木、石、タイル、金属など、内外装を仕上げる建材はいろいろありますが、さまざまな技術によりそれらを薄くすることで、本物の意匠性をもちながら加工性、施工性がぐんと向上しています。
搬入しやすい、現場で扱いやすいといった施工性だけでなく、曲げても折れず曲面に施工できる木材、また後ろから照明をあてて透過させることができる石材も登場しています。
松下産業が取り扱う天然石シート「Handy Stone」は、天然石を独自技術で剥がし、シート状に加工した薄くて軽い石材です。石種ごとのテクスチュアや重厚感、高級感はそのままで、湾曲もできる加工性が特徴。ソフトタイプは業務用カッターやハサミで切ることができます。
標準サイズは1200×600㎜、厚みはハードタイプ(補強材にFRPを使用)で約1.0~2.5㎜厚、ソフトタイプ(補強材にコットンメッシュを使用)で約0.5~1.5㎜という薄さ。1枚1200×2400㎜のスーパーサイズもラインナップされています。
ラミナムジャパンは4月に開催されたサローネ・デル・モービレ・ミラノ2024において、持続可能性のための新ブランド「twO by LAMINAM」より、1000×3000×2㎜のセラミックタイルコレクション「Gemini」を発表しました。
セラミックタイルがもつ耐候性や耐薬品性など、性能面は変わらず、薄さや軽さにより加工や施工がさらに容易になります。さらに厚さ3㎜の製品と比べて原料消費30%、焼成時間を50%削減でき、採掘から製造、運搬、施工全体にかかるCO2の大幅な削減が期待されます。
江間忠木材の「Emmaウォール」は、クロスのように施工できる天然木を使用した不燃突板シート。総厚0.23~0.3㎜の三層構造で、塗装膜の下に天然木突板を使用しています。
不燃認証を取得しているため内装制限がかかる空間でも採用でき、糊付け機を使用してクロス職人による施工が可能。曲げても割れないので円柱や曲面のカウンターなどの仕上げとして貼ることもできる、「木目調」ではない本物の木材シートです。裏面が粘着加工された、鋼製建具などへそのまま貼れるラインナップもあります。
中川ケミカルが扱う「MATERIO」シリーズの「箔シート」「舞箔シート」は、金箔や銀箔、真鍮箔など金属箔を扱いやすいシート状にした装飾用建材。プラスチックフィルムの土台層の上に箔素材をのせ、コート層で保護した4層構造で、基材と粘着剤を含む総厚は80~90μmの薄さです。1010㎜幅、長さは1000、2000、3000㎜から選ぶことができ、不燃認定を受けています。
本物の材料からつくられる薄い建材は、施工性、加工性に優れるだけでなく、製造や運搬にかかるCO2排出量を削減できる点でも注目されており、さらにラインナップが増えることが期待されます。
トップ画像:「Handy Stone」(TRANSLUCENT 透過タイプ / SLTL-56 +ガラス)写真提供:松下産業