11月20日から3日間、東京ビッグサイトにおいて「第46回ジャパンホームショー&ビルディングショー2024」が開かれ、今年の来場者は同時開催の「アジア・ファニシング・フェア」「JAPANTEX」「ビルメンヒューマンフェア&クリーンEXPO」併せて約3万9000人を超える盛況ぶりでした。
ジャパンホームショー&ビルディングショーでは、今年第1回となる「建築ソフト・DX・業務サポート展」も開催されました。昨今建築業界で問題となっている建築業界の人材不足や職人の高齢化問題などに対し、IT化や業務効率化が必要不可欠となっており、DX化を推進するシステムやサービスなどの出展も多く見られました。
また、8回目を迎えたジャパンホームショー&ビルディングショーの公式アワードである「みらいのたね賞」でも、初めてDX関連のジャンルから製品が受賞しています。
「みらいのたね賞」は、ジャパンホームショー&ビルディングショーの出展者だけが選考対象となる公式アワードで、選考員の建築家に選ばれた、「優れた建築を生み出すことに貢献しうる優れた建材、設備、IT製品」に贈られる賞です。
今回のテーマは「~小さな気づきから~」。ゲスト選考員に納谷 学氏(納谷建築設計事務所 代表)を迎え、選考メンバーの山代 悟氏(ビルディングランドスケープ 共同主宰 / 芝浦工業大学 建築学部建築学科 教授)、山本想太郎氏(山本想太郎 設計アトリエ 代表)による選考が行われ、今年出展された約360点のなかから「みらいのたね賞」14点、「ゲスト選考員賞」1点が選出されました。ここでは受賞製品の一部を紹介します。
これまで廃棄されていたモミ殻を再利用した蝶理GLEXの「ecomomii(エコモミー)」は、モミ殻パウダーとSPC(石を粉状にしたストーンパウダーとポリ塩化ビニルを混ぜた素材)を芯材とするエコな床材です。モミ殻の繊維質により加工時の強度が出るほか、ストーンパウダーの使用量を減らせることで軽量化にもつながっています。厚さは5mmと薄く、リフォームで既存の建具に干渉しない点や、カッターで切断でき、実(さね)をはめ込むだけのクリック式で接着剤を使用せずに施工できる点が特徴です。
すでに製品化されていたGLORYのスリムなライン照明システム「TETRAGON」に、T字と十字(クロス)タイプがラインナップし、ゲスト選考員賞を受賞しました。T字、十字とこれまでのL字や直線のランプユニットを組み合わせることで、ロの字型、田の字型や日の字型など、光源を直交させたり四角に組む連結もできるようになり、多様な設置デザインでさまざまな光の演出が可能になりました。器具と器具を最大15mまで連結でき、調光にも対応しています。
コムテックスの「egaku(エガク)」は、仕様決め業務をDX化したクラウドサービスです。あらかじめ住宅会社の設計者やコーディネーターなどが選定した設備や建材を登録しておくことで、重いカタログをいくつも開くことなく画面上で仕様の詳細まで決定できます。また、施主もアカウントをもち、自宅でも仕様を見てきてもらえるので打ち合わせ時間の短縮につながります。電子サインの受領もできるため認識の齟齬やトラブルを防ぎ、スムーズな情報共有やペーパーレス化を図ることにもつながるサービスです。
みらいのたね賞 受賞製品一覧
■みらいのたね賞(順不同・全14点)
ウッドファスナー工法 / 木構造システム
ecomomii(エコモミー) / 蝶理GLEX
AI 現場カメラサービス zenshot / SoftRoid
住宅仕様確定クラウドサービス「egaku(エガク)」 / コムテックス
樹脂製レジスター グレー・ブラック / バクマ工業
真鍮プレート 4スイッチ / アクシス
Smari宅配ボックス / 三菱商事
2025年1月リニューアル:ダクトレス熱交換換気システム「せせらぎ®S400」 / パッシブエネルギージャパン
トイレ内異常検知システム「Xeye」 / 三協エアテック
パールテクトmoku / テンパール工業
frocoat(フロコート) / 日研工業所
ポジカ®くっきり™フィルム / 三井化学
マスタールーフィング / 田島ルーフィング
燃エンウッド® / 竹中工務店■ゲスト選考員賞
TETRAGON / GLORY
選考員講評(選考会レポートより抜粋)
「選考の対象になっている製品の幅が広いので、普段あまり意識していない製品を知ることができました。その点は、すごく良かったです。通常、製品のデザイン部分が一般的には伝わりやすい部分だと思いますが、それを支えている技術が見えたのも良かったです。 製品を通じて、それぞれの企業さんが地道に努力されていることが伝わってきました。」(納谷氏)
「今回、非常に優れた製品が選考されたと感じています。今年は、2つの傾向がありました。1つは、これまでの建築・建材とは違う IT 系の製品で、もう1つは素材の進化です。新しい技術と古い枯れた技術の融合を感じました。」(山代氏)
「今年の傾向は、実(じつ)がある製品が多かったと思います。時代がそのように変化しているということだと思います。非常に良い選考会でした。」(山本氏)
ジャパンホームショー&ビルディングショー2025、「みらいのたね2025」の開催も決定しました。選考対象は来年の同展示会出展製品となります。来年度の出展募集も開始しています。
ジャパンホームショー&ビルディングショー2025 開催概要
会期:2025年11月19日(水)~21日(金)
会場:東京ビッグサイト西展示場