本殿など5棟の建造物が国宝に指定されている、熊本県人吉市の青井阿蘇神社が、建設を予定している「(仮称)青井の杜 国宝記念館」の建設費用の支援を求めて、クラウドファンディング(クラファン)を2021年3月28日から開始しています(プレスリリース)。
「(仮称)青井の杜 国宝記念館」は、国宝指定10周記念事業の一環として計画されました。結婚披露宴会場や直会(なおらい)の会場として長年親しまれてきた参集殿を、社務所・ギャラリー・記念館と一体化して建て替えるものです。
1階と2階のギャラリーには、400年以上前から伝わる神輿(みこし)や、2020年(令和2)年7月の豪雨で被災し、現在は修復中の御神刀や奉納刀剣などの収蔵品を展示する予定です。
また、同館は、神社の護持発展のみならず、「日本遺産 人吉球磨[*]「相良700年が生んだ保守と進取の文化」を冠する建物として、郷土の更なる繁栄への寄与も目的としています。
*1.「日本遺産 人吉球磨」とは、文化庁が2015(平成27)年度に創設した「日本遺産」の認定制度。 地域の歴史的魅力や特色を通じて、 日本の文化・伝統を語るストーリーを各地で認定。 熊本県の第1号として、人吉球磨地域が、日本でもっとも豊かな隠れ里の1つとして、全国17地域とともに選出されている(詳細:公式ウェブサイト)
「(仮称)青井の杜 国宝記念館」の設計は、建築家の隈 研吾氏(隈研吾建築都市設計事務所 主宰)が担当。すでにイメージビジュアルも発表されています。和の要素を取り入れながら、近代的で個性豊かなデザイン。社殿の茅葺をイメージした屋根には、地元「市房山の杉」などがふんだんに使用される予定で、人吉・球磨復興の象徴としてふさわしい仕様・外観となります。
隈 研吾氏からのメッセージ:
国宝青井阿蘇神社の境内に建つ参集殿を、国宝記念館として改築したい、と依頼を受けたのは2017年の早春のことです。それから3年余の設計期間を経て、ようやく着工しようとしたその矢先、記録的な豪雨が人吉球磨地方をおそいました。氾濫した球磨川の濁流は境内にも押し寄せ、鳥居はほぼ水没、拝殿は床上浸水し、蓮池にかかる禊橋の欄干は無残にも流されました。
青井阿蘇神社は、茅葺きの社寺建造物としては唯一の国宝であり、桃山時代の華麗な装飾を取り入れた独自の人吉様式は、九州の山里で異彩を放っています。
この度新築される国宝記念館は、社殿の急勾配の茅葺き屋根に呼応した木ルーバーの屋根をはじめ、随所に人吉の豊かな木材資源をもちいた本格的な木造建築であり、相良700年の「保守と進取の文化」を象徴する建物としてデザインしました。
人吉球磨の信仰の中心である青井の杜に建つ国宝記念館が、未曽有の水害からの復興のシンボルとなることを願っています。
隈 研吾
クラファンで集められた資金は、この木製の屋根材に充てられる見込み。リターンとして、隈 研吾氏がデザインしたプロジェクト限定ラベルの球磨焼酎や、建物竣工後の「隈研吾氏による国宝記念館解説ツアー」などが用意されています。
青井阿蘇神社 国宝指定10周年記念事業
隈研吾氏設計「国宝記念館」建設プロジェクト
https://www.glocal-cf.com/project/aoiaso