東京・日本橋の日本橋三井ホール(COREDO 室町1)にて、現代社会におけるデザインの役割を再考し、新たな潮流を生み出すデザインイベント「DESIGNTIDE TOKYO(デザインタイド トーキョー)」が11月27日より始まりました。
「DESIGNTIDE TOKYO」とは、東京のデザインシーンを世界に発信するイベントとして、2005年から2012年にかけてま毎年秋に開催され[後述*]、今日では世界的に活躍しているデザイナーを輩出してきました。会場を六本木から日本橋室町に移し、12年ぶりに開催されます(以下、一部で「DT24」と略)。
『TECTURE MAG』では26日に行われたプレス内覧会を取材、会場の様子をレポートします。
過去の「DESIGNTIDE TOKYO」では、ジャンルを横断した作品が多数展示される会場の構成・デザインを、若手建築家らが担当し、あわせて話題となりました。会場を六本木に移して以降、SUPPOSE DESIGN OFFICE(2008年、2009年)、中村竜治建築設計事務所(2010年)、中坊壮介氏(2011年)、織咲 誠氏(2012年)らが担当してきた会場構成を、今年は建築家の板坂留五氏が担当しています(構成協力:吉野俊太郎氏)。
4つのコンテンツ
・MAIN EXHIBITION ▶︎▶︎▶︎ GO!
・SPECIAL EXHIBITION「描像するサテライト」 ▶︎▶︎▶︎ GO!
・TALKS ▶︎▶︎▶︎ GO!
・MARKET ▶︎▶︎▶︎ GO!
・板坂留五氏による会場構成 ▶︎▶︎▶︎ GO!
・開催概要 ▶︎▶︎▶︎ GO!
・*「DESIGNTIDE」とは ▶︎▶︎▶︎ GO!
日本をはじめ韓国、台湾、英国、スウェーデンなどから参加した32組(出展者)による展示
出展者(日英表記混在、アルファベット順):AATISMO、Atelier matic / 外山 翔、Carlie Humble-Thomas、Daiki Tado、二俣公一、氷室友里、岩元航大、Jin Kuramoto(倉本 仁)/ JIN KURAMOTO STUDIO、川浪寛朗、Kunihiko Nakata、KUO DUO、messagingleaving×ZAP、光井 花、門馬さくら、元木大輔 / DDAA LAB、Norihiko Terayama、OTHER DESIGN、Postalco Design Studio、Rikuo Takata、Sae Honda、柴田文江、Sho Ota、Sibisibi Studio、Siin Siin、SOHYUN YUN、高野 潤 / iD4、辰野しずか、teenage engineering、we+(ウィープラス)、山一金属、山本大介、Yuki Hidano
詳細
https://designtide.tokyo/exhibitors
美術家・吉野俊太郎と協力して構成された会場は、「瞬くピント」をコンセプトに、ホール全体を覆う不織布の大きな屋根が、訪れた人の視線や焦点をさまざまな方向へと向けるとともに、出展作品と向き合う自由な空間をつくり出している。
「瞬くピント blinking focuses」
今、私たちに必要なのは、「みる技術」ではないだろうか。
それは、みられることや、みないことに意識を配るのではなく、自身の感覚を働かせて、ものの存在・形・様子・内容を深く探り入るような能動的な行為のことであり、カメラのピントを合わせるように、モノと自身とで対話ができる身体(想像力)のことである。
テンポラリーな空間には、独特の軽さを感じる。期間の短さや資材の簡素化も要因のひとつだが、テンポラリーさを下支えするハコの完璧さが、かえって内側の空間に空虚さを与えてしまっているのかもしれない。 例えば、ホールの天井の完璧さ。バトンやダクトレールが規則正しく並び、いつどんな催しにも対応できるよう周到に準備がなされている。木質を基調としたホール空間のなかでそれらは黒子に扮しているが、その頼もしい姿につい気をとられてしまう。そんな完璧な天井を操作することで、「みる場」にふさわしい空気のかたちをつくろうと思う。
ここで過ごすいっときのための儚くドラマチックな空間ではなく、じっくりピントを探したくなるような、たっぷりとした自由な場、ひとりひとりのピントが瞬き充満するような空間を目指している。(板坂留五)
板坂留五氏 プロフィール
兵庫県生まれ
2016年 東京藝術大学美術学部建築科卒業。2018年同大学大学院美術研究科建築専攻修了、同年にRUI Architects設立。主な受賞に「Under35 Architects exhibition 2021」にてGold Medal賞受賞などがある。RUI Architects Website
https://ruiitasaka.ooo/吉野俊太郎氏プロフィール(本展構成協力)
新潟県生まれ。2017年東京藝術大学美術学部彫刻科卒業。英国・Royal Academy Schools 交換留学を経て、2019年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了、同年に共同スペース「WALLA」オープン。2024年東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。Shuntaro Yoshino Website
https://www.instagram.com/shntryshn/
「描像(びょうぞう)するサテライト」と題し、注目の若手作家8名の作品を通して新たな潮流(TIDE)の可能性を提示する企画展示、アーティストの太田琢人氏がキュレーションを担当
参加作家(五十音順):板垣勇太、遠藤 茜、神楽岡久美、小寺創太、外山和洋、永井天陽、三好賢聖、村本剛毅
キュレーター・太田琢人氏プロフィール
1993年フランス生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻第9研究室2022年修了。
家具を中心に詩的で未来的なデザインを生み出す。文明の発展と文化の発生の副作用として失った感覚にフォーカスをあて、言葉と形で表現を続けている。これまでの主な展示に、〈ミラノサローネ2023 Thinking Piece〉(Dropcity、イタリア)、〈ミラノサローネ2021〉(トルトーナ地区、イタリア)、〈TONGYEONG TRIENNALE 2022〉(韓国)、〈ICFF2016〉(アメリカ)などがある。
テック、アート、ビジネスなど多様な角度から「デザイン」の可能性を模索する公開収録型のトークプログラム(計11回)
会期2日め・11月28日以降のスケジュール
TALK 3
日時:11月28日(木)14:00-
「ソウルとロンドンから見るグローバルデザイントレンド」
登壇者:KUO DUO(クリエイティブスタジオ)、Charlie Humble Thomas(インダストリアルデザイナー)、Monica Khemsurov(『Sight Unseen』共同創刊者、DT24ディレクター)、Max Fraser(デザインジャーナリスト、『dezeen』エディトリアルディレクター、DT24ディレクター)
※言語:英語
TALK 4
日時:11月28日(木)18:00-
「『STATUS AND CULTURE』から読み解くラグジュアリーの生態系」
登壇者:David Marx(『STATUS AND CULTURE』著者)、武田悠太(ログズ代表取締役、DT24 Co-Founder)
TALK 5
日時:11月29日(金)14:00-
「プロンプトエンジニアリング・デザインの現在地」
登壇者:仲尾 毅(Adobe Creative Cloud エバンジェリスト)、黒柳 茂(スパイクスタジオ代表取締役CEO)、出村光世(Konel、知財図鑑 Creative Director・CEO)
TALK 6
日時:11月29日(金) 18:00-
「誤謬(ごびゅう)なき世界に”傷”がもたらす美しさ」
登壇者:孫 泰藏 (Mistletoe ファウンダー)、高橋裕士(WOW Inc.代表)、武田悠太
TALK 7
日時:11月30日(土)11:00-
「サステナブルの先、リジェネラティブの手前」
登壇者:原田優輝(編集者、ライター)、山田泰臣(編集者、ライター)、AATISMO、高田陸央(デザイナー)、光井 花(テキスタイルデザイナー)
TALK 8
日時:11月30日(土)14:00-
「Exploring the intersections of Design, Art and Space(仮)」
登壇者:Jesper Kouthoofd (ceo, head of design、teenage engineering)、スズキユウリ(エクスペリエンスデザイナー、サウンドデザイナー、アーティスト、ミュージシャン、DT24ディレクター)
パフォーマー:Steezo0、Lullatone
※言語:英語
TALK 9
日時:11月30日(土)18:00-
「第2回・発注向上委員会」
登壇者:若林 恵(黒鳥社コンテンツ・ディレクター、自由研究員、『WIRED』日本版 元編集長)、熊井晃史(GAKU 事務局長)、武田悠太
TALK 10
日時:12月1日(日) 11:00-
「エゴの先にある利他、利他の先にあるエゴ」
登壇者:鈴木 元 (プロダクトデザイナー)、太田琢人 (デザイナー/アーティスト)、木熊太郎(『ELLE DECOR』日本版 編集長)
TALK 11
日時:12月1日(日)14:00-
「デザインとアートの協業から立ち上がるコモンセンス」
登壇者:横山いくこ(M+ リードキュレーター)名古摩耶(『ARTnews JAPAN』編集長)、スズキユウリ
内容:国内外約40組のデザイナー、アーティストらによる作品展示、マーケット、トークプログラム
会期:2024年11月27日(水)~12月1日(日)
開場時間:11月27日(水)〜30日(土)11:00-20:00 / 12月1日(日)最終日 11:00-17:00
会場:日本橋三井ホール(Google Map)
所在地:東京都中央区日本橋室町2-2-1 COREDO 室町1 4,5F(※エントランス4F)
入場料:1日券 2,000円(学生 1,000円)、5日通し券 3,000円(学生 2,000円)、中学生以下無料
https://designtide-tokyo-2024.peatix.com/events
※学生割引は学生証提示の場合のみ
主催:DESIGNTIDE TOKYO 2024 実行委員会
協賛:ゴールドウィン、ユナイテッドアローズ、SHINIH ENTERPRISE CO., LTD.
協力:ブリティッシュ・カウンシル
特別協賛:三井不動産
メディアパートナー:dezeen、Sight Unseen
ディレクター:佐藤 拓(ギャラリー・PARCEL ディレクター、EASTEAST_TOKYO アドバイザー)、秋本裕史(E&Y取締役、ディレクター)、マックス・フレイザー(Max Fraser|デザインジャーナリスト、『dezeen』エディトリアルディレクター)、モニカ・ケムスロヴ(Monica Khemsurov|『Sight Unseen』共同創刊者)、ジル・シンガー(Jill Singer|『Sight Unseen』共同創刊者)、スズキユウリ(サウンドアーティスト、エクスペリエンスデザイナー)
公式ウェブサイト
https://designtide.tokyo/
公式SNS
https://www.instagram.com/designtide_tokyo/
https://x.com/DESIGNTIDETOKYO
1990年代から2000年代に初頭に東京で開かれていたデザインブロックの流れを汲み、2005年にスタートしたデザインイベント。2008年に「DESIGNTIDE TOKYO」に改称、東京ミッドタウンをメイン会場として毎年秋に2012年まで開催された。
毎年3、4組の招待デザイナーと公募で選ばれた約50組のデザイナーが参加し、「思考をトレードする場」をテーマに、商業が優先されたデザインではなくデザイナーのクリエイティビティを重視した作品を展示し、デザインの新しい潮流(TIDE)を提示してきた。デザイン業界のさまざまなプレイヤーが一同に集まるメイン会場を設定し、会場構成には、谷尻 誠、中村竜治といった当時の若手建築家・デザイナーを起用したことでも話題を集め、会場自体も彼らによる1つの作品・表現の場となっていた。
これまでの系譜を受け継ぎながら、2024年はディレクターなどの中核メンバーを刷新し、12年ぶりに開催されます。