2020年4月12日初掲、2020年9月15-17日改訂
建築家が立ち上げた、D2Cのレザー(皮革製品)ブランド「SYRINX」の資金調達の成功例について、『日経クロストレンド』が全3回の特集記事で紹介していると、今年4月12日に小誌のBUSINESS枠にて紹介しました(記事)。
この小さくて薄い、2つ折りの革財布〈HITOE FOLD〉の〝その後〟について、同ブランドからプレスリリースが発信されました(SYRINX 2020年9月11日)。今春に実施して成功裏に終わったクラウドファンディング(クラファン)や、その後の展開、ブランド立ち上げの経緯について改めてお伝えします。
「SYRINX(シュリンクス)」は、佐藤宏尚建築デザイン事務所の代表を務める佐藤宏尚氏が2016年に設立したブランド。自らが設計した空間のために、革のボディでスピーカーをつくったことに端を発し、オーディオブランドとして誕生しました。その後、端材が大量に発生するという課題から、プロダクトの開発が始まり、「革×新」をキーワードに、「TSUTSUMU」や「HITOE」など、新たなコンセプトの革製品を次々と発表。〈TSUTSUMU 名刺入れ〉でドイツの「iF Design Award 2019」やアメリカの「IDEA 2018」など国内外のデザイン賞で7冠を達成するなど、国内外から高く評価されています。
薄さとコンパクトなサイズが特徴の革製財布「HITOE」シリーズの最新作となる〈HITOE FOLD〉の資金50万円の獲得を目指し、今年2月から7月にかけて実施したクラファンプロジェクトでは、開始数分で1,200名を上回る賛同者があり、8日目には財布のクラファンとしては国内記録となる4,474万円を達成。18日目で1年分の生産量3,500個が完売し、最終的に51,795,439円(10,359%)の資金を獲得、当初の予定より63日も早くプロジェクトを終了しています。
「HITOE」シリーズは、これまでL字ファスナーの長財布や短財布をリリースし、2018年からのクラファンの支援額は累計で1億5,000万円を超えています。
商品の特徴は、コインとカードが重ならない「薄い財布」であること。財布が厚くなる原因の1つである「カードとコインの重なり」を、シリーズ名にも冠している「単(ひとえ)構造」で解決しています。これにより、財布の構造として、重ねている革はわずかに4枚、約6〜7ミリという、従来の財布に比べて段違いの薄さを実現(意匠登録出願済)。紙幣10枚・コイン15枚・カード6枚を収納しても、圧倒的な薄さとなっています。
カードとコインを重ねない仕組みの財布は、同ブランド以外にもありますが、〈HITOE HITOE FOLD〉は「薄さ」だけでなく「小さい」財布を追求した、シリーズの進化形です。自社製品(HITOE L-zip S)との比較で、34%も小さくなっているとのこと。究極にシンプルなデザイン、スムーズな使い心地、十分な収納力、キャッシュレス時代に相応しい理想の財布を追求し、創意を凝らしてデザインされています。
クラファン終了後、〈HITOE Fold〉は現在、同ブランドのオフィシャルサイトにて予約販売を行なっています。(yam + en)
# Hirotaka Satoh YouTube公式チャンネル 小さな「薄い財布」HITOE Fold(2020/01/22)
〈HITOE Fold〉商品概要
外形寸法:約W92×H93×D12ミリ(紙幣5枚・カード6枚収納時)
製品重量:約50グラム
革:イタリアンヴァケッタレザー(Tempesti Elbamatt)
生産:日本
付属品:緊急連絡先カード
詳細 https://syrinx.audio/products/hitoe_fold