シャープで耐久性が高く、モダンな空間デザインに多用される、金属系の仕上げ材。
金属の種類や表面加工の違いによって生み出される無数の表情も、魅力の1つとなっています。
金属仕上げ材の魅力をさらに高める製品が、世界最高峰のプロダクトの感性と金属加工技術のコラボレーションから生み出された「Xium(エクシウム)」です。
金属製外装材の専門メーカーとして金属の機能や美しさを追求してきたアイジー工業が、2020年の創業50周年に合わせてリリースした製品として、注目を集めています。
Xiumは高級金属のチタンとアルミの2種類の素材を用い、角度をつけた造形を持つパネルは、彫りが深く陰影に富む特徴をもつもの。
既製の金属仕上げ材では得難い表情が実現されている点に、強く惹かれるデザイナーは多いでしょう。
Xiumは、エンツォフェラーリなどのデザインで知られる世界的に有名な工業デザイナー・奥山清行氏が率いるKEN OKUYAMA DESIGNとアイジー工業とのコラボレーションから生み出されました。
数々のプロダクトを手掛けてきた奥山氏の造形美と、金属の特性を知り尽くしたアイジー工業の技術力から生み出されたXiumは「ラグジュアリーパネル」として位置づけられ、まさに同社のフラッグシップ製品となっています。
この新しいカテゴリーを切り開いた製品をどのように取り入れ、空間の質を高めることができるのでしょうか。
チタン素材の「Xium-TITAN」を導入した最新事例をもとに、設計者のコメントを交えて効果的な使い方を紹介します。
千葉県の九十九里浜にほど近い場所に位置する、アクティブ・レクリエーション施設〈GOAT〉。
サーフィンの後にバーベキューなどを楽しめるほか、ワークスペースも備え、遊びと仕事の境界線をなくすような場所として考えられています。
この施設内で、音楽をかけ集中してエクササイズするトレーニングルームの仕上げ材として導入されたのが、「Xium-TITAN」です。
内部は黒を基調とする床・壁の仕上げで囲われた空間で、見上げると視界に入る天井と壁の一部にチタンパネルが施されました。
〈GOAT〉の設計を手掛けた服部創史氏(建築設計SOO代表)は、次のように語ります。
「『Xium-TITAN』を手にとったとき、まず軽いことに驚きました。同時に、デザイナーによって綿密に考えてつくられた造形美も活かしたい、とも思いました。飾りやオブジェのような使い方はありましたが、そうした方法以外に空間に取り込めないだろうか。そう考えていく中で、モダンで洗練された空間の天井に張り、広がりを出すことを検討しました」
1枚200mm角のパネルは軽量で、天井面にも施工可能。服部氏は天井付近の壁にもXiumを張ることで、折り上げ天井部分のインパクトを強めつつ、広がりを感じる効果を狙いました。
また、パネルは角度のついたフラットな面を組み合わせた形状をしているため、張る向きによって表情が変化します。
「Xiumを張る向きは、規則的に一定方向で張るパターンとランダムの両方を検討しました」という服部氏。
割付は図面で詳細に考えたほか、現場の床にそれぞれのパターンで並べて見比べた結果、ランダムに張ることとし、向きは職人の裁量と機転にまかせたといいます。
施工は、天井下地へグリッド状に取り付けたアルミの専用下地材に、端から順にはめ込む形式。パネル同士は突き付けとすることで、壁と天井とが境目なくシームレスにつながっています。
そして服部氏は、「Xium-TITAN」の繊細な表情と陰影をより効果的に強調するため、間接照明による光でパネルを照らすことに。
折り上げ天井の中に照明器具を仕込むコーブ照明とし、Xiumで仕上げた面全体が浮かび上がるようにしました。
服部氏は「採用した面積が大きく、パネルによって光の反射の仕方が異なるので、見ていて飽きません。広がり感はさらに強まりましたし、施設の性格に合った格好良さも出たと思います」と評価します。
ランプにはスマートLEDライトを採用し、光の色合いや照度をスマートフォンのアプリで操作できるようにしました。アクティビティや気分に合わせて光を変化させることで、チタンの面に反射した色とりどりの光が空間に満ち、豊かに彩ります。
「軽量で耐久性が高いチタンの特性が活かせる条件であれば、製品自体の魅力が高いのでクライアントの理解も得やすいはず。機会があれば、外部でも導入してみたい」と服部氏は語ります。
金属製外装材の既成概念を超えるXiumが見せた、インパクトのあるスタイリッシュな活用事例。
空間デザインとXiumとのコラボレーションで、採用する空間の魅力はいっそう高められるに違いありません。
Xium 特設サイト
https://www.igkogyo.co.jp/lp/xium/アイジー工業
https://www.igkogyo.co.jp