CULTURE

レジェンド〈YS-11〉量産初号機一般公開へ向けたクラファンを国立科学博物館が実施

CULTURE2020.07.21

国立科学博物館が、同館が20年にわたって整備・保管してきた、国産民間輸送機〈YS-11(わいえす いちいち)量産初号機〉の一般公開へ向けて、クラウドファンディング(クラファン)によるプロジェクトを開始、資金援助を呼びかけています。

YS-11量産初号機 ©国立科学博物館

〈YS-11〉とは、敗戦によって航空機開発を7年間禁止された日本が、1950年代から国策として手がけたプロペラ機です。開発・製造は日本航空機製造。2013年公開の映画「風立ちぬ」(監督 宮崎駿)の主人公のモデルとして一躍有名となった、零戦の主任設計士だった堀越二郎(1903-1982)も設計に携わっています。試作2機を含む計182機が生産され、国内外で活躍しました。

YS-11量産初号機 ©国立科学博物館

現在、国立科学博物館が保管する機体は、旧運輸省航空局に所属し、1964年に初飛行した量産初号機です。羽田空港をベースに、日本国内全ての航空管制通信施設などが正常に働いているかを確かめる飛行検査機として活躍し、1998年に引退するまでの通算飛行時間は2万時間。〈YS-11〉の中でも価値の高い機体とされ、日本機械学会の「機械遺産」、日本航空協会の「重要航空遺産」にそれぞれ認定されています。

茨城へと向かう途中の解体された機体、上野駅前を通過中 ©国立科学博物館

2021年春から、茨城県筑西市のテーマパーク「ザ・ヒロサワ・シティ」で一般公開されることとなり、羽田空港で保管されていた機体を2019年9月より解体、2020年3月末に同テーマパークに搬入されましたが、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の流行による臨時休館などの影響により、国立科学博物館の財政が悪化、〈YS-11〉を組み立てに要する資金が不足する事態となっています。
日本の戦後復興の象徴ともいうべき〈YS-11〉を後世に伝えるため、今回のクラファンプロジェクトが設立されることとなりました。

右主翼取り付け作業 ©国立科学博物館

国立の美術館・博物館のクラウドファンディングとしては、過去に、2019年3月設立の「国立美術館のクラウドファンディングサイト」第一弾として実施された、国立西洋美術館所蔵作品・クロード・モネ〈睡蓮、柳の反映〉のデジタル推定復元プロジェクトにおけるクラファンや、最近では、東京・竹橋から石川県金沢市に移転する〈国立工芸館〉の開館支援クラファンなどがあります。

今回の〈YS-11〉量産初号機公開プロジェクトでは、リターンとして、組立映像の視聴権や、量産初号機搭乗と操縦室見学ツアーなどが用意されています。詳細は「VIEW MORE」をクリック!(en)

スケジュール(予定)
2020年7月10日(金):クラウドファンディング募集開始
2020年11月6日(金):クラウドファンディング募集終了
2020年12月:支援者へのリターン発送
2020年内:本機組立終了
2021年春:一般公開

国立科学博物館〈YS-11〉量産初号機公開プロジェクト
https://www.kahaku.go.jp/news/2020/YS-11/

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