オンラインで出会った全国7都市の学生が、企業の屋外休憩所を設計して建てるというプロジェクトが、クラウドファンディングを1月末より開始(https://camp-fire.jp/projects/view/363241)。
順調に支援の輪が広がっています。
このプロジェクトは「NARA(New Artistry Rest Area)プロジェクト」として、2020年8月より開始したもの。
もとは、2020年5月に誕生した、事業実現のためのオンラインサロン「社外取締役」(TECTURE MAG記事 https://mag.tecture.jp/business/20200429-3537/)に集まった学生を中心に始まったプロジェクトです。
コロナ禍で学びやコミュニケーションの機会が激減する状況の中で、同じく社外取締役のサロンに参加していた特注家具会社アーティストリーの大西功起氏から呼びかけがあり、休憩所を設計し製作するという機会が開けました。
アーティストリー(http://www.artistry.co.jp)は、商業施設から住宅まで、さまざまな空間のオーダー家具什器を製作する愛知県の会社。木材を3次元に加工できる5軸CNC(:Computer Numerical Control)や3DCADのデジタル技術と職人技術を融合させたものづくりを行っています。
学生は、大学1年生から大学院生まで9名が参加。2つのチームに分かれ、オンラインで共同設計を進めました。
公開コンペ方式で2つの案を検討した結果、技術力を活かして実現するであろう、有機的でダイナミックな形状をした案に決定しました。
TECTURE MAGの取材に対して大西氏は「現実的とは言い難い案でしたが『0番目のビジネスモデルになろう』と、あえて難しいほうを選びました」と振り返ります。
当初は100万円ほどの予算を予定していましたが、製作にあたって資金が大幅に足りなくなったことから、クラウドファンディングを実施。ただし大西氏は「学生と企業の新しい産学連携の姿を見せるため、クラウドファンディングの拡散力に期待しました」と語ります。
クラウドファンディングのリターンには、休憩所の完成写真送付から、木製パン皿、木工体験、木工製品のオーダーメイドまで、多様なメニューを用意。目標金額250万円のうち、すでに200万円を超える支援を獲得しています。
すでにCNCでの製作はスタートし、2月中旬より現場での組み立てを開始。
休憩所の製作模様はアーティストリー公式Instagram(https://www.instagram.com/artistry_tech/)で確認できます。
3月の初旬には原寸の休憩所が完成する予定で、その際には参加した学生メンバーが初めて現地でリアルに集合し、報告会を行うとのこと。
「学生にとっても、このプロジェクトに参加した社内の若手社員にとっても、受け身でなく自ら進んでプロジェクトを動かすことの大切さを学べたと思います」と大西さん。
発足の背景、オンラインによる設計や製作のプロセスなど、さまざまな側面から注目される、今から完成が楽しみなプロジェクトです。
(jk)