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京都〈GOOD NATURE HOTEL KYOTO〉がWELL認証を取得

元来オフィス向けの評価基準をホテル用に策定し、世界で初めての取得

BUSINESS2020.08.21

2019年12月に京都市下京区にオープンした〈GOOD NATURE HOTEL KYOTO〉が、環境や健康に配慮した建物に対する国際的な認定制度「WELL Building Standard TM(以下WELL認証)」をゴールドランクで取得しました(ビオスタイル 2020年8月19日プレスリリース)。ホテル版評価基準によるWELL認証(v1)の取得は、今回が世界初となります。

WELL認証とは

人々の健康とウェルネスに焦点をあてた、ビルト・エンバイロメント(建築や街区の環境)の性能評価システム。建物内での暮らしや働く居住者の健康・快適性が問われるものです。とりわけ、居住者の身体に関わる評価は、環境工学の観点のみならず、医学的見地からも検証が行われます。
WELL認証を受けるためには、全ての必須項目(Precondition)を満たし、必要な数の加点項目(Optimization)の取得が必要です。認証の有効期限は3年間で、継続には再認証が必要となります。

2014年の認証開始以降、米国を中心に世界62カ国に認証取得獲得の動きが拡がり、日本国内でも年々関心が高まっています。

WELL認証の詳細は、一般社団法人グリーンビルディングジャパン(GBJ)の公式ウェブサイトを参照ください。
https://www.gbj.or.jp/well/about_well/

WELL認証の評価基準

認証には「v1」と「v2」の評価項目があります。「v1」は空気、水、食物、光、フィットネス、快適性、こころの計7つの評価コンセプトにおける、必須と加点を合わせた100の項目と、最大5つのイノベーション項目で評価されます。「v2」は、「v1」を多くの点で改良したもの。より良い建物を通じて人間の健康をサポートし、向上させるための10のコンセプト(空気、水、食物、光、運動、温熱環境、音、材料、こころ、コミュニティー)で構成され、あらゆる種類のプロジェクトの評価に使えるものとなっています。
書類審査に加えて、現地の空気質・水質・光・音などの環境測定が行われ、要件を満たす必要があります。
最終的に、獲得したポイント数に応じて、プラチナ、ゴールド、シルバーの3ランクでWELL認証が付与されます。

WELL認証取得の背景

コンセプト「GOOD NATURE」を掲げ、サステナブルな商品開発、施設運営を行っている同ホテルでは、健康志向やオーガニックへの関心が高まりを見せるなかで、ホテルにおいては具体的な基準が少なく、宿泊客が安心・快適に過ごせる環境であるということが客観的に伝わりづらいという課題がありました。

そこで、ビルやオフィスなどの空間を「人間の健康」「ウェルネス」という観点において、絶対的な基準にて評価を行うWELL認証の取得を目指すことを、開業前の2019年5月に発表(同社プレスリリース)。元来はオフィスに関する認証であったものを、WELL認証システムの運営管理を行っているIWBI(International WELL Building Institute, PBC)とともに、「All Projects In」という枠組みを用いて、ホテル基準での枠組みを新たに策定。ホテルとしては世界初となるWELL認証(v1)での取得に至ったものです。策定には、同施設を設計・施工した大林組も協力しています(大林組 2020年8月19日プレスリリース)。

認証にあたり、同ホテルの独自性や取り組み姿勢において、高く評価されたポイントは以下の5点です。

1.清潔で安心な空間
2.快適な入眠・起床を促す照明システム
3.美しさとローカライズされたデザイン
4.緑や自然を感じられる空間
5.独自性の高いゲスト向けウェルネスプログラムの提供

〈GOOD NATURE HOTEL KYOTO〉

バイオフィリックデザイン、京都の植生を再現したテイカカズラの「大緑化壁」もWELL認定で評価されたポイントの1つ。

WELL認証の要件の1つ「水景」に代わる枯山水

およそ24時間周期の生体リズムである「サーカディアンリズム」にあわせて照度・波長・光のリズムを制御する照明を導入している客室(写真はスーペリアツイン)

〈GOOD NATURE HOTEL KYOTO〉について

〈GOOD NATURE HOTEL KYOTO〉は、京都の繁華街・四条河原町に位置する複合型商業施設〈GOOD NATURE STATION〉の4階から9階の計6フロアを占めます。“信じられるものだけを、美味しく、楽しく。人も地球も元気にする「GOOD NATURE」というコンセプトのもと、訪れた人が「GOOD NATURE」に包まれ、触れ、五感で楽しめるだけでなく、心と体の心地よさを追求した、ライフスタイル体現型ホテルです。

京都の奥座敷・貴船をイメージしてデザインされた4階ロビー

バスアメニティはオリジナルオーガニックブランド「NEMOHAMO」を用意

京都・清水焼の茶器を用いた客室アメニティ

東山テラススイート(68m²)

客室は、28から90平米の広々とした空間に、天然木を基調としたシックでナチュラルな内装。ホテルにおける「GOOD NATURE」なライフスタイルを提供するため、ヨガや坐禅体験、建物見学ツアーなどのアクティビティメニューも各種用意しています。(en)

ホテルゲスト限定で提供しているヨガや瞑想をはじめとしたウェルネスプログラム

両足院の副住職 伊藤東凌氏がホテルに来館して行う、朝の特別瞑想プログラム「NATURE MEDITATION」の瞑想イメージ

ホテルから徒歩圏内にある〈京都・南座〉の舞台機構解説付きで体験できるツアー付き宿泊プランの様子(2020年8月開催)


#GOOD NATURE STATION【公式】YouTubeチャンネル「GOOD NATURE HOTEL KYOTO~”HOTEL GLAMPING”宿泊プラン~」(2020/08/18)

また、同ホテルは、環境に配慮した優れた建築物を作るため先導的な取り組みを評価するグリーンビルディングの国際的な認証プログラム「LEED(Leadership in Energy & Environmental Design)」においても、シルバーランクを取得しています(大林組 2020年8月19日プレスリリース)。

〈GOOD NATURE STATION〉
所在地:京都府京都市下京区河原町通四条下ル2丁目稲荷町318番6(Google Map
基本設計・総合監修:東畑建築事務所(本体棟)
実施設計:大林組
設計 / 内装:design farm DRiP
施工:大林組
延床面積:27,628m²
客室構成:計141室
開業:2019年12月
公式ウェブサイトhttps://goodnaturestation.com/

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