「田部井美奈　光と図形と、その周辺」展

東京・銀座7丁目のギンザ・グラフィック・ギャラリーにて、アートディレクターでグラフィックデザイナーの田部井美奈（たべい みな）氏の個展「光と図形と、その周辺」展が開催されます。

本展について

アートディレクター / グラフィックデザイナーとして活躍する田部井氏の手掛ける本やパッケージには、凛とした品位のなかに明るいやさしさがあり、華美ではないにもかかわらず、人の目を惹きつける魅力があります。目的に応えたデザインは、それぞれ個性的な佇まいを持ちながらも、全体を俯瞰してみると「タベイミナイズム」ともいえそうな円環でつながっているように感じられます。その円の中心でエネルギーを放っているのが、本展のタイトルでもある［光と図形］の挑戦です。

01.「光と図形」UTRECHT（2018）

グラフィックデザイナーの服部一成氏（1964-）の下でキャリアを積んだ田部井美奈氏は、独立後、自分にしかできないビジュアル表現を追い求め始めます。模索するなかで思い至ったのが「写真」表現の持つ、予定調和ではない世界の魅力を取り入れることでした。自分の意志ではコントロールできない「光や影」という現象、その三次元の世界に出現する偶然性を、二次元の紙面上に落とし込んでいく、時間と根気のいる行為に没入しました。自身の想像を超えたイメージが出現した瞬間、自分でもびっくりするという田部井氏。そうした身体性を伴う、ワクワクする時間ごと作品に投影されているとするならば、その深度の高さが、見る者を魅了する力となっているのかもしれません。

本展では、2018年より追究してきたこの実験作［光と図形］の最新作を、空間ごと体感できるかたちでお披露目します。また、これまで手掛けてきたブックデザインやパッケージ、ポスターなどのグラフィックワークの代表作を紹介します。双方を通じて「タベイミナイズム」の神髄に迫ります。

 

田部井美奈氏 プロフィール

アートディレクター / グラフィックデザイナー。
埼玉県出身。武蔵野美術大学短期大学部卒業。2003年より服部一成氏に師事し、同時にフリーランスとしての活動も開始。2014年に独立し、田部井美奈デザインを設立。広告、書籍、パッケージ、展示などの領域でデザインを手がける。
これまでの主な仕事に、武蔵野美術大学、NHK大河ドラマ『光る君へ』、PARCO CHRISTMASなどのビジュアル、「マティス展」（東京都美術館、2023年）などの告知宣伝物がある。書籍では『奥能登半島／石川直樹』『ミライの源氏物語／山崎ナオコーラ』『結婚の奴／能町みね子』などの装丁を担当。そのほか「(NO)RAISIN SANDWICH」「Mame Kurogouchi」のパッケージデザイン、「TADANORI YOKOO ISSEY MIYAKE 4」、HAY TOKYO「Unprecise」の店内装飾、展示「光と図形」などがある。
2019年に東京ADC賞受賞
東京造形大学特任教員、女子美術大学非常勤講師。AGI（Alliance Graphique Internationale）会員

主な作品

02.「Mame Kurogouchi」（2023）

03.「（NO）RAISIN SANDWICH」（2021）

04.『マティス展』朝日新聞社（2023）

05.「TADANORI YOKOO ISSEY MIYAKE 4」ISSEY MIYAKE INC.（2023）

06.「武蔵野美術大学」（2021）

07.『結婚の奴／能町みね子』平凡社（2019）

08.『極北へ／石川直樹』毎日新聞出版（2018）

第409回企画展「田部井美奈　光と図形と、その周辺」開催概要

会期：2025年9月5日（金）～10月22日（水）
開館時間：11:00-19:00
休館日：日曜・祝日
会場：ギンザ・グラフィック・ギャラリー
所在地：東京都中央区銀座7-7-2　DNP銀座ビル（Google Map）
入館料：無料
展示デザイン：中原崇志

Design: Mina Tabei, Photo: Masaki Ogawa

会期中のギャラリートークなど関連イベントはggg Webサイトにて発表されます。

ギンザ・グラフィック・ギャラリー（ggg）
https://www.dnpfcp.jp/gallery/ggg/