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ミドリムシがバイオマスプラスチックの材料に! 微細藻類ユーグレナ成分+ポリプロピレン複合体での射出成型に成功

BUSINESS2020.08.09

株式会社ユーグレナは、株式会社バイオポリ上越と共同で、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ、以下「ユーグレナ」)からバイオ燃料の原料となる脂質を抽出する工程で発生する残渣(ざんさ:溶解・濾過した後に残る不溶物。以下「ユーグレナ脂質抽出残渣」)を配合したバイオマスプラスチック[※1]の開発に成功したと発表しました(株式会社ユーグレナ 2020年8月6日プレスリリース)。
※植物など再生可能な有機資源由来の物質をプラスチック構成成分として所定量以上含むプラスチック

海洋に廃棄されたプラスチックごみなどの国際的な社会問題や、地球温暖化問題などに対応するため、環境省は「3R+Renewable(再生可能資源への代替)」を基本原則とした推進戦略「プラスチック資源循環戦略」を2019年5月に策定し、その中で、プラスチックの使用量削減や、リサイクル推進とともに、植物などの再生可能な資源を用いたバイオマスプラスチックの利用推進を掲げています。

この指針に基づき、ユーグレナ社では、創業以来、食料問題や環境問題をはじめとする社会問題の解決を目指した事業を展開しており、ユーグレナを用いたさまざまな研究を進めてきました。今年7月には、微細藻類ユーグレナを添加し熟成させた堆肥で作製した培養土(肥料)の開発に成功し、テスト販売も開始しています(同社 2020年7月9日プレスリリース)。

このほど開発されたユーグレナ・ポリプロピレン複合体の物性上の特長は、100%石油由来ポリプロピレンに比ベて、曲げ試験[※2]における最大曲げ応力と、曲げ弾性率の向上がみられ、強さと硬さが付与されました(上の図)。
この結果は、ポリプロピレンに有機物固体であるユーグレナ脂質抽出残渣をフィラー[※3]として添加することにより、力学物性が向上したことを示しています。

※2: 微細藻類ユーグレナの特有成分でありβ-1,3グルカンからなる多糖類
※3: 試験方法はプラスチックの曲げ特性を求める試験規格JIS k7171により実施

さらに、開発したユーグレナ・ポリプロピレン複合体を用いて、一般的な射出成型機によってフォークなどの成型が可能であることも確認されました。今後は、食品容器や成型材料など、さまざまな用途への展開が期待され、また、国際的な目標であるSDGsへの貢献や、脱炭素社会の実現に寄与することなどが期待されます。

また、ユーグレナ社は、会社ともに未来を創っていく最高責任者として、18歳以下に限定した2代目CFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)と、CFOと共に活動するフューチャーサミットメンバーの募集を開始したことを発表(8月7日プレスリリース)。次は何を発表するのか、同社の今後の展開からも目が離せません。(en)

ユーグレナ 公式ウェブサイト
https://www.euglena.jp/

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