COMPETITION & EVENT

Charles Munka “Tameshigaki (lignes de vies)”

文房具店の"試し書き"をアートに昇華するシャルル・ムンカの新作個展

東京・渋谷にあるクリエイティヴスタジオ・INS Studio(アイエヌエス・スタジオ)[*1]と、代官山に4月29日にオープンしたザ・コンランショップ 代官山店にて、フランス人アーティストのシャルル・ムンカ(Charles Munka)の個展が6月30日より開催されます(本展企画:INS Studio、etc.inc[*2])。

シャルル・ムンカ(Charles Munka)個展

シャルル・ムンカ 佐渡島のアトリエ

創作テーマは日常や身の回りの”取るに足らない”こと

フランス・リヨンの出身で、現在は新潟・佐渡島(さどがしま)を拠点に構え、作品を制作しているシャルル・ムンカ。世界各国を旅する彼は、文具店のペン売り場で見かける「試し書き用紙」に興味を抱き、20年以上にわたり蒐集してきました。

シャルル・ムンカ(Charles Munka)個展

ペンや鉛筆などの「試し書き」として他人が残した線や文字、記号、絵などのモチーフをサンプリングし、リミックスすることで、ムンカが新たに組み上げた作品シリーズ〈Tameshigaki(lignes de vies)〉が、本展にて初めて公開されます。
INS Studioでは、30点を超える大小の新作ペインティングと、大型のインスタレーションも披露される予定です。

シャルル・ムンカ(Charles Munka)個展

シャルル・ムンカ(Charles Munka)個展

シャルル・ムンカ 佐渡島のアトリエ

シャルル・ムンカ フランス某所のアトリエ

本展で発表される作品シリーズ〈Tameshigaki (lignes de vies)〉誕生の背景

香港で創作活動をしていたとき、ムンカは、画家の堀尾貞治(1939‒2018)の「あたりまえの日常生活と美術活動を共鳴させる姿勢」に触発され、画材店より身近に数多くある事務用品店に通い、タイプライター用のカーボン紙で路上で拓本をとり、作品制作を始めました。

シャルル・ムンカ 佐渡島のアトリエ

以降、日常や身の回りの取るに足らないことを創作テーマとする姿勢が自身のスタイルとして定着。佐渡島に移住した後は、拓本を通して向き合ってきたトレース表現を軸に試みを続けます。そして、他人が残した、絶対に捨てられてしまうであろう判別不能な印である「試し書き」の存在に着目し、実在の場所に根ざしながらも、全く別の世界を描く「Tameshigaki」として、作品を成立させています。

作家プロフィール

シャルル・ムンカ(Charles Munka)
フランス南東部・リヨン生まれ。佐渡島を拠点に、東京、香港、ソウル、チューリッヒ、ロサンゼルスなど世界各地で精力的に作品を発表。絵画、ドローイング、コラージュなどのメディアを横断した独特のスタイルで、抽象表現主義から日本の漫画まで、幅広い影響を受けながら、イメージの流用に関わる大衆文化の美学の追求を続ける。

シャルル・ムンカ 佐渡島のアトリエ

作家近影(佐渡の文房具店にて撮影)

フランスの著述家で映画作家のギー・ドゥボール(Guy Debord / 1931-1994)が提唱する「漂流」の理論を元にした作品は、周囲の建築や地形の美学から、観る者を無意識のうちに体験へ、風景を巡る無計画な旅へといざなう。最終的な体験はアートワークであり、アーティストが旅先で収集した情報を表している。その作品の鮮やかで色彩豊かな断片は、ポストモダンのアジア都市の驚きと混沌を暗示し、漫画の人物、アジアのキャラクター、看板、ギリシャのシンボルが並置され、ムンカを主人公とする壮大な物語とも融合する。
www.instagram.com/charlesmunka

シャルル・ムンカ(Charles Munka)個展

なお、本展は、東京と大阪のあわせて3つの会場で展開します(その後、大阪会場での開催中止が発表される)。
上記・渋谷と代官山の会場にて6月30日に同時開幕、7月中旬にそれぞれ終了した後は、展示作品を入れ替えて大阪に巡回し、南船場のギャラリー・i GALLERY OSAKAにて7月28日より開催される予定です。

展覧会 Charles Munka “Tameshigaki (lignes de vies)” 開催概要


東京会場1

会場:INS Studio
所在地:東京都渋谷区円山町28-8 B1F(Google Map

会期:2023年6月30日(金)〜7月16日(日)

開場時間:12:00-19:00
休場日:月・火曜
本展企画:INS Studio、etc.inc

シャルル・ムンカ(Charles Munka)個展 東京会場

左:INS Studio(渋谷・円山町)
右:ザ・コンランショップ 代官山店(photo: Takumi Ota)


東京会場2
会場:ザ・コンランショップ 代官山店
所在地:東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF 棟 1F・B1F(Google Map

会期:2023年6月30日(金)〜7月18日(火)
営業時間:11:00-18:00 / 土曜 11:00-19:00
休業日:水曜
https://www.conranshop.jp

大阪会場 ※開催中止(会場発表はこちら
会場:i GALLERY OSAKA
所在地:大阪府大阪市中央区南船場3-8-14 Acn 心斎橋Garden 1F
会期:2023年7月28日(金)〜8月20日(日)

www.igallery-osaka.com

*1.INS Studio(アイエヌエス・スタジオ)施設概要
限定された少数のアーティストの作品制作を支援するアトリエ併設型のクリエイティヴスタジオ。1974年に渋谷区円山町に竣工した〈第18宮廷マンション〉の地下駐車場跡地を拠点とし、不定期でアーティストの作品を一般公開している
https://ins-stud.io/

*2.etc inc.
建築家の吉田 愛(SUPPOSE DESIGN OFFICE共同代表)が主宰し、2021年より活動を開始。「場の空気をデザインする」をテーマに、ディレクションやスタイリングを主な業務とし、プロダクトデザインや企画など空間にまつわるさまざまなデザインを手掛ける。建築やインテリア、家具、香りや音、人、食事、サービスなど、有形無形の要素をフラットに扱い、分野の枠を超えた空間つくりを軸に活動。設計においては、“その他”と呼ばれる要素までをひとつながりのものとしてデザインすることで、新たな風景や体験を生み出すことを試みる。
https://et-cetera.co.jp/

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