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JOB2024.03.01

【JOB 特別インタビュー】福岡地所が求める人材とは!?

福岡市を拠点に1961年から活動する福岡地所。
同社は福岡を拠点に不動産総合デベロッパーとして都市開発、住宅開発、オフィス・商業施設の開発・運営、ホテルの開発・運営など、多岐に渡る分野で事業を展開。福岡市および周辺の地域密着型の企業として、不動産開発事業を通して、都市の発展に貢献している。

現在、建築部の求人を行っている福岡地所。この記事では建築部部長の田代 剛氏に、福岡地所が目指すまちづくりの展望と、一緒に働く人材に求める資質について話を聞いた。

(特記なき撮影:TECTURE MAG)

福岡をおもしろく

── 福岡地所が大切にしていることから、教えてください。

田代 剛(以下、田代)福岡地所では「福岡をおもしろく」をミッションとして、不動産開発を通して福岡の都市力を上げ、国内外の都市から企業や人を呼び込むプロジェクトを実践しています。建物を開発して収益を上げる事業に留まらず、企業誘致や創業支援、開発後の運営力も含めた取り組みによって、開発地内に留まらない事業領域の創出を目指しています。

そのため、プロジェクトの座組の編成を考える際、グローバルな視点を積極的に取り入れることを実践しています。我々が日々暮らしている福岡への眼差しに、国内に留まらない、さまざまな視点を取り入れることで、海外を含む他都市からの企業や人材の誘致に繋いで、福岡の都市力を底上げしていきます。福岡をより魅力的で価値のある都市とし、人や企業を呼び込むことで、福岡の発展に繋げたいと考えています。

── そうしたグローバル視点の会社気質が生まれたのはいつ頃からでしょうか?

田代きっかけの1つは、福岡地所が6人の建築家と協働して、1991年に竣工した分譲マンション「ネクサスワールド」だと思います。福岡市内の埋立地の開発であったことからエリア自体の価値をつくり出していく必要がありました。そのため、磯崎新さんをコミッショナーに迎え、当時若手だったレム・コールハースやスティーブン・ホールなどの建築家を招いて特徴的なまちをつくりました。当時参加した建築家は、この後世界的に活躍されました。その後も集合住宅やオフィスビルを国外の建築家とつくってきました。このような取り組みがDNAとなって、今日まで引き継がれているのだと思います。

私が福岡地所に入社した動機もまた、ネクサスワールドでした。20年以上前ですが、ヨーロッパで出身地を聞かれた際、当時のヨーロッパでは福岡を知っている人がほとんどいなかったのですが、ある建築家はネクサスワールドをきっかけに福岡を知っていて、すごく驚き、また嬉しく思いました。建築を通して故郷を知ってもらえるきっかけがつくれることを体現したのです。

〈天神ビジネスセンター〉国際コンペにて建築家を選定 Photo: SATOSHI SHIGETA

〈清流公園プロジェクト〉国際コンペにて建築家を選定

建築部におけるチームビルディング

── 建築部における具体的な施策を教えてください。

田代建築部では、開発プロジェクトにおけるデザイン、設計、施工のパートを受けもっています。「デザイン×エンジニアリングで福岡を世界の都市へ」を部の志として、積極的にグローバルな視点を取り入れることで、福岡の固有性を引き出すことを実践しています。そのため、これまでも数多くの国際コンペを実施し、プロジェクトごとにこれまでにないアイディアをさまざまな国の方と模索しています。

国外の建築事務所との協働は、世界に向けた発信力という強みがあると同時に、グローバルな視点で福岡を批評してもらうことで、福岡の都市力を引き上げる要素をプロジェクトに取り入れることにも繋がります。海外の建築事務所とのプロジェクトは、固定概念を打ち破られることも多く、また、チャレンジングな提案を成し遂げることやスキルの獲得が社員を刺激しますし、成長のきっかけにもなります。これは、何よりも得難い経験だと思っています。

── デザインとエンジニアリング、この2つを軸にしている背景を教えてください。

田代:我々の部門が社内から求められるものは、建築デザインや建築設備を含めたテナントに提供する空間の実現とコストマネジメントなど建築全般になります。チームにはさまざまなバックグラウンドをもったメンバーが在籍しています。意匠設計だけでなく、設備設計や施工管理などを経験したメンバーもいます。デザインに加えて、建物を通したアクティビティがどこよりも理想的に実現できる環境づくりも求められます。本来的には、デザインの中にエンジニアリングは包括されるものだと思いますが、チームの特性と商品計画の骨格を分かりやすく表現するため、この2軸を使っています。

── グローバルな協働関係を構築するうえで、チームメンバーに求めている能力は何ですか?

田代:建築のプロジェクトマネジメントとコミュニケーションだと思っています。弊社はデベロッパーですので、設計から施工までアウトソーシングして進めます。デザインアーキテクトやインテリアデザイナーも含めると、多くの外部メンバーがプロジェクトに関わります。
プロジェクトを推進するうえで最適な座組を提案して、必要であればコンペ形式で選定し、メンバーを束ねて推進する能力が求められます。また、グローバルなメンバーで推進することが多いので、コミュニケーション力も必要です。

建築部員に聞いた、“福岡地所だからこその経験”

── 茂田さんは入社3年目とのことですが、福岡地所に入社したきっかけを教えてください。

茂田幸乃(下記、茂田):学生のころから、何かを設計する時の最初のコンセプトづくりが好きでした。その延長には、よい建築には土台となるよい計画が必要なのだという考えがあり、デベロッパーという職業を志すようになりました。その中で福岡地所は、建築家をはじめとした多彩なプレイヤーの参画を重要視しており、国内に留まらないグローバルな協働関係が魅力でした。

── どのようなプロジェクトに取り組んでいますか?

茂田入社後にはじめて取り組んだプロジェクトの1つは、福岡地所のこれからのビジョンをイラスト化する、というものでした。私がたまたま見つけたイラストレーターがイギリスの方で、グローバルな視点を求める社のコンセプトに後押しされ採用となりました。
また主担当であったグループ会社のオフィスのインテリアデザインでは、デンマークを拠点とする建築事務所と実施しました。私の強みである英語力を活かしたこれら経験が、その後の自信にも繋がりました。

現在は、Park-PFI(公園に施設を設置し運営する民間事業者を、公募により選定する制度)事業にて、ニューヨークの建築事務所とプランニング中です。このプロジェクトも国際コンペを開催するところから始まっています。予算が大きいとは言えない中で多くの設計事務所に応募してもらえるのは、福岡地所が積み上げてきた実績に寄る部分が大きいのだと思っています。

〈FJBS(グループ会社)オフィス〉 Photo: MASAAKI INOUE

〈FJBS(グループ会社)オフィス〉 Photo: MASAAKI INOUE

── 篠原さんは入社2年目とのことですが、福岡地所に入社したきっかけを教えてください。

篠原弘孝(以下、篠原):もともと、とあるアトリエ建築事務所に在籍していたのですが、そこでの恩師がネクサスワールドの協働建築事務所で設計を担当されていた方でした。その恩師から福岡地所の話を聞いたことがきっかけです。福岡を面白くするために、住宅の新しい価値観を生み出そうとしている会社があるという話で、住宅設計が好きだったこともあって、そのころから気になっていました。

── どのようなプロジェクトに取り組んでいますか?

篠原住宅設計の経験を活かして、現在はマンションのプロジェクトに携わっています。ネクサスワールドをはじめとしたネクサスシリーズは分譲マンションでしたが、今の計画は賃貸であることが大きな特徴となります。分譲とは異なり福岡地所が所有し続けることになるので、時間を味方にした面白い挑戦ができるのではないかと考えています。このプロジェクトもまた、国外の建築事務所と協働で進めています。

国外の建築事務所と仕事をしていると、これまでの私の経験からは考え付かない提案が投げられることが多々あります。プレゼンテーションの傾向も国によって特徴が異なりますし、事務所ごとにさまざまな主張があって、常に刺激を受けています。
その一方で、そうした提案に対して、日本の法規に沿って実現する方法を私たちから提案することもあります。すると、こちらの提案を汲んだうえで、また新しいアイディアで応えてくれるのです。相乗効果というか、お互いの提案を認め合いながらも、新たな発見がどんどんと湧き出てくるようで面白いです。

〈ネクサスワールド〉 Photo: MASAAKI INOUE

福岡地所が今、必要としている人材

── 新たなチームメンバーの理想像は何ですか?

田代:建物や空間をつくることが好きな人。これは必須条件です。加えて、弊社が掲げている「福岡をおもしろく」というビジョンに沿って、福岡の都市力を上げていきたいというマインドに共感できる人、です。とはいえ、福岡とまったく縁なく入社した社員もいて、そのような人のほうが、福岡の抱えている課題が客観的に見えてくることもあるので、必ずしも福岡と縁がある必要もないかと思います。
福岡はほどよい規模の都市です。現実味のある規模感というか、世界有数の都市としてのポテンシャルがありながら、そのための課題を自分ごととして捉えることができ、それが大きなモチベーションにも繋がるのだと思います。

── 最後に、福岡地所ならでは魅力を教えてください。

田代:時代が変わると社会のニーズも変化していきます。また、福岡はマーケット的にもそれほど大きくはないので、同じフォーマットややり方を繰り返してものをつくることはありません。経験は必要ですが、時代を読んで能動的に働ける人が活躍できる会社だと思います。これまでの経験を活かして、福岡を魅力的な都市に引き上げるプロジェクトをつくっていけるところも魅力だと思います。

(2023.10.17 福岡地所本社にて)


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