株式会社エヌ・シー・エヌ(以下 NCN)が、木造非住宅市場へ新規参入を検討する工務店や中小建設会社を後押しする、木造建築業界として初の[*1]構造躯体の瑕疵保証制度「非住宅版 SE構法 構造性能保証制度」を2021年10月1日よりスタートします(*1.2021年9月時点、NCN調べ)。
この保証制度は、木造建築業界初の非住宅物件向けの瑕疵保証制度で、一般的な木造住宅に比べて設計の難易度が高く、構造材の品質や施工品質が比較的安定しないといわれる、木造非住宅物件の構造品質を保証するものです。
保証の対象となるのは、SE構法で建設された3,000平方メートル以下、4階建て以下の非住宅物件で、瑕疵保証期間は10年間、瑕疵保証金額は最大1億円となっています。
2010年の「公共建築物における木材の利用の促進に関する法律」施行以来、木造非住宅建築市場は年々拡大傾向にあり、2019年の市場規模は約7000億円まで拡大しています(NCN調べ)。
木造建築物の普及は、炭素を固定し、再生産可能な木材利用につながることから、世界的に求められている脱炭素社会の実現に向けた取り組みとして位置づけられています。さらに、2021年6月に成立し、同年10月に施行予定の「改正公共建築物等木材利用促進法」では、公共建築物だけにとどまらず、民間の建築物まで対象が拡大される見込みです。
その一方で、物件規模に比例して請負金額は大きくなり、供給された部材の瑕疵や、品質に起因するトラブルリスクの増大が問題視されています。一般的に、住宅では瑕疵担保責任保険制度が義務化されていますが、非住宅物件では保険制度が存在しないことから、仮に瑕疵が発生した場合、建物の規模が大きいがために、建設会社が負う責任や瑕疵補修費などが大きな負担となります。
「非住宅版 SE構法 構造性能保証制度」は、これらの課題を解決し、工務店や中小建設会社の木造非住宅市場への参入をサポートすることを目的としています。
1.非住宅木造建築の構造躯体及び基礎を対象にした保証制度
2.瑕疵保証金額は最大1億円、瑕疵保証期間は10年間
3.SE構法で建築された3,000平方メートル以下、4階建て以下の非住宅物件が対象
1.保証対象物件
(1) SE構法で建設された建物
(2)構造耐力上主要な部分及び基礎
(3)住宅以外の用途
(4)4階建て以下
(5)3,000平方メートル以下
2.保証期間
完成引き渡しから10年間
3.保証金額
1棟あたり最大1億円
4.保証対象部位
屋根裏、小屋裏、構架材、床板、柱、耐力壁、土台、基礎、それらを結合する金物
5.保証対象となる現象
(1)水平部材について 1/120以上 の傾斜が生じている
(2)通常荷重下において床梁などに 1/500以上 のたわみが生じている
(3)柱などの鉛直部材において 1/120以上 の傾斜が生じている
(4)通常荷重下において小屋梁などに 1/250以上 のたわみが生じている
6.保険料
構造部材費用の1%
NCNでは、2000年の住宅品質確保促進法施行以前の1998年から、SE構法[*2]の構造躯体に対して、独自の保証制度「SE住宅性能保証」を提供してきました。以降、2020年度までに提供した約25,000棟のSE構法物件において、同社の調べでは1件の事故もなく、保証が適用された物件はないとのこと。
これらの実績をもとに、木造非住宅物件においても、NCNが供給するSE構法による構造部材に起因して発生した瑕疵を保証することで、安心・安全な木造非住宅市場の拡大を目指します。
*2.SE構法:SE(Safety Engineering)構法
従来は鉄骨造やRC造において主流だったラーメン構法を木造住宅に取り入れ、安全かつ便利に利用できるようにシステム化した独自の木造建築用の建築システム。軸組部分には高精度な構造用集成材、接合部には独自開発の高強度な金物を使用することで、圧倒的な構造強度を実現。住宅事例では、MUJI HOUSEが販売している〈無印良品の家〉に採用されている。すべての建物に構造計算を実施し、そのデータをもとに設計をすることで、優れた耐震性能と自由度の高い空間を兼ね備えることが可能。大開口、高い吹き抜けを自在に配置することができるため、パッシブな家づくりに適した構法として、住宅だけではなく大規模木造建築物(非住宅木造建築)としても注目されている。
なお、NCNでは、SE構法で施工中する現場で、用途が事務所と保育園の2物件において、オンライン構造見学会を、9月29日(水)と10月12日(火)にそれぞれ実施する予定です。(en)
「設計者・施工者のためのオンライン見学会」
会場:事務所(北海道)、保育園(茨城県)
詳細・申し込み:https://www.ncn-se.co.jp/large/
エヌ・シー・エヌ(NCN)公式ウェブサイト
https://www.ncn-se.co.jp/
プレスリリース(2021/09/09)
https://www.ncn-se.co.jp/news/4284