵まれていて、普通なら手がけられないような都心の一等地から国立公園の中、海の目の前など、どれも素晴らしい環境なんです。それに負けないというか、恥じない建築をつくるというのは結構プレッシャーではありますが、やりがいがあって面白いところでもあります。

ランドスケープから家具まで共存させて考える

トラオシェアーキテクツ

虎尾:たとえばすごく綺麗な敷地なんだけど、木を伐ったり地形を削ったりして建築を建てなきゃいけないというときに、どうやったらこの自然の美しさと建築が建った状態を共存させられるか考えます。建築が抱える矛盾やさまざまな衝突は、どんな現場でもあると思うんです。自然豊かなところに持ち込むエネルギーの問題もそうですし。

また、日常、非日常とよく言いますが、あまり僕たちはそれを二項対立のようには考えず、振れ幅みたいなものだと捉えています。ホテルだから非日常で、住宅だから日常とは限らないし、ホテルの中にも日常があったり、住宅の中に非日常があったり、そんなことを考えながら仕事をしています。

アリス:建築をつくるとき、建物自体だけじゃなく、周りの景色とか都市のスケールから建築を考えます。すごく都市的な視点で建築を考えていくのと同時に、ほんの数㎜の納まりを考えたりして、それはなんというか、どちらも同じ状態でまさに共存しているという状態を目指しています。

トラオシェアーキテクツ

虎尾:設計のプロセスの中で、「抽象的な考え方」と「具体的な考え方」を行ったり来たりして進めているんです。僕たちはいつも「コアモデル」と呼んでいる抽象化したコンセプト模型を作成しています。

アリス:設計がだいぶ進んでいってからも、ときどきコアに戻って考えたりしているうちに、コアが徐々に徐々にピュアになるんです。

虎尾:こういった手法は、彼女の師匠の青木 淳さんがそういうアート的な考え方をしていたことも関係しているかもしれません。思考のプロセスとしても、作品をつくりたいなっていう思いがあります。

プランやランドスケープといった大きなところもそうですが、手に触れるドアの取手だったり、洗面台だったり。家具もその空間をつくる一部として捉えているので、プロダクトにも結構こだわっています。日常と非日常を区別しないように、インテリアと家具、建築とランドスケープもひとつのつながりの中で考えているイメージですね。

トラオシェアーキテクツ

虎尾:うちの事務所では、プロジェクトは基本的にみんなで案を出し合って議論しています。僕もアリスも担当のスタッフもみんなで考えるスタイルですね。それに現場の職人さん、施工者さんなどの意見にも耳を傾けるようにしています。僕たちがスケッチを描いて、スタッフに「これつくって」ということはしません。それは僕たちの師匠である隈さんも青木さんも同じでした。

アリス:そうですね。あのころは所員と青木さんとの戦いで、青木さんが自身の案を選んだら負け。私の案を選んだら「よし!勝った!」って(笑)。そういう事務所の雰囲気のよさを知っているので、ここでも心掛けています。

パースでは到達できない表現や気づきにつながる1:1のモックアップ

虎尾:先ほど抽象的なコアモデルをつくるという話をしましたが、計画段階で模型やパースはつくるんですけど、現場で施工者と協議しながらモックアップを一緒につくることも多いですね。施工者も基本的にはものづくりが好きな人たちなので、お互い楽しくやっていくといい提案が出たり、職人さんもやる気を出してくれたり、それはすごく大事なことだと思っています。

スタッフと職人さんだけでディスカッションすることもあります。担当するプロジェクトごとに検討する素材があって、詳しく知らないことのほうが多いですが、現場やメーカーさんに日々教わることのできる環境があります。

銀座にある店舗のためにつくったファサードでは、1:1でいくつか形を選んで実際につくり、素材メーカーや施工者と一緒に検証するということをしました。色を微妙に変えたり、小口をミラーにして風景に溶け込ませられるか考えたりして。パースだけだと到達できない、肌理みたいなものにこだわってます。

トラオシェアーキテクツ

Facade in Ginza

Photo : Keishin Horikoshi, SS Tokyo

虎尾:築地の外国人観光客をターゲットにしたホテルでは、ファサードの表情を「くしゃくしゃにした紙みたいな外壁をつくろう」というコンセプトにしました。でも実際にはどうやって作るんだ? って壁に当たりますよね(笑)。

トラオシェアーキテクツ

虎尾:このときはステンレスをベコベコにして、紙のシワのように見えるか検討したり、最終的には和紙で型を使ってそこにアルミを流し込む方法になりました。そこからさらに素地か、塗装で仕上げるか考えます。

TSUKI制作風景

Photo: TORAO+HSIEH ARCHITECTS

Photo: TORAO+HSIEH ARCHITECTS

TSUKI

Photo: TORAO+HSIEH ARCHITECTS(左)、Masao Nishikawa(右)

アリス:いろんな素材を1:1で検証しているからこそ、重さ軽さも分かるし、「薄すぎて雨の音が気になるかも?」という気づきにもなります。そういった問題も1つひとつ解決していきます。

虎尾:実際は大きなファサードスケールの話なんですけど、見え方や手触りといった本当に細かいところまで、家具や壁の仕上げと同じように考えます。家具なら手すりの上の部分だけとか、いろんな素材で検討しています。

成長のためのサポートを充実させ、スタッフの経験値を上げる

久保 遥氏(写真左)、山下枝里氏(同・右)

久保 遥氏(写真左)、山下枝里氏(同・右)

虎尾:スタッフには各々の経験値を上げてほしいなという気持ちがあるので、購入書籍や宿泊のためのサポートをしています。自分たちも事務所勤務のときに海外行ったり、プロジェクトに参画させてもらって、よく分からないけどいろいろなホテルを見たし、いろんな街も建築見せてもらいました。そういう体験をたくさんしてもらいたいという思いもあります。それが最終的に作品に帰ってきてくれることを期待してます(笑)。

山下枝里氏(経営企画室長・以下、山下):スタッフの書籍購入費、美術館やちょっと遠くの建築を見に行きたいというときの交通費を補助したり、内装や設備を見て参考にするためにホテルのランクアップができるサポートがあって、わりとみんな使ってくれています。

購入した書籍は個人所有にしてもいいですし、事務所に置いてくれる人もいます。別々のプロジェクトを進めているスタッフ同士の横のつながりができて空気がよくなるように、話のきっかけになればいいなという期待でやっているところがありますね。

久保 遥氏(主任技師・以下、久保):出張で地方へ行った際に補助を出してもらって、少しいいホテルを見て勉強したりしています。補助を使ったからといってレポートや報告書を書くような堅いものではなく、事務所でコーヒーを淹れて飲みながら、撮ってきた写真をみんなで見るという感じです。

私は新卒入社でしたが、早い段階から現場へ行かせてもらえますし、お施主さんとの打ち合わせも直接自分でやり取りさせてもらっています。地方の現場を担当させてもらうことが多いのですが、今年の初めに引き渡した大阪へは隔週で通っていました。今は月1くらいで沖縄の現場に行って、施工者さんと打ち合わせをしています。

特注で建材をつくったりもするので、いろんな業者さんと話をしたり工場を見せてもらったり、直接職人さんとも話しをします。特注タイルのときは釉薬を変えて何度も試作品を作ってもらったりしました。工場も自分で調べたり、見つけてくることもあります。

トラオシェアーキテクツ

好奇心をもってすべてやりながら成長する

久保:クライアントとのやり取りも現場管理も、基本はスタッフが中心になって進めます。さっき話したような特注の業者さんとも知り合えたり、さまざまな職人さんと仕事ができるというのは、すごく大きな経験になっています。将来独立してみたいと思っている人はその力がつくと思うし、「全部やらせてもらえる」というところがこの事務所の特徴だと思います。

虎尾:土地ごとの住環境も、1つひとつの材料についても「自分たちもまだ知らない」というスタンスで職人さんに教わる姿勢や、「これは大事にしておきたいな」という軸はもつようにしながら、これから規模の大きな仕事を増やしていきたいと考えているフェーズです。

オフィスも多く手掛けていますが、オフィスを住宅のようにつくったり、住宅をオフィスのようにつくることも増えてきて、住居と非住居の境い目がなくなってきているのを感じます。リゾートに行っても仕事したいという人もいますよね。私たちはあまりビルディングタイプに縛られず、「人が過ごす場所をつくる」ということを考えます。そのように柔軟に考えられる人はこの事務所に向いているかもしれません。

アリス:知らないことにも興味をもてる人に来てほしいですね。次はこれを使ってみたい、これってどうやってできているんだろう、といった好奇心をもっている人はチャレンジしてみてください。いろんなところに行ってみたい人も歓迎です(笑)。

トラオシェアーキテクツ

虎尾:昨年移転した今の事務所は地下1階ですが、ドライエリアから入る光で明るく、静かでワンフロアに集まってものづくりができる秘密基地のようなオフィスで、私が共同代表を務めるM.A.R.K.S.(マークス)という事務所とシェアしています。

M.A.R.K.S.はそれぞれ設計事務所を主宰するメンバーが集まって立ち上げた集団で、リサーチを行ったり、プレデザイン段階での意見交換のほか、情報や経験を共有し、大きなコンペに一緒に取り組んだりもします。また、メンバーがそれぞれ大学で教えていることもあってインターンの学生も毎年来てくれているのですが、インターンも含めてプロジェクトの発表会を行ったりと、研究室的な雰囲気もあります。

新卒も実績のある方も経験年数や経歴に関係なく、個人も事務所もともに成長していきたいという方と一緒に仕事ができればと思います。

インタビュー:2025年9月30日 トラオシェアーキテクツ オフィスにて
Photo: Shun Fukuda(特記以外)

求人概要

募集職種

意匠設計(建築設計監理・内装設計監理)

業務内容

■建築、インテリア、ランドスケープなどの設計監理業務を行います。住宅から、商業、ホテルなど用途大小さまざまな規模のプロジェクトに関わっていただきます。マスタープランから、プロダクト・家具の設計まで建築に関わるあらゆる物事がT+HAのデザインの対象です。

 

■都内の一等地から、離島、大自然の敷地など、敷地条件のよいプロジェクトが、国内・海外にて多数進行中です(リゾートホテル、温泉旅館、集合住宅、個人住宅、別荘、飲食店など)。

 

■コンセプトデザインから実施設計、現場監理まで一貫して対応いただくたため、自由な発想でデザインでき、ゼロからものづくりの楽しさを感じられます。

 

■クライアントや現場関係者とも直接コミュニケーションをとっていただく機会が多く、日本各地および海外でのプロジェクトでは必要に応じて現地出張に出かけてもらいます。現地に赴いてその場所でしかできないことを、チームの皆でフラットに議論しながら設計に取り組みます。英語は必須ではありませんが、多少でも話せるとより多くの機会が得られる環境です。

応募資格

【必須】

建築、美術系大学・大学院を卒業された方

 

【歓迎】

3年以上の実務経験者優遇(実施設計・監理業務経験者)

一級建築士、二級建築士資格保有者優遇

デザイン能力の高い方、英語で実務を進めていける方はその能力に応じて優遇いたします。

 

A)チーフアーキテクト

国内または海外の建築事務所において6年以上の建築設計における実務経験を有する方。複数のプロジェクトを統括・監理し、的確なマネジメントを行う。クライアントや関係者と円滑なコミュニケーションを図り、業務を進める能力がある方。

B)アーキテクト

実務経験3年以上、または相応の能力、現場監理経験のある方。プロジェクトの主担当としてコンセプト立案から設計監理を行う能力のある方。

C)デザイナー

新卒・実務経験3年未満。実務経験が浅くても、新しいものを創造していく好奇心のある方。コミュニケーション能力が高く、明るく楽しんで仕事に取り組むことのできる方。

待遇

【給与例】(経歴、保有資格などにより決定します)

A)チーフアーキテクト/月給35万円以上

B)アーキテクト/月給26万円以上

C)デザイナー/月給23万円以上

 

【賞与】

業績に応じて年1回以上

 

【保険】

社会保険・雇用保険完備

 

【休日】

土日祝日、年末年始休暇、夏季休暇、有給休暇、慶弔休暇

 

【その他】

定期昇給年1回のほか、随時昇給あり / 資格取得支援制度 / 研修費用補助(旅行、書籍、美術館観覧料など)/ 通勤手当 / 社内勉強会 / 視察旅行 / 健康診断

 

採用スケジュール

■書類選考

履歴書、職務経歴書、ポートフォリオにより書類選考を行います。

一次選考を通過した方にのみ、メールにて面接のご連絡をいたします。

 

■設計試験、面接選考

簡単な設計試験と面接選考(対面)を経て、採用の是非を判断いたします。

試用期間(3カ月程度・有給)を設ける場合があります。

勤務地

〒107-0062  東京都港区南青山2-7-6-B1

(青山一丁目駅より徒歩3分)

会社情報

社名:株式会社トラオシェアーキテクツ

採用担当者:山下

 

ウェブサイト:https://toraohsieh.com/

Instagram:https://www.instagram.com/toraohsieharchitects/

E-Mail:office@toraohsieh.com

電話番号:0368046537

 

PROJECT

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