PRODUCT

圧倒的なリアルさを持つ木目調の外装パネル「アートテック®」

緑の上に浮かぶモダンでナチュラルな建築を表現するDNPの焼付印刷パネル

PRODUCT2024.08.26

建物にオリジナリティと豊かな表情を演出する「DNP内・外装焼付印刷アルミパネルアートテック®」。高い意匠性と耐候性、加工性を兼ね備えており、さまざまな建築物の外装・内装で利用されています。

アートテックはアルミ素材に木・石・金属などの色柄を焼付印刷した製品のため、天然素材の問題点を解決するだけでなく、DNP独自の印刷技術によって豊富な表面仕上げ・質感表現が可能となっています。

質感、柄、仕上げの組み合わせで設計者・デザイナーの要望に応えるアートテック®

アートテックの中でも「マテリアルシリーズ」は、天然素材の魅力を忠実に表現することができます。この「マテリアルシリーズ」の木目柄を採用しているのが、低層分譲マンション〈グランリビオ浜田山〉。沿道に面したファサードには、アートテックを組み合わせてつくられたマリオンが設けられています。軽快で洗練された建物は、緑豊かで落ち着いた雰囲気を持つ住宅街の中で、道行く人の目を引く魅力を備えています。
グランリビオ浜田山〉のデザイン監修を手掛けたのは、有限会社船田アーキテクツの船田徹夫氏。今回は、本施工事例とアートテックについて、船田氏に詳しくお話を伺いました。

INDEX
・プロジェクトの起点や背景
・繊細に研ぎ澄まされた邸宅像を求めて
・他には代えられない価値のある材料
・リアルな木目を持つ材料がもたらす効果

プロジェクトの起点や背景

― プロジェクトの背景や条件は、どのようなものでしたか?

船田徹夫(敬称略。以下、船田):グランリビオ浜田山が建つ最寄り駅の北側は、商店街を抜けた先に静かな住宅地が広がっています。全長が約4.2kmに及ぶ善福寺川緑地や和田堀公園、柏の宮(かしわのみや)公園など多くの緑に恵まれ、丁寧に手入れされた庭木のある邸宅が立ち並んでいます。街全体に落ち着いた穏やかな空気が保たれている地域です。

プロジェクトのコンセプトが「次代に受け継がれる住まい」だったので、周辺の環境に溶け込む建築デザインであることを第一に考えました。時代に左右されない素材を用いたシンプルな形状と、トレンドの変化に影響を受けない「価値が持続するマンション」をめざしました。

グランリビオ浜田山のバルコニー部分

繊細に研ぎ澄まされた邸宅像を求めて

― 建物の設計で工夫されたことを教えてください。

船田:デザインコンセプトは『砺美(れいび)の邸』としました。「あらと」とも読む「砺」は、刃物を研ぐための石のことです。丁寧に根気強く極限まで磨き上げられた美しさ・洗練された美を、「砺美」という造語に込めています。

建物では、コンクリートのボリュームや重量感を感じさせず、自然のなかで透けて水平に広がるような空間を検討しました。日本の木造住宅のような建築美を感じられる、繊細に研ぎ澄まされた次世代の邸宅像を追求したのです。

外観の大きな特徴は、縦のマリオンと横の庇(ひさし)が取り付けられたファサードです。バルコニーや共用外部廊下のさらに外側に、奥行が約60cmのマリオンと庇を付加しました。マリオンをアルミパネルでつくることで、軽快な外観を実現できました。マリオンは建物に取り付いている側では150mmの幅がありますが、先端に向かって細くなる形状とし、先端部は見付け寸法が80mmのカットパネルとしています。床スラブの先端は、パネルを曲げ加工を施し60mmにしました。

マリオンに「アートテック」を採用したグランリビオ浜田山

他には代えられない価値のある材料

― マリオンのアルミパネルには「アートテック」の木目調を採用されました。狙いや選定の経緯を教えてください。

船田:建物表現のメイン素材を木調にすることは、デザイン監修者として唯一の選択肢でした。その理由は、天然の木材の物理的性能やCO2削減への寄与度を評価してというよりは、木目のビジュアルが持つ心理的な効果が非常に大きいことにあります。

マリオンを木目とすることで、建物全体が薄い木の板でつくられているようなデザインを実現できました。マリオンの軒裏部分にも同素材を用いることで、地面レベルから建物を見た時に建物の大部分が木目仕上げのように見え、緑の上に浮かぶモダンでナチュラルな建築となりました。

分譲マンションで仕上げ材を選択する際には、天然素材の経年変化を購入者に肯定的に受け入れてもらうことがほぼ不可能といえます。「アートテック」はフッ素塗料による焼付印刷が施されていて耐候性のテストもされているので、経年で劣化しないという安心感を持って提案できます。

高い耐候性が求められる一方で、木目の表現において求められるのはリアルさです。今回のプロジェクトでは、マットな質感でリアルな木目を持つ「アートテック」は他の製品と比べて圧倒的なリアルさがあると評価が一致し、採用に至りました。耐久性と意匠性の要求をどちらも高いレベルで満たす「アートテック」は、他の商品に代えられないと思います。

下から見上げたマリオン部分

リアルな木目を持つ材料がもたらす効果

― 木目や色合いは調整されたのでしょうか?

船田:私の手元にあったサンプルをもとに、少し離れた距離から見た時にもウォールナット柄の木目がきちんと見え、落ち着いた色合いとなるように微調整しました。このあたりの調整が細かくできることは心強いですね。

竣工した時、事業者からは「もしアートテックでなかったら、まったく異なる印象になっていただろう」と話がありました。また、近隣住民のなかには「木造のマンションができましたね」と言う人もいたと聞いています。木目がはっきり見えて金属感のない建物が街並みに及ぼすインパクトは、とても大きいと私自身思っています。

グランリビオ浜田山の斜めからの外観

― 今後のプロジェクトでは、どのように使うことを考えていますか?

船田:リアルさを感じさせる木目のシリーズは、これからも多くの場で使っていきたいと思います。今回のプロジェクトのように、心理的効果の大きな木目のビジュアルが必須となる場面は、今後も増えていくでしょう。自分のこれまでのアルミパネルの使い方は、薄さを活かしてフラットで折り紙のような表現とすることに限定していたように思います。でも、コーナー材や曲面材を織り交ぜる工夫をすることで、表現の幅をもっと広げていけるのではないかと考えています。

自分が若い頃は、本物の素材を使わないことに抵抗感がありました。でも、イタリアに渡ってミケーレ・デ・ルッキの事務所で働いた時、事務所ではメーカーと協働してメラミン化粧板の柄を数多く検討していました。彼らは樹脂を建築やインテリアのほか、家具や照明器具、工業製品などにどのように展開できるかを真剣に考えていたのですね。そうした様子を見て、素材に対する見方が変わったように思います。
私も「アートテック」を通じて建築の可能性を広げながら、人の感性に訴える建築をつくっていきたいと考えています。

(2024年4月24日 DNP 市谷加賀町ビル 応接室にて)

有限会社船田アーキテクツ 船田徹夫(ふなだ てつお)氏

1957年函館市生まれ。1980年北海道大学建築工学科卒業。坂倉建築研究所にてキャリアをスタート。1989年イタリアを代表するデザイナー・建築家であるミケーレ・デ・ルッキと、アントニオ・ チッテリオの2つのスタジオに勤務。1992年Studio De Lucchiの日本プロジェクトの設計監理事務所として船田建築研究所を開設。2005年有限会社船田アーキテクツ開設。

*この記事は大日本印刷によるインタビューをもとに再編集したものです

「アートテック®」のホームページがリニューアル

この度焼付印刷アルミパネル「アートテック®」のHPをリニューアルしました。アートテックの特徴や意匠、施工事例などをよりわかりやすく、より多くの情報をお届けします。また設計インタビュ―記事やコラムなどの新しいコンテンツを続々更新し耳寄りな情報を発信します。

大日本印刷株式会社「アートテック®」について

・天然木と合わせて使用しても違和感のない意匠レベル
・同柄でいろいろなカラーをつくることができるデザインカスタマイズ性
・完全外部でも使用可能な高い耐候性

大日本印刷のアートテック®は物件によってその顔を変え、その物件のコンセプトや込められた想いを印刷の力で表現します。

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セミナー開催のお知らせ


2024年9月5日(木)・6日(金)に、世界のインテリアスタイルのトレンドや、家具・キッチン等を彩る「色( Color )・素材( Material )・仕上げ Finish )」CMF )の最新動向などを紹介するオンラインセミナー「 Global Interior Trend 2024 」を開催します。
本セミナーでは、DNPが20年以上にわたり調査を行っている、世界最大級のインテリア・デザインイベント「ミラノデザインウィーク」や、イギリスや北欧で開催された各種展示会の様子を紹介します。

 

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