2021年6月27日初掲、2022年8月16日「みんなでつくる改訂表」リンク追記
プロダクト、グラフィック、建築・空間デザインなど、デザインの領域を越えて活躍するデザイナーの太刀川英輔氏による、2021年4月刊行の新刊です。自身の20年にわたる「創造性」探求の軌跡を辿りながら、生物の進化に創造性を学び、わかりやすい図版とともに紐解いていく内容です。
太刀川英輔氏プロフィール:
NOSIGNER代表。デザインストラテジスト。慶應義塾大学特別招聘准教授。
デザインで美しい未来をつくること(デザインの社会実装)、発想の仕組みを解明し変革者を増やすこと(デザインの知の構造化)。この2つの目標を実現するため、社会的視点でのデザイン活動を続け、次世代エネルギー・地域活性・世代継承・伝統産業・科学コミュニケーションなど、SDGsに代表される社会課題に関わる多くのデザインプロジェクトを企業や行政との共創によって実現。プロダクトデザイン・グラフィックデザイン・建築・空間デザイン・発明の領域を越境するデザイナーとして、グッドデザイン賞金賞(日本)やアジアデザイン賞大賞(香港)など100以上の国際賞を受賞。デザインや発明の仕組みを生物の進化から学ぶ「進化思考」を提唱し、変革者を育成するデザイン教育者として社会を進化させる活動を続けている。NOSIGNER 公式Webサイト
https://nosigner.com/
太刀川英輔氏が提唱する「進化思考」とは、自然界の生物の進化のように「変異」と「適応」という2つのプロセスを繰り返すことで、本来は誰の中にでもある「創造性」を発揮する思考法のこと。特設サイトもオープンしています。
「進化思考」特設Webサイト
https://amanokaze.jp/shinkashikou/
本書では、40億年にわたり変異と適応を繰り返してきた生物や自然の姿やあり方を学ぶことで、創造性の本質を見出そうと試みます。生物の進化や人類の創造を追体験できる、150点の写真・図版を収録して体系化。読者が「進化思考」を実践的に身につけていけるよう、50の「進化ワーク」も併録しています。
著者による『進化思考』の紹介文:
誰もが頭の中に創造性の種を持っていて、
それが発揮されれば、お先真っ暗ではない未来をつくれるはず。私はそう信じています。でも創造性と言うのは、本当に捉えどころがない。見えないからコンプレックスを引き起こす。そして多くの人が創造性を諦めてしまう。
でもそれを諦めたら、本人が不自由になるだけじゃなくて、世界も持続不可能なままです。だからもっと創造的な人を増やしたい。
そのために私自身が創造性の本質を知りたい。
そして本質的な創造性教育の基盤を作りたい。
そう思い続けてきました。こうして創造性教育を探求しはじめ、NOSIGNERになって15年。進化に宿る叡智を研究し始めて6年、進化思考を世界中の大企業や大学などで教え始め、本を書き始めて3年。ついに、その探求が詰まった進化思考の本が発売されます。
人間も自然の一部だから、創造性も自然現象なはずです。そうして僕は創造性とよく似た生物の進化という現象にのめり込みました。そこにははっきりと、創造性の本質が詰まっていました。
生物の進化は、変異的なエラーと、様々な状況への適応の繰り返しで起こります。 進化はバカと秀才を繰り返していると言っても良いでしょう。お笑いで言えばボケとツッコミの繰り返しにも似ています。実は、誰でも優れた創造性を発揮できるパターンが存在するのです。
この気づきは、長い時間を生き残ってきたイノベーションやデザインのコンセプトを、
あるいは人間に宿る創造性の本性をくっきりと浮き彫りにしてくれました。分厚い本になりました。約500ページ。生物学の起源、進化論の系譜、ノーベル賞級の発見や歴史的発明、デザイン、アートが詰まった図版が150枚。23万字の超絶ボリュームの本です。誰が呼んだか、創造性大全。ぜひ好奇心を全開にして楽しんで欲しいです。
帯文でカヤックの柳澤さんやビジネスデザイナーの濱口さんが言ってくれている通り、
創造性をここまで体系化できたものは世界にまだ世界に存在していないと自負しています。
この本を、日本の辺境から、世界の創造性を高める挑戦にしたいのです。(太刀川英輔)
目次
創造性とは何か
進化と思考の構造
変異
変量―極端な量を想像してみよう
欠失―標準装備を減らしてみよう
融合―意外な物と組み合わせよう
逆転―真逆の状況を考えてみよう
分離―別々の要素に分けてみよう
交換―違う物に入れ替えてみよう
擬態―欲しい状況を真似てみよう
転移―新しい場所を探してみよう
増殖―常識よりも増やしてみよう適応
解剖―内側の構造と意味を知ろう
系統―過去の系譜を引き受けよう
生態―外部に繋がる関係を観よう
予測―未来予測を希望に繋げようコンセプト
創造性の進化
#海士の風 YouTube公式チャンネル 『進化思考』著者・太刀川英輔氏メッセージ
本書の版元は、海士の風(あまのかぜ)。英治出版(東京都渋谷区)の協力を得て、島根県隠岐郡海士町に2019年2月に設立された新しい出版社です。本書が版元として記念すべき1冊めの刊行となります。
代表取締役の阿部裕志氏は、メーカーエンジニアから脱サラして起業した人物。2008年に「人と人、人と自然の温かい関係性ある持続可能な未来をつくりたい」と考え、当時の人口約2,500人の島根県の離島・海士町(あまちょう)に移住。新たな社会モデルをつくり世界に広げるべく、地域づくりや人材育成事業と並行して、出版の企画をあたため、準備を進めてきました。
今後は、「知に足のついた出版社、実践が知を育み、知はひとりでに歩き出す」を理念として、年間3~4冊のペースでタイトルリリースを予定しているとのこと。
なお、隠岐諸島・海士町の現在の人口は約2,300人。同町には、隠岐ユネスコ世界ジオパークのビジネスセンターを兼ねた宿泊施設ジオホテル〈Entô(エントウ)〉が今年7月1日に開業することでも話題の島です(詳細は本稿下部の関連リンクを参照)。
阿部裕志氏プロフィール:
1978年愛媛県生まれ。京都大学大学院にてチタン合金の研究で修士号を取得後、トヨタ自動車の生産技術エンジニアとして働くが、現代社会のあり方に疑問を抱き、2008年に海士町に移住。同年に株式会社巡の環(めぐりのわ / 現称:株式会社風と土と)を起業、同社代表取締役。
現在は、環境省・プラットフォームのあり方に関する検討ワーキング委員、海士町教育委員教育長代行、AMAホールディングス株式会社取締役などを務める。平成26年度ふるさとづくり大賞総務大臣賞受賞。著書に『僕たちは島で、未来を見ることにした』(木楽舎 2012)。
本書『進化思考』は、発売に先立つAmazonでの予約販売開始直後に同ビジネス・経済書ランキングで1位を獲得、発売後は1週間で3刷、刷り部数3万部を達成しています。
500ページ強のボリュームを耳でも聞けるよう、5月21日には、オーディオブック・Audible(オーディブル)の販売も開始。さらに、本書収録の図版をカラーで表示できる電子版も、「Apple Books」にて発売中です。
著者:太刀川英輔
定価:3,300円(税込)
総ページ数:512ページ
判型・体裁:A5変形判(148x180mm)上製
ISBN-10:4909934006
ISBN-13:978-4909934000
発売日:2021年4月21日
版元:海士の風(あまのかぜ)
https://amanokaze.jp/
note
『創造性の誤解を解く鍵としての進化論』
進化思考批判への批評と誤解の解消 太刀川英輔
https://note.com/shinkalab/n/n767884b40a54
「みんなでつくる改訂表」(スプレッドシート)
https://docs.google.com/spreadsheets/(URL略)