「TECTURE」に参加しているタイルメーカーに取材し、タイルの最先端情報をまとめました。
タイルはどこまで進化しているのか? どのようなトレンドがあるのか? タイルの「最先端」を3回に分けて紹介していきます。
第2回は、1枚で床から天井まで仕上げられるほどのサイズも登場している大判タイルについて。
第1回 スーパーリアルなタイル(9月4日掲載)
第2回 大判タイル(9月11日掲載)
第3回 サステナブルなタイル(9月19日更新予定)
大判タイルの採用事例が近年、増えています。数年前までは600×600㎜角のタイルでも“大判”とされてきましたが、今では600×1200㎜角、さらに1000×3000㎜角、1600×3200㎜角といった“超大判タイル”も登場しています。
成人の身長を超えるほどの大判タイルが製造できるようになったのは、製造技術(製造機械)が進化したことによるものです。
これまでタイルは乾燥した坏土(はいど:陶磁器の生地)を型枠に流し、プレスして成型する方式が主流でした。その場合、タイルのサイズを変えるために型を用意する必要があり、型の大きさにも限度がありました。
現在は、上下のローラーから押し出されるタイル素地を任意の大きさでカットする製造機械が登場するなど、タイルメーカー各社でさまざまなサイズを製造することができます。
また、焼成については大型で長さのある焼成窯の登場により、品質や意匠性もどんどん向上しています。
型枠を使用しない製法では坏土をローラーで広げる際、材料内の気泡を押し出すことで強度が上がり、薄くて軽い大判タイルが製造できるようになりました。
加えて「スーパーリアルなタイル」の回でお伝えしたデジタル加飾技術の進化により、大理石調、石材調やメタル調といった、さまざまな意匠をもった大判タイルが出揃っています。
大判タイルは焼成後、四方を研磨して寸法精度を高めることができるため、3㎜といった細目地での施工が可能です。大判で平米あたりの使用枚数が少なく、目地の本数を少なくできることで、ダイナミックかつスッキリとした「映える」空間に仕上がります。
リアルに表現された層状の模様が美しいトラバーチンや大理石調のような流れる柄が活きるのも、大判タイルのメリットといえるでしょう。
大判タイルには3.5㎜という薄さの製品もあり、加工性のよさから仕上げ材として設計者やデザイナーのニーズが高まっています。
柄が活きるカウンターやテーブルを製作できるだけでなく、天板と腰部をひと続きに仕上げたり、柄の入った小口を見せて仕上げることも可能。キャビネット扉などでは裁断して柄続きとすることもできますし、柄を左右対称に組み合わせるブックマッチも人気があります。
セラミックタイルは洗浄液や傷にも強いため、水回りでの造作や外部で使用する家具にも向いています。
大判タイルは、リニューアルのプロジェクトでも役立ちます。
薄さを活かして、下地をはがすことなく既存の仕上げの上に大判タイルを張ることができます。そのため工期の短縮を図ることができ、駅の改修など作業時間が限られる現場で多く用いられています。その際、建具の開閉時に干渉することなく仕上げを刷新することが可能です。
また、大判タイル仕上げでは目地が少ないため、清掃性にも長けています。通行量が多く清掃頻度が高いショッピングセンターの通路やトイレ、ホテルの各所でも大判タイルが採用される事例が増えています。
石材に比べて薄くて軽く、施工性にも優れた大判タイルですが、注意点も。
もし現場の施工時に欠けや割れが生じた際、不足する分を追加注文しても海外工場から船便で届くまで数カ月かかる場合もあります。メーカーでは、最初の発注時にやや多めとすることを推奨しています。
メーカーイチオシ! 大判タイル
- SSP-104(Danto Tile)
- BSTONE CLA30X60GP(DINAONE)
- M9G4(マラッツィ・ジャパン)
- DM-6(ラミナムジャパン)
*メーカー アルファベット・五十音順
強度を備えつつ薄くて扱いやすくなり、意匠性にも優れ、ますます進化する大判タイル。
ショールームでそのダイナミックさを体感するとともに、「TECTURE」のサンプル請求で、実物の意匠や薄さをぜひご覧ください!
(トップ画像 撮影:TECTURE MAG 編集部)