三菱地所は、東京・有楽町駅前の「有楽町ビル」「新有楽町ビル」跡地(約1万m²)で推進する〈YURAKUCHO PARK〉の新築工事を2026年9月1日に着工すると発表しました。
移設を前提としたサーキュラー建築、地下躯体を活かした人工地盤など、先進的な建築手法を採用する〈YURAKUCHO PARK〉は、建築・空間設計を三菱地所設計が担当。NOT A HOTELが企画・デザイン・プロデュースとして参画する新プロジェクトで、ファレル・ウィリアムス氏とNIGO®氏が手掛けるアート・商業・ホスピタリティ複合空間の〈JAPA VALLEY TOKYO〉を共同で展開します。〈YURAKUCHO PARK〉の竣工および〈JAPA VALLEY TOKYO〉の開業は2027年を予定しています。
設計・監理を担当する三菱地所設計は〈YURAKUCHO PARK〉の新築工事において、「有楽町駅前という丸の内エリアのまちづくりにおいて極めて重要な街区」(ニュースリリースより)であることから、都心における前例のない設計・施工手法に取り組んでいます。発表された同プロジェクトにおける主な技術的特徴は以下の通り。
三菱地所設計は、135年以上にわたり丸の内エリアの都市基盤整備や建築設計を担い、国内外の数多くのエポックメーキングなプロジェクトを手掛けてきました。今回、移設を前提としたサーキュラー建築や、地下躯体を活かした人工地盤の構築、防火地域における木造建築などの先進的な建築手法に、施工を担う大成建設とともに挑戦します。また、照明デザイン、ランドスケープ、植栽施工など各分野の専門家が加わり、日本の技術や全国自治体と連携して用意された素材の魅力と国内外からの多様なカルチャーを掛け合わせた空間を作り上げます。
計画地は有楽町駅前という丸の内エリアのまちづくりにおいて極めて重要な街区です。本プロジェクトを通じて、多様な人・文化・活動が交わる機会を創出しながら、新たな有楽町の可能性を探求し、次のまちづくりへとつなげてまいります。(2026年8月28日ニュースリリースより)
既存ビルの地上部を解体、既存地下躯体は活かして、約1万㎡規模の人工地盤を構築

人工地盤のイメージ
暫定利用期間を創出するため、まず「有楽町ビル」「新有楽町ビル」地上部を全面的に解体。地下既存躯体を活かした地盤を構築することで、その上部での建築物の建設を可能とし、また、土砂の埋め戻しが不要となるなど、資源の削減にも寄与する。
CLTを面材ではなく線材とした新たな使い方に挑戦し、都心の防火地域において100㎡超のCLTあらわしの建築物を実現

〈JAPA VALLEY TOKYO〉完成予定図CGパース
木造建築物の主要構造にCLT(Cross Laminated Timber、直交集成板)を採用するとともに、その活用可能性を広げるプロジェクトと位置付け、一般的には壁などの「面的な構造材」に用いるCLTを、柱や梁のような「線的な構造材」として使う先駆的手法で、11棟の 「アーチ門型架構棟」を整備する(令和8年度 CLT活用建築物等実証事業に採択)。
延焼防止建築物の基準を満たすことで、都心の防火地域において100㎡超のCLTあらわしの建築物をつくり出す。国産スギ材を用いたCLT総使用材積は約480m³で、大手町・丸の内・有楽町エリアにおいて、この規模のCLT建築群の展開は初。なお、本計画には三菱地所グループの三菱地所ウッドビルドが木工事に参画するほか、MEC Industryが製造・販売する国産材を活用した資材を一部採用するなど、グループ各社の知見も活かした空間づくりを進める。
(3)移設を前提としたサーキュラー建築
CLTの全接合部を脱着可能とし、供用後はCLT架構を移設できる「サーキュラー建築」を実践

サーキュラー建築のイメージ
モックアップによる実験を経て、CLTによるアーチ門型架構を実現する新たな固定金具を開発・設計。本金具はCLTの全接合部の脱着を可能とし、有楽町での数年間の供用を経たのち、CLT架構と敷地内で育てた植栽の一部は移設が可能となる仕様とした。建築材料の一方向的な消費ではなく、都市のあいだを木が循環する「サーキュラー建築」を実践し、暫定利用だからこそ「壊さず移す」ための設計に投資する、新たな都市開発のあり方を提示する。
既存ビルの一部を構造的に独立させ解体、暫定期間中も都市機能(地下鉄駅との接続)を維持

有楽町駅側から見た街区のイメージ画像

減築のイメージ
新有楽町ビル(地上14階地下4階)は地上部を全面的に解体しているが、東京メトロ有楽町駅D2出入口に接続する1スパンのみを、地下2階から地上2階まで切り出すかたちで存置。大規模オフィスビルから、必要な機能をもつ1ブロックだけを構造的に独立させ、残りを撤去する「減築」に取り組んでいる。これにより、地上部の解体完了後も地下鉄との接続機能を維持し、暫定利用期間中の来街者アクセスを確保する。
また、〈YURAKUCHO PARK〉では、全国の自治体との連携にも取り組んでいます。来街者に広く開かれた公共的な空間に、日本の地域が育ててきた素材・建材を採用し、世界の来街者に手触りや経年変化まで含めた「日本素材の本物の質」の体験を提供。具体的には、ベンチや植栽の一部などに、12自治体の地域資源が活用されます。
地域資源を活用する12の自治体と樹種(北より)
秋田県大館市/秋田スギ
茨城県つくば市/芝
群馬県みなかみ町/カラマツ
神奈川県湯河原町/サクラ・ツツジ
静岡県富士市/富士ヒノキ
静岡県浜松市/天竜スギ
奈良県/吉野杉
島根県益田市/ヒノキ
高知県/土佐ヒノキ
高知県仁淀川町/ヒノキ
鹿児島県湧水町/スギ
沖縄県石垣市/琉球松
暫定利用の間につくられる建築を一時的に使い、壊す仮設と捉えず、将来の移設や再利用まで見据えた「循環性を組み込んだ建築」を目指す三菱地所、三菱地所設計の取り組みに今後も注目したいと思います。
工事概要
工事名称:(仮称)YURAKUCHO PARK計画 新築工事
所在地:東京都千代田区有楽町一丁目
敷地面積:新有楽町ビル跡地 約7,233㎡/有楽町ビル跡地 約3,551㎡
構造・階数:木造(CLT造)・S造、地上1階
最高高さ:約5m
主要用途:店舗(飲食・物販)、イベントスペース
開業予定時期:2027年(2026年8月時点)事業者:三菱地所
企画・デザイン・プロデュース:NOT A HOTEL
設計・監理:三菱地所設計
建築工事:大成建設
電気設備工事:関電工
衛生設備工事:城口研究所
建築工事:舘林工業
建築工事:A-style
ベンチ設置工事:三物建設
アート設置:乃村工藝社
外構植栽デザイン:DAISHIZEN/グリーンディスプレイ
外構・外観照明計画:Nosight
PM業務・イベントスペース管理:三菱地所プロパティマネジメント
トップ画像:丸の内エリア全体から見た〈YURAKUCHO PARK〉イメージ
画像提供:三菱地所