2020年7月に刊行された書籍です。
第68・69代内閣総理大臣を務めた故大平正芳氏(1910-1980)の遺志を継技、優れた学術研究などの奨励援助などを行っている、大平正芳記念財団による顕彰制度、大平正芳記念賞の第37回にて選出された6作のうちの1冊です。
中国における最大の通信サービスの1つ、WeChat(微信)を提供する、巨大IT企業の騰訊(テンセント / Tencent)が、200万平方メートルの未来都市「ネット・シティ(Net City)」の建設計画を明らかにするなど、ますます注目を集めている都市・深圳(シンセン / Shenzhen)。本書は、それらのイノベーションに造詣の深い識者・経営者が集い、成功の鍵として「プロトタイプ駆動」に着目し、深圳の成長要因とネクスト・深圳の条件を考察したものです。
書籍の紹介文は以下、今回の大平正芳記念賞および特別賞受賞を発表したKADOKAWAのプレスリリースより引用します。
テンセントが未来都市を作る街、新時代都市・深圳。成功の鍵は“プロトタイプ駆動”にあった。超高速で試作品を創り、短納期で量産品を作り、社会実装する。
「まず、手を動かす」が時代を制した。
産業の中心は「非連続的価値創造」にシフトした――。
現代は「プロトタイプ」、頭でっかちに計画を立てるよりも、手を動かして試作品を作る。まずは手を動かす人や企業が勝利する時代となった。そして、先進国か新興国かを問わず、プロトタイプ駆動によるイノベーションを次々と生み出す場、「プロトタイプ・シティ」が誕生し、力を持つことになった。
その代表例が、近年、急速に一般からも注目を集めた中国の都市・深圳である。テンセントが「未来都市」を建設する計画を明らかにしたが、その場こそ、深圳だ。ではなぜ、深圳は世界の耳目を集め続けるプロトタイプシティに変われたのか? また、コロナを経て、シリコンバレー、深圳の次にくるメガシティ、準メガシティは一体どこか? その条件は? そして、日本からプロトタイプシティは生まれるのか? 我々一人ひとりは、プロトタイプシティ時代にどう対応すればいいのか?
深圳イノベーションを知り尽くした識者・経営者が集結し、徹底開示する。
編著者・著者プロフィール(敬称略):
編著者:
高須正和(たかす まさかず)
1974年生まれ。IoT開発ツールの開発・輸入販売を行っている株式会社スイッチサイエンスの事業開発担当。深圳をベースに39都市107回のメイカー向けイベントに参加しているほか、深圳、シンガポール、上海等では運営をサポート。ニコ技深圳コミュニティの共同発起人として、藤岡淳一と共に日本と世界のメイカームーブメントを繋げる活動をしている。早稲田大学ビジネススクール非常勤講師。著書に『メイカーズのエコシステム』(インプレスR&D、2016年)。訳書に『ハードウェアハッカー』(技術評論社、2018年)。高口康太(たかぐち こうた)
1976年生まれ。中国経済、中国企業、在日中国人社会を主な取材対象とするジャーナリストで、デジタル化と監視社会化の進行、ベンチャー企業の台頭など中国の最前線を追う。千葉大学客員准教授、週刊ダイヤモンド特任アナリストを兼務。著書・共著・編著に『幸福な監視国家・中国』(NHK出版新書、2019年)、『中国14億人の社会実装』(東京大学社会科学研究所 現代中国研究拠点、2019年)等。著者(50音順)
伊藤亜聖(いとう あせい)
1984年生まれ。東京大学社会科学研究所准教授、経済学博士。研究内容は中国の産業発展と対外直接投資活動、アジア経済。2017年度に深圳大学中国経済特区研究センターに滞在研究。著書・共著に『現代中国の産業集積 「世界の工場」とボトムアップ型経済発展』(名古屋大学出版会、2015年)、『中国14億人の社会実装』(東京大学社会科学研究所、2019年)ほか。澤田 翔(さわだ しょう)
1985年生まれ。連続起業家、エンジニア。慶應義塾大学環境情報学部卒。在学中にアトランティスの創業に参画。 2011 年、ビットセラーを創業。スマートフォンアプリを手がけて2015年にKDDIに売却。世界の決済サービスやニューリテール (小売業のIT融合) に造詣が深く、インターネットの社会実装をテーマにした「インターネットプラス研究所」を2018年に設立。中国デジタル化の最新動向に詳しく、レポートも多数執筆している。藤岡淳一(ふじおか じゅんいち)
1976年生まれ。ジェネシスホールデイングス代表取締役社長、創世訊聯科技(深圳)有限公司董事總經理。KDDI∞Labo社外アドバイザー、ピーバンドットコムやソースネクストの顧問を兼務。WIRED Audi INNOVATION AWARD 2019を受賞。2011年に中国・広東省深圳市で起業し電子製品の工場を経営。主に日本企業のICT・IoT製品の開発・製造受託や、スタートアップ企業の量産化支援を手がけ、案件相談や支援要請が殺到している。山形浩生(やまがた ひろお)
1964年、東京生まれ。東京大学大学院工学系研究科都市工学科およびマサチューセッツ工科大学大学院修士課程修了。 大手シンクタンクに勤務の頃から、幅広い分野で執筆、翻訳を行う。著書に『断言 読むべき本・ダメな本―新教養主義書評集成・経済社会編』(Pヴァイン、2020年)など。訳書にピケティ『21世紀の資本』(みすず書房、2014年)ほか多数。
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)拡大の影響で、東京、大阪、兵庫、京都の4都府県に対して政府が3回目となる緊急事態宣言が発令され、迎える大型連休(ゴールデンウィーク)。イッキ読みの候補として、注目の書籍を取り上げました。(en)
編著者名:高須正和、高口康太
発売:2020年7月31日 ※電子書籍も配信中
定価:2,640円(本体2,400円+税)
判型・体裁:四六判/上製
ページ数:264ページ
発行:KADOKAWA
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/321810000028/
#NBBJ Design 公式YouTubeチャンネル「NBBJ – Tencent Corporate Headquarters」(2016/12/03)
NBBJが設計した〈Tencent Seafront Towers〉(NBBJ Webサイト公開動画よりシェア)
http://www.nbbj.com/work/tencent/