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「aq. (エーキュー)」で叶えるストイックで豊かなバスルーム

建築家・芦沢啓治が「aq.」で考える“禅”的バス空間

PRODUCT2023.03.31

日本の精神性と美意識を継承する「aq.(エーキュー)」は、建築家やデザイナーと共創しながらそれぞれが思い描く夢をかたちにする新バスルームブランド。従来のシステムバスとオーダーバスの垣根を超え、1台からのオーダーにも対応。そんな「aq.」をイメージしたバス空間を、建築家として国際的に活躍し、インテリアや家具、照明デザインまで幅広く手がける芦沢啓治氏に考えてもらいました。


芦沢啓治 | Keiji Ashizawa

建築家 / 芦沢啓治建築設計事務所 主宰
横浜国立大学建築学科卒。1996年に設計事務所にてキャリアをスタート。2002年に特注スチール家具工房「super robot」に正式参画し、オリジナル家具や照明器具を手がける。2005年より「芦沢啓治建築設計事務所」主宰。「正直なデザイン / Honest Design」をモットーに、クラフトを重視しながら建築、インテリア、家具などトータルにデザイン。国内外の建築やインテリアプロジェクト、家具メーカーの仕事を手がけるほか、東日本大震災から生まれた「石巻工房」の代表も務める。

INDEX

  • 日本のバス空間に必要なのは圧倒的な静謐さ
  • バスルームは禅寺のようにストイックであってほしい
  • 従来のシステムバス以上の心地よさと面白さを追求したい
  • 効率重視から切り離し、静けさのある贅沢な空間を目指して

■ 日本のバス空間に必要なのは圧倒的な静謐さ

施主のための住宅をつくってきたので、自分が理想とするバスルームといわれてもよくわからなくて(笑)。そこで「aq.」に適した物件がないか探してみたところ、今、神奈川で手がけている住宅がちょうどいいかなと。

僕は通常、住宅の浴室は在来で設計することが多いのですが、「aq.」のバスルームは在来に近いというか。とても自由度が高いので、このデザインがプロトタイプの1つになり得ると思い、施主と話しながら絵づくりをしているところです。リアルなこの物件をきっかけに、「aq.」では何かしらバスタブとランドスケープの関係性のようなところまで踏み込めるといいなと。

廊下の突き当りを曲がると直接広がるバス空間

木造住宅の1階角に設えたバスタブは、「森の角に開けるバス空間」というイメージ。家の中のバスルームだけれど、ランドスケープと一体化していて、露天風呂よりももう少し気軽に使えるというか。バスルームには必要最低限の機能だけを残して、設備をシンプルにすることで、ノイズが少ない、より落ち着ける空間になると思います。

角を開口部にして森に開くバス空間。洗面台とバスタブの間に壁はない

細長い廊下を進んでいくとニッチ(飾り棚)のある壁にぶつかり、右に向くとそこに一気に開けた空間が広がります。バスルームの角2面は、夕方に西日が差し込む天井までの大きな掃き出し窓。もう1面に設けた洗面台の大きな鏡が向かいの自然を映して、空間を大きく見せます。

洗面台とバスタブの間にはあえて壁をつくらず、まるで3面に自然がつながっているような印象を演出。さらに、バスタブの延長上に縁側を設けることで周囲の森との連続性が生まれ、お湯から上がってそのまま外に出てくつろげるのもポイントです。リビングとは別の居心地のよさがあって、かつ外から家の中を見たときにバスルームが特別な場所に見えるようにしたいと考えています。

バスタブから延長する縁側は、森を見ながら湯上がりにくつろぐこともできる特別な場所となる

■ バスルームは禅寺のようにストイックであってほしい

僕にとって上質なバスルームの条件は「余計なことをしていないこと」だと思います。最低限必要なものが必要なところにきちんと置いてあるというか、バスルームはよりストイックな空間であるべきです。例えば、日本の温泉旅館に行くと「床がすべるので気をつけてください」という張り紙や、やたら広告的なパッケージのシャンプーを目にしますが、裸になって感覚が鋭敏になっているぶん、そういうのはとても邪魔に感じてしまいます。それらがなくなるだけで、すごく静かな気持ちになれると思います。

僕は禅寺が好きで、少し大袈裟にいうと、バス空間には禅寺の域に達してもらいたいんです(笑)。たまに、ハンドシャワーがなくてレインシャワーしか付いていないシャワールームがありますが、あれはあれで1つの答えなんですよね。上から温かいお湯が降り注いでくれれば全身は洗えるし、そこに機能的なものは本来そんなに必要ないと思います。石鹸1つなのか、ボディソープとシャンプー&コンディショナーかわかりませんが、そういうものがあって、あとはシャワーボタンかノズルが1つあれば十分。そのくらいミニマルなほうがいいですよ。もちろん、日々使う人には機能も必要ですが、旅先などの非日常空間ではできるだけムダな情報は削ぎ落としてほしいと思います。

窓から壮大な富士山が見えるように芦沢氏が設計した別荘の浴室空間。ランドスケープと一体となり、複数で入る楽しみも提供する

自分たちが考える以上に、光や音のノイズが人間の精神的な集中力を削ぎ、あるいは快適性の指針になっていると感じています。照明がないだけでも余計な光が目に入らなくて、だいぶほっとしますよね。そういったことも含めた総合力というか、どういうふうにそこに佇んでもらいたいのか、落ち着いてもらいたいのかを考えることが大切。バス空間というのは、心の底から落ち着きたい場所なので、そういったノイズをどこまで消すことができるかが非常に重要だと考えます。

■ 従来のシステムバス以上の心地よさと面白さを追求したい

在来浴室は自由につくれるので特に不満はありませんが、不満を強いて挙げるとしたら、施主に予算や安全性の点から「在来はダメ」といわれることでしょうか(苦笑)。システムバスに関していうと、安価にできるのはいいのですが、品番を書いたら終わりみたいな、設計の余地がほとんどないのが残念です。そういう経済合理性と、ある種の安全性は担保されているけれど、プラスチックな感じとか、素材感が剥奪されたような世界は、僕としてはあまりいい気はしないですよね。

例えば、体にきれいに沿った樹脂でできたバスタブに寝転がったら気持ちいいのですが、それ以上に天然の石や木でできた浴槽は心地いい。素材に体が触れているというか。セーターもウールなのか、アクリルなのかで着心地に差がありますよね。カシミヤを着たときの気持ちよさは格別みたいな。そういうことが在来では可能だし、カスタムメイドにもその面白さがあると思います。

「aq.」が目指すシステムバスと在来浴室の中間というレンジは、ホテルやマンションのようなきちんとしたバスタブをつくりたいときに使えるので、僕らにとってはすごくありがたいですよね。昨今、僕らも立て続けにマンションのリノベーションを行いました。そのとき在来ほどの自由度はありませんでしたが、ある程度イメージしていたものに近づけられるのはとても助かりました。

それと同時に少し罪悪感もあって、1つひとつイチからつくるとなると、それぞれ型をつくるところから始めないといけないので、再現性がないのを後ろめたく感じていました。僕らが最近手がけたホテルは全部で5室というホテルで、そのうちの3室に同じ型のバスタブを置きました。少しムダなスペースが出ますが、そういったこともコストを考えると検討する必要が出てきます。

■ 効率重視から切り離し、静けさのある贅沢な空間を目指して

バス空間は「使う人がどうしたいのか」をイメージして設計するという芦沢氏

1日3回入浴するような人だったら、リビング空間の一部にあるほうが便利でしょうし、それはその人の生活の一部なのでそうするべきだと思います。一方で「ちょっと瞑想してくる」みたいな感じだったら、ひょっとしたら離れにあるくらいのほうがいいのかもしれません。大切なのは「そこを使う人がどうしたいか」ということです。

今の日本のバスルームにないのは“静けさ”だと思います。日本の場合は、そこが圧倒的にユーティリティ空間になっていて、脱いだ服がすぐに洗濯できるみたいな感じだし、散らかっていて当たり前。さらに場合によっては、浴室暖房乾燥機が付いていて洗濯物が干してあったりする。それもいいアイデアだと思う一方で、そういうものとは切り離してバスルームは特別な空間として楽しむほうが、僕は幸せなんじゃないかなという気がします。お湯に浸かっている時間は特別ですから、そのほうがやっぱり贅沢ですよね。

「aq.」とは今後、「バスルームはもっと美しくあるべきだ」ということを一緒に表現していきたいですね。ある種の豊かさというか。そういう観点でいくと、1つの標準的なパッケージが必要にはなってくるかもしれない。美しいデザインをできるだけ多くの人に届けるというのがプロダクトデザインのゴールの1つだと思いますが、そのときにどこまでストイックさをキープできるのかがカギになってくるでしょうね。


「aq.」の世界観を表現しているウェブサイトでは、業界の第一線で活躍する建築家や注文住宅設計事務所などのつくり手が考える、今後の展開におけるコンセプトイメージや、理想のバス空間のデザインを公開しています。

芦沢啓司氏のインタビュー「バス空間はもっと美しくあるべき」は、特設サイトでもご覧になれます。

(この記事はaq. 特設サイトでのインタビュー記事をもとに再編集したものです)
text by toshiaki ishii (river co., ltd.)
photograph by yu kawakami

 

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