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フローリングの仕上げ、機能にみる最新トレンド(2 / 3)

表情をもたせる表面加工や、シートフローリングも表情豊かに進化

PRODUCT2024.03.08

TECTURE MAGでは「TECTURE」の参加メーカーに取材し、フローリングのトレンドや最新技術などを3回にわたり紹介しています。

前回は主に、無垢フローリングや複合フローリングへの着色や塗装について取り上げました。今回は、フローリングに施す表面加工と、印刷技術や表面の質感も進化しているシートフローリングについて取り上げます。

第1回 フローリング × 塗装(2月14日掲載)
第2回 フローリング × 表情
第3回 フローリング × 機能

 

フローリングは壁や天井と異なり、常に身体が触れる仕上げ材です。設備や家電、照明、ファブリックなど、性能や好み、流行などで選ばれるものが多い生活空間のなかで、「こだわって選ぶと満足度に直結する」と、床に注目する施主も増えてきているようです。

手間をかけた表情で部分使いでも効果絶大の表面加工

職人の手で木材表面に施していた「うづくり」「なぐり」「ちょうな」といった表面加工を、フローリングで選ぶことができます。在宅時間の増加などで住宅への導入を検討するクライアントが増えているだけでなく、裸足で過ごすスタイルの幼稚園や保育園などからも注目されています。

表面加工には木目がはっきりとし、ほどよい硬さのあるオークやタモなどが向いています。床の間や畳の周りなど和室での採用が多いようですが、和のテイストが強くなり過ぎない明るい色の樹種やデザインを選び、玄関や寝室のベッド脇(足元)など、ワンポイントで取り入れるだけでも満足度が増します。

六角形が並んだようなキッコウ加工を施したウォルナットのフローリング(提供:マルホン)

これらの表面仕上げ、元は「ちょうな」という大工道具で板材表面の凹凸や皮、木材の腐食しやすい白太(辺材)部分をはつるという下処理が目的でした。

手軽に表面加工を取り入れ、足触りのよい空間に

無垢フローリングに施された表面加工の例(提供:ウッドワン)

表面加工で感じられる凹凸は足触りがよく、滑りにくくなる効果もあります。リビングや子供部屋にも向いているのですが、オプションで頼むには予算がかかるため、あらかじめ加工されたラインナップから選択する方法もあります。

うづくりに似たブラッシングや、なぐり、ちょうなの表情をイメージしたり、のこぎり跡を表現したデザイン、波のように長辺方向に流れる凹凸や、スプーンですくったようなデザインまで、これらは加工機械の刃を変えることで制作されています。無垢フローリングでは深さ2.5㎜ほど彫られているものもあり、自然光や照明で陰影を感じることができます。

挽板フローリングでも帯鋸跡などを表現した味わいを出している製品もある(提供:ウッドワン)

触感や心地よさを「見える化」して選ぶ基準に

スプーンカットを施したフローリングを壁面に採用した例。照明で加工の表情と木目が際立つ(S邸 / 提供:マルホン)

フローリングを選ぶ際、色や木目など意匠に加え、「さらっとして気持ちがいい」「素足でも温かい」「厚みがあって踏み心地がいい」といった感覚を基準にすることがあります。

材種により異なる温かさや冷たさは、比重で理解することができます。木の比重は密度と考えると分かりやすく、比重が小さく軽い樹種は空気を多く含むため、柔らかく温かい。比重が大きく重い樹種は目が詰まって冷たいと感じます。冷蔵庫で冷やしたフローリングサンプルを手で触っていると、だんだん温かくなるのがスギなど軽い樹種で、イペなど重い樹種はいつまでも冷たいままです。比重などはカタログなどで確認することができ、ショールームによってはさまざまな樹種に触れることもできます。

一方、足触りの心地よさのイメージを分かりやすく「見える化」し、選びやすさにつなげているメーカーもあります。

感覚を言語化し、表面加工の足触りをグラフに表すことで認識を共有しやすくしている(提供:ウッドワン)

無垢で表面加工をオーダーする、既製品で選ぶ、凹凸のあるシートフローリングを選ぶなど、イメージを共有したり、条件や予算で検討することができ、種類の多いフローリングの選びやすさにも工夫がなされてきているようです。

シートフローリングの木目再現度がすごい

木目の再現率が高く、人気の樹種が揃うシートフローリング(提供:ウッドワン)

意匠性と性能面でも評価が高く、使いやすさで常に人気が高いシートフローリング。奥行きがなく、写真風で木目のパターンが少なかったころに比べ、プリント技術の進化で自然な木目や色味が表現され、凹凸も触って感じられるようになりました。本物の木のように節部分の硬さ、入り皮部分の穴、木目と凹凸が完全に一致とまではいきませんが、ブラッシングしたようなエンボス加工で表現された木目の質感で、パッと足元を見るぶんには本物の木を表層材に使用した複合フローリングと違いが分からないほどです。

素足で歩くとペタっとしたり、静電気によりほこりが溜まりやすい面はありますが、施工しやすさ、寸法安定性、施工後に温度や湿度で狂うといったこともなく、さまざまな用途で人気があります。

印刷と加工技術の向上で、見た目と機能でも選ばれるシートフローリング

178×1818㎜の幅広で長辺、短辺とも面取りされ、無垢材のようなシートフローリング(提供:大建工業)

無垢フローリングや天然木を表層材としている挽板、突板フローリングは、木目の自然なランダムさや奥行き感で意匠性に優れていますが、シートフローリングの木目再現度も一見区別がつかないほど進化。同メーカーのドアや収納扉などとコーディネートできることで空間に統一感を出せ、価格面でも選ばれています。
また、紫外線に強く日焼けしにくいため、施工時の状態を長く保つことができます。

無垢のような厚みを感じるアール加工がされたシートフローリング(提供:大建工業)

一般的に複合フローリングは、幅に違いがある2P(ピース)、3Pで提供されるものが多くV溝が浅いため、床に近づいて見るとシートであることが分かります。
近年、シートフローリングでも1枚ずつアール加工され、溝までなだらかに巻き込んだデザインを実現して無垢フローリングを施工したような仕上がりの製品も登場し、ますます無垢や本物の木を表層材にする複合フローリングに見た目では違いがなくなりつつあるようです。

非木材系フローリングは幅広サイズも登場

特殊オレフィンシートに鏡面調仕上げの大理石柄をプリントしたシートフローリング(写真提供:大建工業)

以前、TECTURE MAGでは印刷・製造技術が進化したタイルについて取り上げました。
希少な石材を表現したものやアンティーク木材のような柄など、各建材の自然な凹凸、深み、ザラザラした質感まで印刷と焼成技術で表現されたタイルがあります。

木質系だけでなく、最近では石目調や金属調、モルタル調のフローリングなど種類が増えました。本物の石材やタイルのような冷たさが少なく、割れることはまずありません。空間ごとにさまざまな仕上げの床を実現することもできます。
ただし、耐水性に優れるタイルのように長時間、水にさらされることに強いわけではないため、ほかのフローリング同様、濡れたらすぐ拭き取るといった対応は必要です。

取材にご協力いただいたメーカー(五十音順)

トップ画像〈宇都宮の平屋〉設計:株式会社岡本和樹建築設計事務所 / 撮影:矢野津々美(提供:ウッドワン)

 

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PRODUCT2024.02.14

フローリングの仕上げ、機能にみる最新トレンド(1 / 3)

インテリアや用途を選ばない樹種・塗装仕上げが人気
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