東京・中目黒にある[HIKE gallery]にて、カール・ハンセン&サンの企画・主催により、現代におけるクラフトの試みを発表する企画展「STOCK by THE LAB(ストック・バイ・ザ・ラボ)」が4月13日より開催されます。
本展は、若きデザイナー2名と、カール・ハンセン&サンの「THE LAB」[*1]のアプレンティス(見習工)が協働し、デンマークの歴史ある展示会「The Cabinetmakers’ Autumn Exhibition(家具職人の秋季展)」[*2]に出展したストレージコレクション「STOCK」を紹介するものです。
ストレージコレクション「STOCK」をデザインしたのは、デザイナーのローラ・ビルデ(Laura Bilde) とティボー・アルゲイヤー(Thibaut Allgayer)の2人。カール・ハンセン&サンのCSR(Corporate Social Responsibility)活動の1つでもある「THE LAB」の優秀なアプレンティス(見習い工)たちとの協働で誕生しました。
ローラ・ビルデとティボー・アルゲイヤーの2人は、カール・ハンセン&サンの長いクラフトマンシップの歴史に敬意を表して、大小5つのキャビネット(引き出し付き収納)で構成されるストレージコレクション「STOCK」をデザインしています。
家具職人の秋季展が掲げたテーマ「Factory(工場)」に着想を得て、また、工業的空間にも目を向け、デンマーク最古の家具工房と言われるルド・ラスムッセン社(Rud. Rasmussen)[*3]に残されていた、船舶輸送のための木箱の材(オレゴンパイン)を用いて家具を製作しました。
この輸送用木箱は、カール・ハンセン&サンにとってアイコニックな存在です。
その昔、アメリカからデンマークの港に届く輸送用木箱は、上質なオレゴンパイン材でつくられていました。さらに、当時の家具職人たちは、この木箱を集め、自分たちで家具につくり変えていたとのこと。
今回のコレクションでも、オレゴンパインの板材は引き出しに加工され、木箱をモチーフにしたフレーム構造の内側に積み重ねてられています。
共通の構造と異なるフォルムのキャビネットを配した”遊び心”に加え、プロダクトそれぞれに独自のスタイルと機能を備えたコレクションです。
イエッペ・ラウン・フレデリクセン氏(THE LAB責任者、プロダクションスーパーバイザー)コメント:
「ローラとティボーは、私やアプレンティスたちと共に、何日もワークショップを重ねてきました。
私は、職人とデザイナーが一緒に作業することで、最高の結果が得られると信じています。家具はコンピュータの画面上で生まれるものではありませんし、特別なものをつくるという意味では境界がなく、本当に楽しいプロセスでした。
カール・ハンセン&サンで製造する家具のほとんどは、デザイナーがすでに亡くなっているため、図面に忠実でなければなりません。デザインに手を加えたりデザイナーに質問したりすることはできず、共同作業なしで製作することが求められるのです。今回のコレクション”STOCK”の製作を通じて、ローラとティボーはカール・ハンセン&サンの友人となり、私たちは現在、2023年の秋季展への出展も予定しています。この秋には、また新しいコンセプトのプロダクトをお披露目できるかもしれません。」
会期:2023年4月13日(木)〜4月16日(日)
開場時間:12:00-18:00 *初日のみ15:00開場
会場:HIKE gallery
所在地:東京都目黒区東山1-15-5 静宏荘1F(Google Map)
企画・運営:カール・ハンセン&サン
注.会場では本コレクションの展示のみ(販売予定なし)
プロダクト詳細(コンセプト解説ムービーあり)
https://www.carlhansen.com/ja-jp/inspiration/the-lab/stock
問合せ先:カール・ハンセン&サン
https://www.carlhansen.com
*1.THE LAB(ザ・ラボ):
優れた家具職人の育成と、デンマークのクラフトマンシップの継承を目的として、カール・ハンセン&サンが設立したワークショップ。指導者のもと、アプレンティス(見習工)がより深く技術を習得することを主な目的とする。
約4年間の見習い期間中、アプレンティスは、伝統的な接合技術やサンディング技術から修復方法、カスタムデザインまで、家具づくりにおけるあらゆることを学ぶ機会を与えられ、また、職人的な技法だけでなく、特殊な機械の使い方も学ぶことができる。
*2.The Cabinetmakers’ Autumn Exhibition(家具職人の秋季展)
デザイナー、建築家、メーカーによる協会。未来の家具のあり方やコンセプトを革新するための実験の場を提供することを目的に、技術的、機能的、芸術的に優れた新しい実験的な家具の展示会を年に一度、開催地を変えて開催されている。
同展のルーツは、1927年から1966年まで行われた家具職人組合の展示会「The Cabinetmakers’ Guild Exhibition(キャビネットメーカーズ・ギルド展)」に由来する。家具職人と家具デザイナーを結びつけ、デニッシュモダンの名作が展示されるなど、デンマークの家具産業において最も実りあるコラボレーションが展開され、デンマークの人々に質の高い新たな作品を提示した。
*3.ルド・ラスムッセン(Rud. Rasmussen)
キャビネットメーカーとして名高いルド・ラスムッセンは、デンマークで最も古い工房のひとつで、140年以上にわたってコペンハーゲンでクラシックなデザインアイテムをつくり続けてきた。2011年にカール・ハンセン&サンのグループ企業として迎えられたことで、需要が増加、ノアブロ区(Nørrebro)にあった古い複数階建ての建物から、デンマーク・フェン島ゲルステッド市にあるカール・ハンセン&サンの工場に生産拠点を移設し、現在に至る。
ラスムッセンのデザインは、デンマークのクラシックなデザインを守りつつ、細部にまでこだわり、カール・ハンセン&サンのコレクションとして、クラフトマンシップへの情熱をもって同社の工場にて製造されている。
クヌッド・エリック・ハンセン氏(カール・ハンセン&サンCEO)コメント:
「私たちは、さまざまな技術を学ぶ機会を設けることで、幅広い技術を持つ家具職人を育てています。アプレンティスは見習い期間終了後に職人試験を受けるのですが、彼らが完璧なまでに技術を習得した姿を見ることができるのは大きな喜びです。この新しい家具職人たちが、もちろんこれからも私たちと一緒に、カール・ハンセン&サンのアイコニックなデザインの名作の数々に命を吹き込んでくれることを願っています。
私たちは、自分たちの手で家具職人を育てることで、デンマークの誇るデザインとクラフトマンシップの遺産を守り、継承していくことができると信じています。私たちの生産工程では、機械が”力仕事”をしてくれるので、家具職人は細部に集中し、木材に心を込めることができます。
家具の大切な要素は、人がつくったと分かることだと私は考えています。人の手が感じられる家具、それこそが、私たちがアプレンティスに教えたいことの本質です。」