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アフターコロナの世界で求められる“SF的想像力"を共創する「WIRED Sci-Fiプロトタイピング研究所」を『WIRED』日本版とPARTYが設立

BUSINESS2020.07.08

クリエイティブ集団・PARTYは、同社のCCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)である伊藤直樹氏がクリエイティブディレクションを担当している雑誌『WIRED』日本版(編集長 松島倫明)と共に、未来を構想するコンサルティングサービス「WIRED Sci-Fi(サイファイ)プロトタイピング研究所」を設立したと先ごろ発表しました(PARTY 2020年6月16日プレスリリース)。

PARTYが手がけた主なプロジェクト

PARTYは、アイデア・デザイン・テック・ビジネスを越境し、未来の体験を社会実装するクリエイティブ集団です。AIと人間が共創したアート作品「GANGU」の日本科学未来館常設展示(上の写真:左上)、成田空港国際線第3ターミナルのCIおよび空間デザイン(同:右上)、サンスターと共同開発をしたIoTプロダクト「G•U•M PLAY」(同:右下)、ヴァーチャル空間上でさまざまな共体験を生み出すためのヴァーチャル パーク システム「VARP(ヴァープ)」(同:左下)など、最新テクノロジーとストーリーテリングを融合した数多くのプロジェクト実績があります。アートと個人の関係を、テクノロジーで変革する「The Chain Museum」などの新規事業開発も手がけています。

「Sci-Fi」とは、Science fictionの略称、つまりSFのことですが、従来の「SF」とはイメージを異にします。
「Sci-Fiプロトタイピング」とは、SF作家により描かれた物語を、企業のビジョンやミッションの策定、新規事業の創出、技術ロードマップの策定などに生かす手法を指します(PARTY [note] 2020/06/29 19:30より引用)。

アマゾンやグーグルといった大手テクノロジー企業の創業者たちは、SF作品に多大な影響を受け、事業や製品を生み出してきました。彼らのいわば「妄想力」を体系化し、民主化したのが「Sci-Fiプロトタイピング」の手法です。米国西海岸では「Sci-Fiプロトタイピング」を専門とするコンサルティング会社も登場しており、いま注目を集める手法のひとつです。

設立の背景として、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の世界的流行を経て、従来の手法の延長線上では「未来」を描くことが難しいニューノーマル時代に突入した今、Sci-Fiがもつ大胆かつ精緻な想像力を用いて産業や企業の未来を想像し、そこからバックキャストで現在に接続するアプローチである「Sci-Fiプロトタイピング」が有効とする考え方があります。現状分析や過去の統計、実績などのデータに基づくアプローチの限界を超え、未来を予行演習し、来たるべき変化に備えるアイデアを「Sci-Fi」は授けてくれます。

「WIRED Sci-Fiプロトタイピング研究所」では今後、6カ月のプログラムを通して、独自のメソッドを実行。ニーズに応じたアウトプットを共創していく予定です。

左から(敬称略):『WIRED』日本版 編集長 松島倫明、『WIRED』日本版 副編集長 小谷知也、PARTYCCO / ファウンダー / クリエイティブディレクター 伊藤直樹


PARTY Chief Creative Officer / Founder 伊藤直樹のコメント

わたしたちが考える「Sci-Fiプロトタイピング」は、SF作家の想像力に依拠した小説を“納品する”だけに留まりません。「実装するメディア」を掲げる『WIRED』日本版と、広告やプロモーションの枠を飛び出して事業開発にも取り組んできたPARTYが得意とするのは、その実装力です。

SF作家とともに描いたナラティヴに登場するプロダクトのプロトタイプをつくったり、マンガや動画などのフォーマットを用いて企業が目指すべき未来像をヴィジュアル化したり、ときには企業のコーポレートヴィジョニングを行なうこともあるでしょう。6カ月のプロジェクトが終わったのちに事業開発に伴走するケースも想定できます。

「実装」を考える際に重要なのは、未来を自らの手で描くこと。SF作家が提示する未来は、ときに突拍子もなく、受け入れられないこともあるでしょう。それは、あくまでもわたしたちの想像力を掻き立てる“刺激剤”です。SF作家との対話やプロジェクトへの能動的な参加によって、未来を「自分ゴト化」し、それを実装する一歩を踏み出すことができるわけです。


『WIRED』日本版 編集長 松島倫明のコメント

「未来はすでにここにある。ただ均等に分配されていないだけだ 」── SF的想像力の源泉を表すこのあまりにも有名なセリフを歴史に刻んだ作家ウィリアム・ギブスンは、最近の『WIRED』日本版によるインタヴューで、「なぜ人類は22世紀を想像できないのか」と鋭く問いてみせました。

150年前に描かれた宇宙旅行から40年前に生まれたサイバースペースまで、これまでSF(サイエンス・フィクション)は人類が創造する未来を真っ先に言葉に変換してきました。いまや現実が想像をはるかに超え、5カ年計画ですら意味をなさない時代にあって、それでも「未来」を手にしたいなら、その強度に耐え得る唯一のツールは、スペキュラティヴでフィクショナルな人類の想像力に他なりません。

まさにそれを価値の中心においてきた『WIRED』日本版とクリエイティブ集団PARTYが手を携え、来世紀までをも見据えたスケール感でいかなるナラティヴを描き、未来を「ここ」に提示できるのか、ぜひご期待下さい。


WIRED Sci-Fiプロトタイピング研究所 所長 / 『WIRED』日本版 副編集長 小谷知也のコメント

新しい世界がやってきました。これまでは通⽤した必殺の概念(コンセプト)や素型(スキーム)や⾏動(アクション)がもはや通じない、⾒通しの利かない世界が。しかし、そんな時代だからこそ、⽿を傾けたいのがSF作家の⾔葉です。彼らが⽣み出す「虚構性を孕んだナラティヴ」には、混迷の時代を攪拌する「未来からの視線」に溢れているからです。
かつてSFの⽗ジュール・ヴェルヌは「⼈間が想像できることは、⼈間が必ず実現できる」と語りました。確かに、タブレットPC、ホログラム、動く歩道、コードレス家電、コーヒーメーカー、ウォーターベッド、強化外⾻格、ジェットパック等々、SFから⽣まれたガジェットは枚挙にいとまがありません。さらにSF作品は、AIに対する漠然とした恐怖(=『2001年宇宙の旅』『ターミネーター』)、退廃的な未来都市のイメージ(=『ブレードランナー』『AKIRA』)、ロボットは友達(=『鉄腕アトム』『ドラえもん』)、ロボットは乗るもの(=『マジンガーZ』『機動戦⼠ガンダム』)……といった集合的無意識を世代を超えて植え付ける、ミームとしての機能も持ち合わせています。

SFの思考と技法を使って「ありうる未来」を準備(=プロトタイピング)し、そこから浮かび上がってきた「価値のコア」をいつの⽇か実現するべく、「これからすべきこと」を考えていく。つまり、未来を描いたフィクションを起点に、バックキャスティングでこれからのビジネスを考えていく……。
いつもと違う⾵景を⾒ることで、無意識のうちに囚われていたバイアスの存在に気がつき、それが、イノベーションを呼び起こすトリガーになることもあるはずだと、わたしたちは信じています。

最後に。来たるべき時代が「クォンタムネイティヴ(量⼦世代)」の時代だとするならば、アインシュタインのこの⾔葉にも触れておく必要があるでしょう。⽈く「⼀⾒して⾺⿅げていないアイデアは、⾒込みがない」。そう、Sci-Fiプロトタイピング研究所における「SF」の定義には、Stay Foolishも含まれてたりします(笑)。さあ来たれ、Hungryなみなさん!

WIRED.JP 特集記事
いまこそ「SF的想像力」が求められている:『WIRED』日本版とクリエイティヴ集団「PARTY」、WIRED Sci-Fiプロトタイピング研究所を設立
https://wired.jp/2020/06/16/wired-sci-fi-prototyping-lab/

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