2025年、TECTURE MAG「PROJECT」には幅広い建築事例が集まりました。今年も「TECTURE」への数多くのご登録、ありがとうございました!
例年通り、日々の暮らしに寄り添う住まいの事例が多く寄せられる一方で、店舗やオフィス、宿泊施設、大規模な複合施設、さらには海外事例まで、より多様な広がりを見せてきています。
本記事では、そうした掲載事例の中から、閲覧者数の多かったTOP10をまとめました。簡単な概要と写真の一部を掲載していますので、気になったプロジェクトがあれば「PROJECT」にて、より詳しく触れてみてください!
※ TECTURE MAG「PROJECT」掲載事例を対象とし、掲載ページのUU(ユニークユーザー)数の集計結果をもとに作成しています。トップ写真=〈ROOF HOUSE〉 / 玉田脇本建築設計事務所 / Photo: 長谷川健太
No. 10
House in Yakumo / 小大建築設計事務所

Photo: Keishin Horikoshi | 堀越圭晋(エスエス)
桜並木のある緑道に面した住宅です。南側の桜並木に向けて大きく開き、南北方向のスキップフロアにより、光や風、人の動きが緩やかにつながる構成としています。眺望の良い2階には家族が集まる居場所を配置し、最大12mスパンの無柱空間を可能にした木架構が、東西に長く伸びやかな内部空間を実現しています。


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No. 9
ROOF HOUSE / 玉田脇本建築設計事務所

Photo: Kenta Hasegawa | 長谷川健太
2,000m²ほどの敷地に対して、機能ごとに分けたボリュームを分散配置し、全体に薄い大屋根を架けた構成の住宅です。屋外キッチンのある屋根下の半屋外空間は、時に家族団らん場になり、子供が駆け回る庭になり、来訪者を迎え入れる軒先になったりと、内外の境界を曖昧にしながら暮らしに溶け込んでいきます。


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No. 8
的形の週末住宅 / lyhty

Photo: Yohei Sasakura | 笹倉洋平(笹の倉舎)
入江と小山の狭間に位置する週末住宅で、美しい景観に対して主張しない建築が目指されました。災害対策の観点から1階はRC造とし、2・3階の木造部分の外壁には、この地域で古くから用いられる焼杉板を採用。奥行き3mのテラスデッキが囲む2階は、料理好きの建て主が景観と料理の双方を楽しむ空間となっています。


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No. 7
左_右 / FATHOM

Photo: Tatsuya Tabii | 足袋井竜也
築70年超の木造平屋を改修し、コミュニティ棟を増築した、多彩な空間を内包した住宅です。改修部分では既存の痕跡を手がかりに分節点を見出し、一部解体した後にRC造のヴォイドを中庭とエントランスを貫くかたちで挿入。増築部分は敷地形状に沿う三角形平面の3階建てとし、生活を外へと開いています。


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No. 6
パカーンコーヒースタンド / コプレイスアーキテクツ

Photo: Naohiro Kobayashi | 小林直博
タバコ屋の記憶を引き継ぐ、コーヒースタンド兼文化複合施設です。1階には店舗スペースと倉庫、2階にはイベントスペースと、空き家リノベーションの研究・実践を行う設計者のアトリエが入っています。元宿場町に残るタバコ屋の間口からコーヒーが提供され、地域の子どもたちの下校を見守る役割も担います。

Photo: Naohiro Kobayashi | 小林直博

Photo: Yukimi Nishi | 西優紀美
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No. 5
木漏れ日の家 / 藤山敬晃建築設計事務所

Photo: Tomoyuki Kusunose | 楠瀬友将
カーブする接道形状を建築の造形に取り込み、道路側にはパブリック寄りの空間、東側にはプライベート寄りの空間を配置した、細長い平面構成の住宅です。南側には大きな開口を設け、田園風景と遠くの山並みへの眺望を確保するとともに、ハイサイドのスリット窓からは木漏れ日を室内へと導く計画としています。


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No. 4
多重の家 / 風景研究所

Photo: Shigeo Ogawa | 小川重雄
異なる敷地に隣り合って暮らす3世帯の住宅群です。敷地に連なる私的な細道に呼応して中庭を配置し、回廊とステップによって各住戸の1階と土間庭を緩やかにつないでいます。内部では、分節された床と不定形な壁の重なりによって居場所を生み出し、中庭から2階へと視線と動線を引き込む構成です。

Photo: Shinkenchiku-Sha | 新建築社

Photo: Shigeo Ogawa | 小川重雄
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No. 3
神戸電鉄 花山駅 / イチバンセン

Photo: Nacása & Partners | ナカサアンドパートナーズ
花山駅の新駅舎。利用者減少を受け、乗降にとどまらない場の付加価値が求められました。人の気配が抜ける分棟型の平面とし、駅前広場ではマルシェやキッズイベント、夜にはビアガーデンなど多様な催しが行われています。駅のシンボルである山の稜線を参照した大屋根の下に、街の活気が集まる構成としました。


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No. 2
糸島の別荘 / twha

Photo: Ryo Yahara | 矢原 亮
海を一望できる敷地に建つ別荘です。諸室のボリュームを雁行させ、山手側でも床を一段高くすることで、すべての部屋から海を望める構成としました。海岸線から離れるほど海の広がりと奥行きを直感的に感じられます。西面・南面は開放的に、東面・北面は壁量を増やして空間にメリハリを与えています。


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No. 1
家//庭 / dot studio

Photo: Daisuke Shima | 志摩大輔
アンティーク家具店を営む建て主の住宅です。アンティークの家具や照明が映えながらも、庭と密接につながる暮らしを求め、南北に細長い敷地を東西に分節して庭と住まいを平行に配置しました。庭を覆う深い軒は方杖を連続させることで、庭に沿って奥行きのある空間をつくっています。


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2026年も掲載情報を募集中!
いかがでしたでしょうか。掲載数の多さもあり、住宅がランキングの多くを占めるなかで、外部と良好な関係を築く工夫が目立っていることがうかがえます。豊かな自然環境に恵まれた住宅はもちろん、住宅地などプライバシーの確保が難しい条件においても、住まい手の価値観や生活像を手がかりに、外部空間を丁寧に構成した事例への関心が高まっているようです。
住宅以外では、〈パカーンコーヒースタンド〉と〈神戸電鉄 花山駅〉の2事例がランクイン。いずれも小規模ながら、街のコミュニティの核となるような仕掛けを備え、地域に新たな活動や滞在の場を生み出しています。
建築が単体で完結するのではなく、周囲の環境や人の営みと結びつくことで価値を広げていく。そうした姿勢が、これからの建築のあり方として注目されていると、今回のランキングからは読み取ることができるかもしれませんね。
PROJCETに掲載させていただく場合、編集部より連絡いたします。2026年も引き続き、「TECTURE」への登録をお願いいたします!
現在、第2回「TECTURE AWARD」開催中。詳しくは特設サイトをご確認ください。