COMPETITION & EVENT

特別展「大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ~絵画をめぐって」

[Report] 伊藤忠太設計の大倉集古館にて、ル・コルビュジエが制作した油彩、素描、版画、タピスリー、彫刻など約130点を約30年振りに大公開

スイス出身でフランスを拠点に活動した、建築家のル・コルビュジエ(Le Corbusier|1887-1965)の美術作家としての側面にスポットをあてる展覧会が、東京・虎ノ門2丁目にある大倉集古館にて6月25日より開催されています。

「大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ~絵画をめぐって」

ル・コルビュジエ〈コンポジション〉(素描、1951年)大成建設所蔵

ル・コルビュジエは、世界7カ国に点在する17の資産(東京・上野の国立西洋美術館本館ほかを含む)がユネスコの世界文化遺産に登録されているなど、20世紀を代表する建築家のひとりであると同時に、数多くの美術作品を残したアーティストでもありました。
本展では、ル・コルビュジエが制作した、油彩、素描、版画、タピスリー(タぺストリー)、彫刻などの美術作品で構成され、世界有数の所蔵作品をもつ大成建設の「ル・コルビュジエ・コレクション」[*1]から、約130点の作品が公開されます。これほどの規模で同コレクションの展覧会が開催されるのは約30年ぶりとのこと。

[*1] 大成建設が運営するギャルリー・タイセイでは、ル・コルビュジエが制作した美術作品のほか、彼に関する写真・資料を1990年より収集している。これらの核となっているのは、ル・コルビュジエと親交があったスウェーデン人コレクター、テオドール・アーレンバーグ(Theodor Arenberg|1912-1989)が所蔵していた”パピエ・コレ”[*2]のコレクション。アーレンバーグは20世紀芸術作品を集めた美術館を構想[*3]、建物の設計をル・コルビュジエに依頼していた(構想段階の案は実現せず)
ギャルリー・タイセイ「ル・コルビュジエ コレクション」詳細
https://www.galerie-taisei.jp/archives/

[*2] パピエ・コレ:artscapeウェブサイト内「Artwords®(アートワード)」の解説テキストを参照

[*3] アーレンバーグ美術館構想 詳細
https://galerie-taisei.jp/gallery/ahrenberg.html

「大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ~絵画をめぐって」

ル・コルビュジエ〈女のいるコンポジション〉(パピエ・コレ、1952年)大成建設所蔵

「大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ~絵画をめぐって」

ル・コルビュジエ〈直角の詩 表紙〉(リトグラフ、1955年)大成建設所蔵

“私の探求や知的生産の根底の秘密は絶え間ない絵画実践のなかにあるのです。”
Le Corbusier Lui Même 『ル・コルビュジエ みずから語る生涯』 P250

 

「大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ~絵画をめぐって」

ル・コルビュジエ〈奇妙な鳥と牡牛〉(タピスリー、1957年)大成建設所蔵

「大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ~絵画をめぐって」

ル・コルビュジエ〈牡牛XVIII〉(油彩、1959年)大成建設所蔵

「大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ~絵画をめぐって」

ル・コルビュジエ〈行列〉(リトグラフ、1962年)大成建設所蔵

本展にあわせて、3回にわたって講演会(全ての回で定員に達したため、受付終了)が開催されるほか、会場の大倉集古館にて、本展の監修者である林 美佐氏(大成建設ギャルリー・タイセイ主任学芸員)によるギャラリートークも計4回開催されます(事前申込不要)。

また本展は、会場が大倉集古館であることも大きな見どころです。
同館は、実業家の大倉喜八郎(1837-1928)が1902年(明治35)に自邸内に開館した私立の大倉美術館を前身とし、建物の設計を建築家の伊東忠太(1867-1954)が担当したことでも知られています。その後、谷口建築設計研究所が設計、大成建設が施工を担当し、2014年から2019年にかけて改修工事が行われ、2019年7月にリニューアルオープンしています。
コレクションは、喜八郎が生涯をかけて蒐集した日本・東洋各地域の古美術品と、息子の大倉喜七郎(1882-1963)が蒐集した日本の近代絵画などが中心で、国宝3件、重要文化財13件および重要美術品44件を含む、約2500件の美術品を収蔵しています。本展の観覧料で、如来立像(重要文化財)など、コレクションの一部を見ることができます。

※以下の会場写真は6月24日に開催されたプレス内覧会にて、許可を得て特別に撮影(Photo: TEAM TECTURE MAG)

大倉集古館

大倉集古館 外観

「大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ~絵画をめぐって」

「もうひとりのル・コルビュジエ」展 1階会場風景

「大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ~絵画をめぐって」

「もうひとりのル・コルビュジエ」展 1階会場風景

「大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ~絵画をめぐって」

「もうひとりのル・コルビュジエ」展 1階会場風景

「大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ~絵画をめぐって」

「もうひとりのル・コルビュジエ」展 2階会場風景

「もうひとりのル・コルビュジエ」展 2階会場風景

大倉集古館

大倉集古館 2階テラス

大倉集古館

大倉集古館 階段室

「大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ~絵画をめぐって」

「もうひとりのル・コルビュジエ」展 1階会場風景

「大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ~絵画をめぐって」

「もうひとりのル・コルビュジエ」展 1階会場風景
左側の大判作品:〈奇妙な鳥と牡牛〉タピスリー、1957年

タピスリーはどこにでも持ち運べるという点が重要であり、ル・コルビュジエはタピスリーを「遊牧民の壁」と呼んだ。賃貸住宅に住む現代人にとってタピスリーは壁そのものであり、転居先に設置することで常にル・コルビュジエの空間を作り出すことができる移動間仕切りである。(展示解説テキストより一部を転載)。

「大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ~絵画をめぐって」

「もうひとりのル・コルビュジエ」展 地下1階会場風景

特別展「大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ~絵画をめぐって」開催概要

会期:2024年6月25日(火)~8月12日(月・休)
開館時間:10:00-17:00(金曜は19:00まで、各日とも入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜(休日の場合は翌火曜)
入館料:一般 1,500円、大学生・高校生 1,000円(※学生証要提示)、中学生以下:無料
※各種割引料金は大倉集古館ウェブサイトの「利用案内」を参照
会場:大倉集古館
所在地:東京都港区虎ノ門2-10-3(Google Map
問合せ先:03-5575-5711(大倉集古館
主催:公益財団法人大倉文化財団、大成建設
協力:ホテルオークラ、特種東海製紙、早稲田大学建築学科


関連イベント

講演会

ル・コルビュジエの眼
日時:2024年6月30日(日)
会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス内(定員:420名)
講師:古谷誠章(建築家、早稲田大学教授)、藤井由理(建築家、早稲田大学招聘研究員)
※定員に達したため受付締切

ル・コルビュジエの絵画が語りかけること
日時:2024年7月6日(土)※定員に達したため受付締切
会場:国際文化会館 講堂(定員:120名)
講師:青木 淳(建築家、京都市京セラ美術館館長)、加藤道夫(東京大学名誉教授)、中村研一(建築家、中部大学教授)
※定員に達したため受付締切

ル・コルビュジエの建築と絵画を語る
日時:2024年7月21日(日)
講師:隈 研吾(建築家、東京大学特別教授・名誉教授、早稲田大学特命教授)
会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス内(定員:420名)
※定員に達したため受付締切

ギャラリートーク

日時:2024年7月10日(水)・17日(水)・24日(水)・31日(水)各15:00〜
会場:大倉集古館 展示室
参加方法:当日受付(予約不要)、参加希望者は開始時間までに1階展示室EV前に集合
担当:林 美佐(大成建設ギャルリー・タイセイ主任学芸員、本展監修者)
参加料:なし・ただし、当日有効の観覧券での入館が必要

大倉集古館ウェブサイト
https://www.shukokan.org/

※フライヤーの図版:ル・コルビュジエ『直角の詩』(版画、1955年)より

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